第18話 人殺し
結果から言おう。
俺は『人斬り』『人殺し』になった。
茶々が投げた太刀を受けとると、一人が斬りかかってきた。
俺は、信長にお遊びと言われようが平成の世では鹿島神道流免許皆伝。
避けるくらいは出きる。
まっ正面に斬りかかってきたのを右に一歩避け、持っていたまだ抜いていない太刀の鞘で腹に一撃を与えると痛みからか地面に倒れのたうち回る男。
力丸はお江、お初を抱えて丸くなっている。
「ふざけんなよてめ~」
と、その力丸に斬りかかっていた別の男。
ドゥオン!
火縄銃の第二射で撃たれ倒れる。
「くそ~、あ!てめ~、本能寺で我が殿を撃ち殺したやつじゃね~か!貴様の首だけでも~」
と、俺に斬りかかってきた。
太刀が抜けない、恐い、斬るのが恐い、殺すのが恐い。
「その首もらった~」
俺の正面で太刀を降り下ろす男が見えた。
「黒坂、死ぬ気か~」
茶々の怒鳴り声が聞こえた。
死ぬ?俺が?斬られる?
嫌だ、斬られたくない、死にたくない。
そう思うと体が動いた。
斬りかかってきた男の開いていた胴を目掛けて太刀を抜いていた。
グッシャリと伝わる感触に吹き上げる血しぶき、俺は動きが止まった。
斬ってしまった。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ」と叫びながら倒れる男。
最後に残った一人が、
「娘らだけでも道連れにしてやる」
と、力丸抱いてる二人、目掛けて突進していく。
それを目にした俺は、今まで畳み人形相手に繰り返してきた技を出していた。
無意識だった。
納刀して技の体勢に入り突進した。
【鹿島神道流、秘技一之太刀・雷鳴】
雷のごとく素早い抜刀術、それがごく一部にしか伝授されなかった秘技一之太刀。
男は腰から上と下に別れていた。
斬ってしまった。殺してしまった。
膝から崩れ落ちた俺はあとの記憶がない。
俺は今、震えながら布団にくるまり朝を迎えた。
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