レディ?
カゲトモ
1ページ
「よろしくお願いしまっす!」
「はーい」
両手をグッと握った斉藤君がキラキラした顔で頭を下げた。今日は開店前に斉藤君のレッスンをすることになっている。決まったのは昨日のことだ。
『実は友達の前でカクテルを作る約束をして』
何でも今度大学の友達と飲み会をする時にカクテルを作ることになったのだとか。最近は簡単なものだけれど斉藤君に作ってもらったものをお客様にお出ししたりしているし、きっと友達も喜ぶに違いない。
『へぇ、そうなんだ。頑張ってね』
簡単なものと言ってもお客様はいつも喜んでくださっているし、彼の自信にもつながっていると思うから。友達の前で居酒屋では飲めない本物カクテルを披露して来てくれ! なんて思ったのに。
『でも・・・その、まだ自信がなくて』
彼は俺が思うよりも自信を持っていなくて。
『大丈夫だよ』
家ではシェイカーを使って作っていると言っていたし、俺も実際飲ませてもらったらそこそこの出来だし。同世代の友達に振る舞うのなら十分だと思うけど?
『その歳にして凄く通な友達がいるとか?』
『あ、いえ、そう言うわけじゃ』
それじゃぁ?
『その・・・ちょっと気になっている女の子が』
・・・なーるほど。そういうことね。
斉藤君は少し頬を赤くして照れるように身体をよじる。好きな子に格好いい所を見せたくて少しでも良くしたいって事ね。いいんじゃん、そう言う理由でも向上心を持つってことはさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます