僕達を甘く見るな!(オタクより)
高峯紅亜
プロローグ
「ほんとあんたは使い物にならないんだからっ。」
僕の母さんは毎日のように僕に向かってこの残酷なセリフを吐くのであった。
二年前に僕の父さんと母さんは離婚し、母さん側に残ることになった僕は毎日ろくでもない男と顔を合わせる羽目になっている。その男は僕を見るなり嫌らしい顔でニヤニヤする。
きっと心の中で可哀想なやつだな、とか思ってるんだ。
家庭は破壊済み。
「親子」なんていう関係は途絶え、お互い「知人」認識になってしまった。母さんと付き合ってるそのろくでもない男は三十歳後半だろうか。母さんは三十三歳だからそれくらいかな。
僕は因みに十三歳。
朝目を覚ますと部屋には誰もいなくて、一人でほぼ空っぽな冷蔵庫から取り出した冷たい賞味期限切れのコンビニのパンを食べるのが毎日の始まり。母さんはコンビニでバイトしてるから賞味期限切れの食べ物が溢れてるんだよね。
それから第三中学校で授業を受け、即帰宅。帰宅部所属だからさ。
どうせ家に帰っても誰もいないから一人でテレビ見たり、本を読んだり、大親友の中野くんと長電話したりしながら暇な時間を潰した。
中野くんと僕は最高に気が合う。
まず二人ともいじめられっ子で学校では部外者扱いだからよく一緒に行動してる。数学が得意な中野くんは真ん丸な眼鏡をかけていてなんかドラえもんののび太くんみたい。
僕をキャラクター化すると何になるんだろう、ふとそんな風に思う。
中野くんは趣味で
致死性家族性不眠症っていうのは一生寝ることができなくなる病気で二年以内に死に至るという恐ろしい病。治療法は見つかっていないらしい。
中野君が僕にそのことを教えてくれて一緒に研究して治療方を見つけよう!ということで研究を始めたんだ。別に医者になりたいとかじゃないんだけどね。
夜中狭い一人部屋で寝ていると僕の母さんとその男がゲラゲラ笑いながら帰ってくる。いつもこのうるさい話し声で僕は目を覚ましてしまう。
目を覚ますたびに中野くんと研究している病気にかかったんじゃないんだろうかと不安になる。
そしていつの間にかまた眠りに落ち、また次の日。同じことを繰り返す。
十三歳の僕には毎日が退屈すぎた。
自分のこの能力に気づくまでは。
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