第2話 ◯月△日 はじまりの日
僕らはいつも旅をしている。荷物はバックパックただ一つ。今日もたくさん移動しなければならない。さて、旅に出る前に紹介しておこう。僕の相棒、
◯月△日
今日の冒険は見事なものであった。途中、水と食料が足りなくなる過酷なものではあったが、それを大きく上回るほどの喜びと出会った。
僕らは歩いていた。とにかく西へ西へと。道脇には広い砂漠。そこはただただ一本の道が永遠と続くような場所であった。
何時間歩いただろうか。目的の場所へはまだ着かない。水も、もうなくなりかけていた。
「翔ちゃん、お水ちょうだい」
目に涙を浮かべながら、上目遣いでイチがねだってきた。イチは女の子のような顔立ちで、加えて僕より10センチは小さい身長であるからふとした瞬間にドキッとすることがある。あげたいのはやまやまなのだが、自分の水も、あと一口分しかない。
「もっと計画的に飲むべきだったね…」
とイチは何度も言っていたが、まさしくその通りだと、僕は何度も心の中で頷いた。
これが最後の一滴。貴重な一滴の水を飲もうと、水筒を逆さまにした瞬間。
「ごめん、翔ちゃん。僕もう無理みたい」
そう言うと、イチはふらっと道路に倒れていった。支えようとしたが間に合わなかった。
「イチッ‼︎」
あぁ、大声で叫んだからだろうか。暑さと水不足は瞬く間に僕の意識を奪っていった。
「ぁ」
僕の体は地面に叩きつけられた。
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