『リコリス・リコイル』

『リコリス・リコイル』(TV/監督:足立慎吾/2022)


 言わずと知れた今年度夏期覇権アニメ。

 東京という都会において、「迷彩服」ともいえる女子校の制服を纏った少女たちによる、悪党をぶっ飛ばしまくる話。そしてバディものの色彩が強い。


 主人公の二人▼

〇錦木千束(にしきぎ・ちさと):上記の組織『DA』における最強のJK。ただしわけあって不殺主義を貫いており、いつでも非殺傷ゴム弾で敵の拘束を目的として動く。とにかく明るい。積極的でアグレッシブ。いつも前向き。しかし彼女の性格には、ある種の宿命が……?


〇井ノ上たきな(いのうえ・たきな):元DA要員で、「暴走したスタンドプレー」によって千束のいるDA支部『喫茶リコリコ』に転属させられた凄腕ガンスリンガー。遠距離射撃においては千束を上回るものの、性格的に超合理主義者であり、千束の不殺方針を巡って対立(というか一方的に無理解)を示すこともしばしば。


 とまあ、キャラクター紹介から入ってみたが、そのくらい登場人物たちが魅力的である。

 アフレコの様子が語られたところによると、どうやらアドリブ大会(?)になることもしばしばだったとか。それが事実だとすれば、そういう現場の雰囲気を創り出した監督や音響監督には類稀なる才能があったと言えるかもしれない。

 もちろん声優陣の実力は折り紙付き。


 これは千束の不殺方針によるものだが、実際の出血より血糊の方が多く、安心して観ていられる感がある。作画も音響演出も微に入り細に入り非常に秀逸である。

 映画『ダイ・ハード』を連想したのは筆者だけではあるまい。


 後半はやや無理があるんじゃないか? という展開に傾くものの、続編製作要望の極めて高い作品でもあるし、そこで上手く伏線回収をしてくれればいいナ、と思っている。


 肩の力を抜いて、気軽にご覧になられるとよろしい。もちろんこれは、今作を軽視しているのではなく、他のガンアクションもの(『ブラックラグーン』とか『ヨルムンガンド』とか)よりもコメディ要素が多いから、という理由による。


 一期のアニメなので、さらっと観られるところもポイントが高い。

 お薦めである。

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