愛読書解釈一致系女子

逆奇優証

愛読書解釈一致系女子

 原作が解釈一致とは、正に今の私のような状態なのだろう!

 あまりの歓喜からか、市民図書館の中だというのに、世居湖良子よいこりょうこは思わず叫び出しそうになった。とある夏の日のことであった。

 主人公が涙を流しながら笑ったのは、目的は達成されなかったがこれまでの努力が無駄ではなかったことが証明されたからではなく、決断しなくとも良くなった解放感と罪悪感のためであること。

 終盤で急に話の流れを無視した、関係性に統一感の無いキャラクターが出張ってきたのは、ただの人気キャラクター贔屓ではなく、物語中盤の状況、主人公の心境変化の再演であること。

 考えに考えた、更新に更新を重ねた愛読書の解釈について、矢継ぎ早に色々な質問、というよりは確認をしてしまったが、どのような問いにも、いい加減ではないと受け取ることのできる、真摯で実直な答えが返ってきたのだった。

 “はい、私としても、それらの認識をしていることに相違ありません”

 「解釈一致……!!」

 叫びはしなかった。声量は小さい、掠れた、囁くようなものだったが、抑えきれずに声に出てしまった。その不覚に良子は顔を少し赤らめる。キョロキョロと首を振り、自分に注目する人間が居ないか確認した。幸いこの言動に反応を示した者は居ないようだが、挙動不審な様子に疑問の視線を向けてくる者が出てしまい、気にしなければ生じることのなかった恥じらいを感じる。馬鹿らしい一憂に苦い思いをしたが、だがやはり、幸福感と興奮の方がまだ頭の中を占めていた。

(本当に嬉しい……! 歓喜……!! いや、でも、それにしても、原作”が”解釈一致って、言葉にすると少し妙かもしれない。それでも、こう言い表すしかないのよね……)

 嬉しさを噛み締めた後、良子は目の前の人影を余所に、今の自分の状態を思案する。

 原作”と”解釈一致というのなら、良子の違和感もなかっただろう。例えば読者である良子が、原作を読了後にある解釈をして、それが原作者の発言からでも読み取れた、叉は明言された場合がそれだ。自分から、特定の解釈、明言された解釈、正解(正解というのは良子の価値観である)に近づいたと考えることも可能である。また、原作が”解釈違い”という場合もよく耳にする。これは単純に、自身の解釈と異なった展開が披露された等であろう。しかし原作”が”解釈一致というのは、(これもまた良子の感性から言えば)妙な表現であった。これは、原作の方から、良子の解釈に接近し、合致したような場合を想定させられる。この表現を成立させようとするなら、恐らく単巻では難しいだろうと良子は考える。成立する例を想定するなら、続編等で自身の解釈に合致した展開が繰り広げられた場合だろうか。思考がどんどん明後日の方向に進み始める。そんな状態の良子に対し、向かい合わせに対座している笑顔の少女は、少しも表情を変えずにこう言った。

 「どうなさいましたか? 何やら先ほどから挙動が怪しいように見受けられますが」

 「あっいえ……なんでもありません。ただ嬉しかったからちょっと舞い上がってしまいまして」

 「敬語でなくて結構ですよ。私は、物質的にはまだまだ若輩の身なのですから。また、こうやって実体が出会うのは初めてのようですけれども、長年連れ添った幼馴染でもあり、そして、親子と呼称することもできる間柄であるため、無理に気を使う必要はございません」

 「いいえ、確かに貴方とは長年の付き合いですが、だからといって、馴れ馴れしくできるという訳でもないんです。うん……敬語は得意じゃないから、所々崩れた話し方になっちゃうんですけど、それでも、私のできる限りの尊敬を込めたいんです。例え畏まらなくても良い状況でも、自然と頭が下がっちゃうような、丁寧で心からの対応をしたいような、あなたはそんな存在なんです」

 「なるほど、ありがとうございます。そういえば、リリーがそのよう発言をされていたような気がしますね」

 「分かりますか!? そうなんです…! 私ってば、あなた方に影響受けっぱなしで……!! リリーシリーズが、本当に好きで大ファンなんです!」

 「こんなにも喜んで頂けるとは、私も出生した甲斐があったのかもしれませんね」

 静かに、そして嬉しそうにはしゃぐ良子の目の前で、リリーコレクションシリーズ外伝『ポーラ・プロンプトの革命』について会話していた少女は、先ほどから微動だにしない笑顔を崩さず言葉を返した。本を開こうとした良子の目の前に出現した少女は、少女のような何かであった。出生、出現。彼女の現れ方は、それらの言葉を使わざるを得ないほどのものだった。本が独りでに震えだし、一瞬光ったかと思われたら、段々と人の形になっていく。そのときの良子は、理解しがたい現実離れした現象を目の当たりにし、ただただ茫然としているしかなかった。その異常な現象が収まり、少女の形が完成し、こんにちはと挨拶されたとき、良子は声の裏返った応答をすると、何故だか不思議と納得したのだった。良子の愛読書の冒頭の場面と酷似した状況だからだ。良子はこの少女こそが愛読書、『ポーラ・プロンプトの革命』の擬人化であると感じ取ったのだった。

