第76話 醤油
うちの食事は多彩だ。
肉も普通に食べるし、卵も毎日産みたて、取りたてが手にはいる。
ただ、不満がある。
それは調味料。
基本的な調味料として、塩、味噌、酒、酢、それと砂糖も高級品だがある。
さらに、薬として輸入された香辛料を使って作ったカレーだって作れる。
抹茶と塩を混ぜたり、カレー粉と塩を混ぜたりしている。
しかし、醤油がない。
つたない知識では醤油って江戸時代のイメージが強い。
台所で味噌の入った瓶の蓋をあけ考えた。
味噌と醤油、途中までは製造行程ほとんど同じと聞いたことがあるが、高校生知識ではかなり曖昧。
成人した社会人だって、興味がなければわからないだろう。
農業高校・農業大学にでも行っていればわかるのか?
醤油製造って千葉が有名だけど茨城も筑波とかは盛んだったんだよなぁ、もっと勉強しておくべきだったかな。
当たり前にスーパーやコンビニで手にはいってしまうものを製造を勉強できないって学校教育って偏ってるよな。
「どうしました?」
と、味噌瓶をマジマジと見ている奇怪な行動をしている俺に、桜子が恐る恐る声をかけてきた。
うん、大丈夫、心が病んでいる訳ではないから。
「いやね、醤油が欲しいな~と思って」
「しょうゆ?ですか?聞いたことなくて、すみません」
「簡単に言えば味噌を搾った液体みたいなのなんだよ」
「御主人がおっしゃいます『しょうゆ』かは、わかりませんが、味噌の上澄み液の『たまり』と言うものなら有りますが」
「ん?たまり?たまり醤油?え?あるの?醤油?え?」
すぐに手に入れてもらう。
届けられた『たまり』と、呼ばれる液体を白い小皿に少し垂らしてみる。
あれ?お、おぉぉぉぉぉ、醤油だ。
少し濁りはあるものの見た目、醤油。
指に付けて舐めてみる。
「醤油あるやん!」
驚いた、この時代に来て醤油ないと思っていたけどあるんだね。
『たまり』と、呼ばれる液体だけを購入出来るように今井宗久に頼むと、鎌倉時代だかにはすでに味噌とは別に作られ出している醤油に近い液体が有ることが判明した。
早くに聞いておくべきだった。
本当に意外に何でも揃うんだね、安土桃山時代。
日本の文化って、この時代に完成したのでは?って思えるよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます