VISIONS
y-う
第1話 入学
理亜高等学校――進学率はそこまで高くないものの、就職率はとても高い。この学校にはある仕掛けがあるのだ。その仕掛けというのは、この学校を卒業した者はこの学校が運営している会社に入社できるというものだ。しかもその会社は一つだけではなくいくつもある。服屋に電子機器会社に本屋――様々だ。なのでこの学校の卒業者の就職率はほぼ100パーセントである。
俺はそんなシステムにあこがれこの学校に無事入学できた。
「まさと~朝ごはんよ~」
目覚まし時計のアラームの代わりに母の声が聞こえ、俺はベッドの上で目覚めた。
俺は大きなあくびをしながら朝のいい香りにつられ階段を下りて行った。
「まさとぉ。今日はいよいよ入学式だな!」
「服は何がいいかしら~」
両親そろって今日は俺よりも張り切っている。
こんなに張り切るものなのかと思いつつも俺はパンを口に入れ、制服に着替え、学校へと向かった。
入学式は8時半から。学校までは電車で15分、そこから徒歩1分でついてしまうので今日はかなり余裕をもってくることができた。
しっかり襟などを確認し俺は学校の門をくぐった。
門をくぐると、「会場はあちら!」と書かれた看板が目の前に立っていたので、それに従い俺は会場へと向かった。
体育館まえまで行くと、並びの順番が書かれた表があり、俺はそれに従って体育館の外で待機していた。
それから10分後、ぞろぞろと人が集まり、徐々に並び始めていく者が増えていった。
やがて先生らしき人も登場し、俺たちの前へと立った。
そろそろ8時になるのだが、俺の横の人はまだ来ていないようだ。
しかし時間は待ってくれないようで、“一年生の入場です!”という司会者の声とともに俺たち1-1は体育館へと前進していった。
(隣の子は休みなのだろうか・・・)
そう思いながら俺は前へ前へと進み椅子へ座った。
全員が椅子に座ると、校歌が流れ、校長先生の話へと移り変わり、長ったるい話が始まった。
「え~。まずは皆さん、ご入学おめでとう。これから君たちはこの学校で大きく羽ばたいていくことでしょう。――」
その後も長い話をしていき、俺は寝そうになっていた。これを聞くまでは。
「えー。今、となりに人がいない人はその場に立ってください。」
俺は一瞬ボーとしていたので反応が遅れてしまったのだがなんとか立つことができた。
「君たちはこの学校で必ず交際をしなければなりません。この学校に入学する前に注意書きをしたのですが・・・スタート当時から交際相手がいないと後々困ります。
卒業式までに必ず交際をしていないと留年または退学となりますので、気を付けてください。」
(え?)
俺は茫然としてしまった。交際しなければ退学・・・!?
(なんなんだこのクソ校則は…)
俺は入学式が終わるまで口を閉じることができなかった。
こうして衝撃のスタートから俺はここへ入学してきたのだった。
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