第5話 大樹

大樹ユーシェルは、大陸「ムラサキ」における唯一の国である。

場所は、大陸の南。他にも、いくつかの場所に点在するセーフポイントなるものが存在するらしいのだが、そういった場所は、一か月程度で、場所が変わるらしい。

大樹が唯一のセーフポイントであり続ける理由は、ひとえにこの国の中心である大樹によるところが強い。

おかげで、国の外周を囲うようにある壁も石積みだったり、防砂林みたいな大樹の根っこだったり、しっかりした、鉄筋コンクリートだったりだ。

それでも一応の関所のようなところがあるのでそこを通って、俺と俺に憑依したローズマローは、入国する。


そこの者とまれ、ん?奇妙な髪色をした魔族だな。

まあいい、身分を証明できるものはあるか。


と入国する際に、聞かれた。当然、持ち合わせていない。ローズも人権のようなものはなかったそうなので、証明できない。

何か、策があるのか?ローズマローに、肉体の主導権を預ける。


船が、漂流してしまい。大陸の西側に流れ着いたのですが・・・


そうか。仕方がないな。こういうことは、ままあることだ。魔族とは言え、ここの森の環境は厳しいものがあったろう。とはいえ、西から海沿いでは、この地にたどり着くには、飛竜の海岸を通ることになってしまうからな。その分だと税も払えんだろう。なぁに、心配するな。手続きは、うまくやっておくさ。ハンター教会へ行き身分証を発行してもらうといい。


お手数おかけします。


この国は、助け合いで成り立っている。お互い様だ。


『すごいなこの国、不審者同然の身元不明者を中に入れちまったぞ?』

「何いってんのよ。あの人も言っていた通り、この大陸の環境は厳しいのあなたも実感したはずよ。助け合いが第一のこの国で、信用することは一番なの」

『そういわれるとそうかもな。ローズの力で、変わりゆくセーフポイントを抜けてきた俺は、あまり感じなかったが森には確実に殺気とか、豪雨とか近くにあったもんな。』

「わかっていることを聞くのって、何なの?さみしいの?」

『違う違う。確信に変えるための確認だよ。』

「あっそ」


ハンター教会へようこそ

はいはい。漂流者ですね。わかりました。種族は・・・あ、おきれいな瞳ですね。お名前は・・・「ローズ」さんですか。妖精族に縁がある方ですか?失礼しました。つい癖で、魔族でもロタでもローズという名前は、少なからずいらっしゃいますから。ええ。問題なんてありませんよ。

薬草?これはこれは、すごい量ですね。見たことのないものまであります。鑑定に回しますね。

では、ハンタータグに、刻印するので、そのあたりで少し、おまちください。


『ずいぶんはやい手続きだな。』

「そろそろ、交代してほしいんだけど?」

『今日は、ローズがやってくれよ。明日からは、ちゃんと俺がやるからさ。』

「はぁ…わかったわ。それで、この後は、どうするつもり?私に目的はないし、付き合うわ。」

『この三週間で、ずいぶんと信頼してくれるようになったじゃないか。俺は、基本的に警戒心の少なくて済む土地に住んできたせいか、この町の空気に溶け込めそうにない。初めのローズも似たような雰囲気だったな。』

「何が言いたいのかなんとなくわかるわ。ただ、少し過小評価しているわね。」

『ん?この国の、町の警戒心をか。』

「それもそうだけど、私の警戒心や用心といったところをよ。確かに、三週間であなたに心を多少なりとも開いたことは事実。でもそれは、魂の契約者であるあなただからということの方が強いのよ。決して、あなたの気遣いでも、私の歩み寄りでもない。」

『契約には、相手の心まで知ることのできる力まであったりするのか。こわいな~』

「さすがに、心までは読めないけれど。大雑把な感情は感じるものよ。察しのいいあなたが気づいていないともおもえないけど?」

『あ~気のせいだと思ってたんだけど・・・そうか。そういう力は確かに働いていたんだな。』

「そういうこと。この契約は、簡単には切れないわ。時間をかければかけるほど魂の共鳴は、強くなる。」

『そうか。それは、難儀なことをさせてしまったな。解除できるなら・・・』

「とっくにやってる。」

『そうだよな』

「でも、切れないわけじゃないとおもう。オーグターにある、魂の契約にまつわる言い伝えでは、【夜王の祭壇、月の馬の血、天使の神器】というのがあるわ。これが契約に何らかの効果をもたらすといわれているわ。ほら、あそこの垂れ幕に変な模様があるでしょ。あれは、三つを現しているの。」

『なるほどな。効果は、わからずそろえるものだけは伝えられているのか。きな臭い。』


ローズさ~ん。こちらに、来てください。


『・・・・おい、ローズマロー?呼んでる。』

「ええ、わかってる。」


お待たせしました。こちらがハンタータグです。

プレートが二つありますがこのオリハルコンの方が、身分証で鎖でつながっているこっちのクロハガネの方が、階級です。

数字の1が入ってますが、依頼をこなすと裏に印が付きます。

8個集まれば昇格しますよ。

その時は、こちらを外し、キイハガネが鎖につながれます。

そうしていくと階級が上がっていくのです。

しかし、依頼のうち二つは、自分の階級より一つ上の依頼をこなすようにしてください。

ちなみに、現在の最高階級は、31です。こうなるともう英知ある二足歩行の生物の中では、最強でしょう。

世界では、三人います。

無駄話が過ぎましたね。

薬草ですが、すごいです!なんと100000ゼイル以上の価値がありました!内訳は、こちらの用紙をご覧ください。

いや~中でも、黄色の二つの枝!なんと!あの万能薬【リボーン】というではありませんか!この大陸でしか観測されていませんが、見つけるのは至難!


「ええ、ええ、そうですね。はい。あはは。はいはい。」

『しゃべりだすと止まらんなこの受付。』

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