毎日誰かがやってくる!!

辶(しんにょう)

毎日誰かがやってくる!!

 じりりりりりり

今時かと思うかもしれないが僕は目覚まし時計を使っている、今の時代スマホについた目覚ましやらタイマーやらを使えばええじゃないかと思う人も多かろう、しかし僕はこの目覚ましの音と上部分をたたいて止めるというシステムが好きなのだ。

しかしだ、ここ最近僕のこの楽しみが奪われつつある、その理由は

 チン

「おはようございます、今週も頑張っていきましょう」

「・・・おう」

 この止める者が現れたからである。ここまで僕の話を聞いてくれた君たち、君たちにはここまできたら僕の愚痴を聞いて行ってほしい、しかし先に言っておこう、きっとこれを読んでいる人のうちの何人かは

「うらやましいなぁ~~~」

 などと思うかもしれないが先に行っておく、そんなことはない。二度も言ったのだ、そろそろ察してほしい、それでは始めよう僕の一週間を。


月曜日

・まずは僕の話をしよう、僕は多田煎流乃(ただ いるの)、多田家長男として生まれ今現在は花の高校2年生だ。頭は割といいほうで、ニュースとかもこまめにチェックを入れるタイプ。

僕の両親は父の転勤に母がついていく形で僕はおひとりさまになってしまいましたとさ。まぁつまりはだ、大学生の方々がやっていらっしゃる自由まみれの一人暮らしをできることになった訳だ。さみしい3割うれしい7割だった、今時の男子は料理の一つできなきゃと小学5年のころから料理を母に叩き込まれ腕は抜群、家事洗濯もお手の物だ、何不自由ないとはまさにこのことだ!

しかしまぁあれだ、事件は起こった訳だ。

「おはようございます、今週も頑張っていきましょう」

こいつが現れたのだ。


「えっーとどちら様で?というかなぜに僕の部屋に」

 僕の住んでいるのは一軒家、アパートなら部屋間違えちゃったイベントがあってもおかしくないが一軒家じゃさすがに・・・。

「私は月曜日です」

 その人は12~15歳程度に見える明るいオレンジ色の服が似合う女の子であった。

「・・・・・・ああげつ、ようびさんというお名前で斬新なお名前ですね」

「違いますっ!」

 近っ!

「私は正真正銘の月曜日です」

「???意味がわからない」

「罰にわからなくていいです、とりあえず毎日その曜日の方が来ますのでよろしくお願いします」

「ちょっと勝手に話を・・・」

「とりあえず朝ごはん食べます?」

 そこにはトーストの上に目玉焼きをのっけたものがあった。

「はい、でも時間が」

 そういつもより余計なことをしていたため時間がかなり押しているのだ。

「とりあえず僕は学校に行くから速く元のおうちに帰ってね」

「もうっ!」

 なにか言っていたような気がするが僕は学校に足を走らせたのであった。


火曜日

・あれから帰ってくるとあの娘の姿はなかった。だが代わりに次の日の朝

「おっはよー今日も元気に張り切っていこー!!」

「またか、しかもうるさい」

「うるさいとはなんだーーーー!」

 腹にエルボーを喰らう

「痛ってー!!!」

「さぁ~支度、支度!!」

「まったくなんなんだ」

「さぁごはんごはん」

「はいはい?ってないじゃん」

「何言ってるの?君が作るんだよ」

「まじか」

 学校に向かい席に着く。

「まったく二日連続でなんなんだ、明日には自分の分身でも出てくるんじゃないか?」

「なぁにぶつぶつ言っているんだ?」

 悪友の草野が話しかけてきた。

「ん?朝から爆弾をかかえてここまで来たのさ、今日はまさか家の外までついてきて学校まで来るつもりだったんだぞ」

「なんだペットでも飼いだしたのか?」

「まぁそんなところだ」

(言っても信用されないどころか心配されそうだしな)

 そんな感じで今日も過ぎてゆき帰るとまた彼女もいなくなっていた。


水曜日

・「おはよう?」

 また違う娘がいた。

「あの~きみは?」

「私?わたしは水曜日」

(昨日の娘より精神年齢が若い感じかなぁ?というかおとなしい、すぎるくらいだ)

「あの・・・」

 水曜日が袖を掴む。

「あー飯か?OK今作るよ」

「いえ・・あの・・」

「?もしかして食べたいものがあるのかい?」

「いえ、もう・・・・」

「?あっ!」

 よく見るとすでに作ってくれていた。

「そうか、ありがと」

 そう言うと彼女はにこやかに笑ってくれた。

「さて今日も頑張るか」

 とまぁこんな感じに月火水と毎日いろんな女の子達が僕をおこしにきてくれて、朝飯を作ってくれたり、作らされたりした。

このあとも木曜日、金曜日、土曜日と続き・・・。


日曜日

・「さてと、まさか土曜日にまで来られるとは思わなかったけどさ、日曜日までもさ」

「まぁまぁ」

「日曜日だからって寝てるんじゃねーよ!」

「朝、ですよ」

「そう、朝なの、素晴らしいわ」

「とりあえず起きなさいよまったくこれだからダメ人間は」

「うふふ、朝からにぎやかねぇ~」

「全員くるとはね、ははは」

 笑うしかなかった、月から土まで6人全員来るんだもん。

「いくら一人暮らしでもこれは狭いぞ」

「なに?文句あるの?」

「いえ、ございません」

「それより朝飯だぜ、腹減った!」

「はいはい」

「お手伝いするわ」

「私、も」

「ありがとう」

(なんだか騒がしいなぁ、土曜日さんはこっちを見て笑ってるだけだし)

 

まぁとにかくだこれが僕の今の日常だ、周りに話たいけど話せない、それはさっきも言ったとおり信じてもらえないというのもあるけど、もう一つある、それは

帰ってくるころにはもういないということだ。一体なぜなのか、朝彼女たちに聞いてみたが誰もが

「そのうちわかりますよ」

としか言わない。母に問い合わせが知らないという(というか聞くのがすごい恥ずかしかった)

「わからないな~」

「何がです?」

 月曜日が話しかけてくる。

「君たちは一体、何者?」

「だからそのままですよ、私たちは曜日の化身です」

「なんで僕の家に?」

「さぁなんででしょう?」

「教えてくれないのか」

「はいでも、すぐにわかります」

「すぐにねぇ」

 相変わらずの返事に僕は苦笑いしかできなかった。

「まぁいっか」

 ここまで聞いてみてどうだい、僕の日常はえっ?いいじゃないかって?

