Hello!
カゲトモ
1ページ
「ハロー」
その声に飛び跳ねてしまった身体をどうにかばれない様に繕ってみる。全然びびってなんかないんだからな!
「ビクッとしちゃって、そうちゃんったらかーわいっ」
「うっせぇ」
耳元突然囁きやがって。そんなの誰だって驚くだろうが。
「何だよ、何の用?」
「えー何よ、用がなくちゃ会いに来ちゃダメなの?」
「そんな顔しても俺には通用しませーん」
きゃるん、と上目づかいに可愛らしく言ってみたとしても、正体を知っている俺には何の役にも立たない訳で。だって結局リンには変わりないんだし。両性だし、恋人でもないし。
「普通の男ならそんな反応しないわよ?」
「お前の普通が変なの」
「そんなことないって。男の恰好しているときだって女の子にはキャーキャー言われるのよ」
「は」
何なんだその普通は。男の格好でも女の格好でもモテるってか? 俺は男一本でもモテないって言いたいのか? はぁん?
「大丈夫よ。そうちゃんの魅力はあたしがよぉく知っているじゃないの」
「ただ腐れ縁ってだけだろ」
「あーら、それが運命ってものでしょ?」
勘弁してくれよ。こんな面倒な運命、俺の手には余るって。
「もうとっくに長く付き合っているんだし、諦めなさいって」
本当に特に用事がないのか、リンは俺についてくるように商店街を歩いた。俺もこのまま店に行くだけなんだけど。
「あら、それちゃんと付けてくれているのね」
「あぁこれね。お前ちゃんと使ってないと怒るじゃん」
店の鍵につけたハイブランドものの、なんとも言えないキーホルダー。リンがくれたものだ。趣味が良いのか悪いのか、俺には良く分からない。
「だから付けているって? 何それツンデレ?」
「これのどこがデレたんだよ」
「それをちゃんと付けているってとこでしょ?」
「なら捨ててやろうか」
「てめぇの純潔を捨ててやろうか?」
やめて、目がマジだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます