夏の日。
いある
昔の話さ
「知らねえよ、自分で考えろよ」
無造作にそう吐き捨てた。あとから考えてみれば、ただ八つ当たりがしたかっただけなんだと思う。特に理由もなく、誰かを傷つけたかった。誰かに矛先になって欲しかった。
ほんとにそれだけだった。
「ごめんね、変なこといきなり…もう迷惑かけないようにする…ほんとに、ごめ、ん…」
背中越しに聞こえた声──萎む風船から絞り出される空気のような掠れ声──はうだるような蝉の声と夏の日差しに、かき消された。
これは俺とアイツの。遠い昔の話。
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