第6章「聖人」
「こいつが…天使か」
ドレッドヘアーの男は純白の翼をはためかせながら、自らが合成獣と呼んだ獣の隣降り立つ。
「駄目だよ〜セオス様の創られた合成獣に変なことしちゃ。…殺すよ?」
笑顔で話す天使だが、その内から流れる圧倒的な魔力の波動を利央たちにぶつけているようであった。
「貴様っ!!!リオ様!!下がってください!」
「こやつやる気ですな」
ジーバ君のかけた不可視化の魔法を容易く見抜き、こちらに向けてしっかりと殺意を飛ばしてきた男は続けて語った。
「俺は創造神セオス様に使える12使徒が1人。"聖人"アンドレだ。俺は強者以外には興味が無い」
ドレッドヘアーの天使…アンドレはそのように言い放つ。
「聖人なのに戦闘狂って…ぷぷっ」
殺意が込められた魔力の波動を受けながらも、利央は余裕そうな様子である。
「ほう?流石は魔王を名乗るだけのことはあるな。俺の殺意を受けても平然としてるとは…」
「ん?殺意?…あいつ何言ってんのジーバ君?」
「フォッフォッフォッ、リオ様は気付いてすらおらぬとは…流石ですぞ」
「流石ですリオ様!」
ジーバ君とゴブ一郎の反応に納得がいかない利央であったが
「兎に角!!…その生き物なんなの??ゼウス様のなんちゃらとか言ってたけど」
ドレッドヘアーをなびかせ、アンドレはややムッとした表情で答える。
「こやつは我らが使えし創造神セ・オ・ス!!様の創りし合成獣(キメラ)。セオス教の教典では神獣とも呼ばれる生き物だ」
「んで…なんで人間食ってんだよ」
「ふっ…食っているのでは無い。あやつらは生贄である」
「生贄?…なんの?」
「神へのだ!この都市をお前達の軍から救った礼にと、この都市の長からも承諾を得ている」
「本当かよ…自分の民を…」
利央の視線の先には、再び人間を追いかけ始めていた合成獣とやらの姿があった。
そして利央は自らの拳を握りしめる。
「ふんっ…お前達とは復活の地の件もあり、いずれぶつかると思って放っておいたが…興味が湧いた。少し手合わせでも願おうか」
アンドレはそう言うと、手をポキポキと鳴らしながら準備運動のようなものを始め出す。
「ああ、俺もドラ男君の件でお前に借りがあるしな…やってやるよ!!行くぞ!!ジーバ君ゴブ一郎!!!」
「何?!3人でだと?!…くっ!!!」
利央は有無を言わさず闇属性魔法の闇球を放ち、アンドレに向かって突撃するのだった。
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