第2話 街の歩き方
まず街の歩き方から述べていきます。街を歩く際に最も重要なのは、なんといっても人とすれ違う時であります。これであなたの人生はすべて決まるといっても過言ではない。毎朝おきて顔を洗い、磨きたくもない歯を磨き、作りたくもない料理を作り、会社に行き、疲れて帰ってくる。これらすべてのことは如何にして上手に街で人とすれ違うことができるかを磨く。これに尽きるのであります。すべてがそのためのトレーニングなのであります。
都会では人々は魚群のように行き交うわけでありまして、それほど意識する必要ないと思われがちですが、油断は禁物であります。狭い歩道で相手が二列で向かってきたらどう処理するべきか、目視してから接触寸前までの数秒間で判断しなければならないのです。
さらに車でも同時に来ようものなら横隔膜が破裂せんばかりの緊張が体を襲うのであります。なぜなら行き交う人々とは決して接触してはならないからです。体が触れようものなら、それはあなたの人生の敗北なのです。「すみません」と謝る義務が生じた時点で、それはあなたが生きていてすみませんという意味になってしまうのです。相手が女性でも男性でもヤクザでも関係ありません。細心の注意を払って街を歩かなければならないのです。
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