はぁ~、だから言ったろ、うらやましいことなんで一つもないんだ、たとえ女の子がいっぱいのハーレムな状況になろうとね。


・次の月曜日

「おはようございます」

「ああ、うん」

 まだ一周なのだがなれてきた自分がいる気がする。

「なれって怖いな」

「とりあえず朝ごはんにしましょうか」

「そうだな」

 すでに昨日の夜準備したものをあっためる、そしてそれの一部を弁当箱に詰める。

「手慣れてますね」

「これも慣れの一つだ」

「さすがです」

 二人分の飯を準備しテーブルに座る。

「パンでもいいんだけどよ、弁当用の米が微妙に余るからな、やっぱり使い切りたいのよ」

「なるほど」

「じゃあ食うか」

「はい」

 彼女らは僕の生活に一部となっていた。やっぱり慣れるってやつなのかな?

「今日も朝でお別れか?」

「はい、でも明日には火曜日が来ますので」

「そうだ、これをプレゼントフォーユーだ」

「?なんでしょう?」

 実は全員に体の上から下のいずれかにつけるアクセリー的なのを購入しておいたのだ。髪留め、イヤリング、ペンダント、リボン、手袋、靴下の計6つを。

「ありがとうございます」

「どうも、じゃ行ってくる」

「はい、後片付けはしておきますね」

「たのんだ、いってきまーす」

「いってらっしゃーい」

 こうして僕の不思議な一週間が始まった。

(でもこれでわかる) 

 そうプレゼントには意味があったのだ、彼女をだますようで悪いがやはり知りたいと思うのが人間である。

「あ、ありがとうよ」

「あり、がとうございます」

「やっほーなんだかわかんないけどありがとー」

「なにこれ、ご機嫌とりのつもり?で、でももらうわよ」

「うふふ、ありがと、お返しは何がいいかしら?」

(これで全員に渡せた) 

 そして作戦の日曜日がきた。


日曜日

・「おはようございます」

「あれ一人?」

「はい、ばれてしまいそうでしたので?」

「やっぱり、だったんだね」

「はい」

「僕があげたプレゼント、あれを一人一人がつけた状態では分身はできないと

思ってね、それに貰ったものを一緒にいる仲なのに着けないわけにはいかないってところかな」

「はい、私は一人で彼女ら5役を演じてあなたの前に現れていました」

「朝しか来れないのは、きっと・・・」

「この場所が私が唯一複数現れるから、私の正体は月です、名前はこの日本での

一週間に私や他の惑星のみんなのが名が入っていたので使わせてもらいました」

「なんとなく気が付いていたよ」

「この体が手に入った日私は私が複数に見える場所にもっとも近い人と友達になろうと思いました」

「聞いたことがあったんだ、どこかの地方で月が3つくらいに増えて見えるって、もしかしたらもっと多くにもなれるんじゃないかって」

「はい、私は毎日違う人格と見た目であなたの元にやって来て、日曜日には疑われないように、全員でおしかけるようにしました」

「一つわからないことがある」

「なんでしょうか?」

「なんでいろんな性格も見た目も違う娘になって僕の元に?別にきみのままでも」

「それは・・・」

 はじめて彼女の声が詰まる。

「あ」

「あ?」

「あなたの好みの女性になろうと思って」

「・・・・・」

「あなたが好みがわかったらその娘だけにしてそのままずっといようと思ってて・・・、誰がよかったですか」

「・・・・・」

「すみません、なんか変な質問してしまって」

「全員だよ」

「えっ?」

「全員かわいくて素敵だった、全部の君が好きだ」

 月には水があるとかないとか、今はそんなことどうだっていいのだ。ただそこには一人の女の子の喜びの涙がそこにあった。



「お前最近どうしたんだ?元気ないぞ?もしかしてあれかペットに逃げられたのか!?」

「うんまぁそんなとこ」

「まぁ落ち込むなって、お前には俺がいるだろ」

「お前かぁ・・・」

「なんだ不満なのかよ」

「不満じゃないけどさぁ~」

 あの日から彼女たちは来なくなった。

「小学生のころ友達が急に転校したときみたいだ、でもな、やっぱりそのときとは違うんだよな」

 誰かに語っているのか、話相手がほしいのか一人ごとが出る。

「だから言ったんだ、こんなの誰もうらやましがらない、みんな結局はハッピーエンドを望んでいるんだ」

「これはバッドエンドだ」

「そうかな?私はハッピーだけど?」

「!!!」

 いいかもう一度だけ言う、きっとこれを読んでいる人のうちの何人かは

「うらやましいなぁ~~~」

 などと思うかもしれないが先に行っておく、そんなことはない。うらやましいことなんで一つもないんだ。この僕を除いてはね。つまりは前言撤回さ、人は都合がいいんだ、少なくとも僕はそう思う。


           この世界は都合がいいんだ。


                             ハッピーエンド。

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