職人は旅をする
和蔵(わくら)
第1話 はじまり
腹減った。
街まで、まだ遠いのかな?
何か、食べ物でも落ちてないかな?
{ぐぅ~~~}
もう三日も食べてない、限界だ。死んじゃうよ。いったい、ココは何処なんだ?
くそ~魔獣に襲わられたのが、運の尽きだな。
{三日前}
街道を歩いていたら、行き成り魔獣に襲撃されて、森に逃げ込んだ良いのだが、闇雲に逃げたせいで、街道に出れなくなってしまった。仕事道具だけは落とさないで、持ったまま逃げたのだが、その他の荷物は、逃げる途中で、落としてしまった。そして今に至る。
{ぶつくさ言っていたら、森が開けてきたぞ。}
やった~~森を抜けたぞ。やっほ~い!
そう思ったのも束の間、デューホーンと言う魔物に出くわしてしまった。
デューホーンって魔物は、大鹿の魔物だ。
気性は激しく、人間を見たら直ぐに攻撃してくる。
足も速い、頭の上にある、角で人間が突かれたら、即死するだろうな。
でも、デューホンにも弱点はある、真っ直ぐには早いけど、激突の直前とかに躱すと、デューホーンは、付いて来れないのである。
それを知っているので、俺は落ち着いて対処をした。
森の中まで、逃げ切れば、デューホーンの速さなど、恐くはない。
森で直線で、いくら早くても意味はないからである、角が木に激突して、デューホーン自体が、ダメージを受けてしまうからだ。魔物もそれを知っているので、森の中までは追ってこない。
ふぅ~逃げ切ったか。
早く街道か、人里を探さないと、本当に死んでしまいそうだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
{その日の夕方}
村だ、俺は助かったのだ。
村人が居たので、これまでの事情を説明して、助けてもらった。
そして、村長の家に、俺は招待されていた。
「旅の人、災難だったの。」
命からがら、逃げ回ってました。
「この辺は、魔物が多くて困っているしだいじゃよ。」
何で、こんなに魔物が頻繁に、人里近くまで出てくるのですか?
私の生まれ故郷では、魔物など年に1~2回しか見ませんでしたよ。
「他の所は、そうなんじゃろうな?」
「この国は、もう駄目かもしれない、貴族は賄賂ばかりで、領民の暮らしなど、知らん顔しておるよ。我等も、何処か違う国にでも、引越したいのじゃが、そうもいかないのじゃよ。」
何処の国も、同じ状況ですね、みんな言ってますよ。
「そうなのか、他所もこの国と、変わらないのなら、引っ越しても意味はなさそうじゃな。」
そうですね、何処か良い国があれば。
「ところで、お前さんの仕事は、何をしているのじゃ?」
俺の仕事は、各地を旅して回ってる職人ですよ。
「ほう、職人だったのか?」
はい
「明日にも、治して欲しい物があるのじゃが、いいかの?」
泊めて貰ってますので、かまいませんが、材料は、あるのですかね?
「それは、心配ない、材料は沢山あるから、好きに使えばいい。」
わかりました。明日、治す物を見せてもらいますね。
「すまんの。」
いえいえ
「それでは、ゆっくり寝てくだされ。」
ありがとうございます。
{その夜は、疲れていたので、少々の事では起きないだろう。}
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
おはようございます。
「良く眠れたかの?」
はい。疲れてたせいもあり、ぐっすりと眠れました。
「そりゃ~良かったの。」
「朝食を食べましょうか。」
いただきます。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
{朝食も食べ終わって、少しして。}
「実はな、梯子と屋根の雨漏りを、治して欲しいのじゃ。」
梯子が壊れたから、屋根の雨漏りが、修理できなかったのですね?
「そうなのじゃよ、修理しようと思って、屋根に上ろうとしたら、梯子が壊れての。」
そう言う時も、あるでしょうね。
まずは梯子から、修理して行きましょうかね。
「頼む」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
{梯子を見たら、二つの踏む棒が、折れていた。}
これは、一回梯子を、ばらしてから、棒の交換になるな。
まずは、木の棒を探してこないと。
家の裏手の捲き置き場に、良い棒がないか見に行って見た。
んっ・・・これも違うし・・・これは長さが足りない・・・
中々、代わりになる棒が、見つからなかった。
森に入って、丁度いい枝でも、切って来ようかな。
パッキー
静かな森に、音が響く。
村はまだ見えてるから、大丈夫だと思うけど、コレ以上は奥に行くと危ないだろうな。
この辺の木の枝を、切って持って帰ろう。
ふっ~森の中に入ると、緊張するな。さ~梯子の修理を再会しよう。
本当なら、木の枝の水分を乾かしてから、材料にした方が良いのだが。
今回は、屋根の修理もあるので、妥協していた。
ふぅ~梯子はこんな物で、大丈夫だろう。
さ~今度は、屋根に上って、藁の交換だな。
納屋にあった、藁を屋根の下まで持ってきてから、藁にロープを括り付けてから、屋根に上った。
水漏れしている場所は、前もって聞いていたので、その場所の藁を取り払って、下の板の状態を確認してみたら、腐ってるのが見た目だけで分かった、釘を抜いてから、下から交換する板を持ってきた。
そんなこんなで、屋根の修理も無事に終ったので、村長さんに報告した。
「これで雨漏りに、悩まされなくて済みそうじゃ。」
二年は、雨が降っても、大丈夫ですよ。
「お金はいくら必要なのじゃ?」
お金は頂けません、泊めてもらい、更に食事まで、付けていただいたのに。
これでお金を貰ったら、罰があたりますよ。
「そうなのか?」
そうですよ。
今晩も泊めさせて下さいね。
「その位は、おやすごようじゃ。」
{その日は、村長の家の修理で、終っていった。}
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