 これは、半袖の制服姿をした長髪の少女である。平均的な身長の良子より、頭一つ分は小さい印象だ。この少女の毛先に少しクセのある髪、この少女の折れてしまいそうな細い肢体、この少女の正確な発音とやや低めで抑揚の希薄な声、この少女のささやかで自然な笑顔。愛読書の擬人化であることを差し引いても、魅力を感じずにはいられなかった。特に少女の笑顔は格別であると良子は思う。ほほ笑んでいること以外何も読み取れない少女の表情は、リリーシリーズのような冒険活劇ではなく、ミステリーの擬人化かと思わせるものがある。出生した甲斐がある、と少女は言った。あちらも、この私の反応で利益があったのだろうか。良子は無駄だと理解しつつも少女の顔に見入った。ふと、もしかして少し不機嫌なのかもと感じたが、良子は自身の対応が不味かったとは思えなかった。やはり何を考えているのかさっぱり読み取れないようである。


 リリーコレクションシリーズは、数ある異世界ファンタジー作品の中でも、多大とまではいかないにしても、そこそこの知名度と人気を持った作品だ。

 主人公のリリーが突然異世界の国王選定に巻き込まれ、女王候補として様々な動乱に身を投じていく話である。異世界の中でも国と国を渡り歩き、冒険の中で成長していく物語は、とても王道的で、多少の矛盾や無理のある展開を踏まえても、エンタメとして優れた作品と評価されていた。そのようなシリーズ作品の外伝である『ポーラ・プロンプトの革命』は、本編に登場するキャラクター、ポーラのスピンオフである。十二歳の少女が革命を決意し、世直しをしていく姿は、説教的でありながらも(シリーズそのものが全体的に説教的ではあるが)、切実で、真摯さがあり、外伝ながらもとりわけ人気があった。まだ未完で、何年も新刊の出ないシリーズではあるが、それでも、良子のようなファンもまばらに存在するのだった。

 良子がリリーシリーズと出会ったのは、小学校に入学したばかりの頃だった。そのころ、丁度リリーシリーズのアニメが放映されていたのだ。アニメを視聴し、世界観に惹かれた彼女は、流れるように原作本を読破した。それ以来、どこへ行くときにも必ずシリーズ中の一冊は持ち歩いてた。良子はこの本たちと共に育ったのだ。そして、高校生となった今では、電子書籍版をすべて購入し、いつでも好きな時に読み返していた。読み返すこと、ファンコミュニティで議論すること、解釈をアップデートすること、これらを何回も繰り返した。ファンレターも一年に一度は送っている。中学生の頃、自分のその時点での解釈をくどくどと書き連ねて送り付けていたのは流石に黒歴史であった。そんな中、つい先日、初めて作者の側から返信が送られてきたのだった。驚愕しながら封を切ると、”熱心なファンのあなたへ。この本を図書館で読んでください”とだけ書かれた手紙と共に、『ポーラ・プロンプトの革命』が入っていたのだった。このときの良子の心情を表す言葉は、天にも昇る気持ちである。勿論所持している本だが、作者から著書を送って貰うという特別なシチュエーションが良子をそうさせたのだ。受け取ってからすぐにも行動を起こし、現在の状況に至ったのだった。

 使い古された言い回しだが、良子にとってリリーシリーズはまさにバイブルのような存在なのである。そして、リリーシリーズが聖書ならば、今、彼女の目の前にいる存在は、神とでも言えばいいのだろうか。

 「神とは、これはまた恐れ多いことをおっしゃるものです。私はそんなにたいしたものではないのですよ」

 「いいえ! 私にとって、あなた方の存在はそれくらいに大きいんです」

 「なるほど。ですが、ファンの皆様が神と呼称するにふさわしいのは、原作者であらせられる木原美冬様ではないのでしょうか?」

 「私にとって神様は一人ではありません。木原美冬さんと同じように、リリーシリーズからの影響は計り知れないんです」

 真剣かつハキハキとした受け答えに、少女はフフッと吹き出した。

 「承知しました。しかし、私のことを神とお呼びになるのは、もう止されたほうがよろしいかと。浮つきながらも静かに努めようとしておられてはいますが、流石に他の方の興味を引き付け過ぎますからね」

 良子はドキリとし、またキョロキョロと周りを見回しながら、肩を縮こまらせた。少女は小さい声で、こちらへと囁き、そっと良子の手を取って、人気の少ない場所に移動する。外に出るつもりなのだろう。両者は市民図書館の児童文学コーナーから出入り口に向かった。

(手、ひんやりしてる……)

 良子は繋がれた少女の手を感じていた。人の体温にしては不健康なそれを感じ、人ではないのだと改めて認識しながら、しかし不気味には思わなかった。

(解釈一致だし、かわいいし、手もひんやりしてるし、最高……! 今の私は、五感の大半が手なのかもしれない)

 今の良子は五感の大半が手らしい。

 至福の時間の末、目的地である図書館の外部、庭園の木陰にたどり着いた。この場所ならば人を気にする必要もない。

 「ええと……。神様、じゃなかった……。うーん、『ポーラ・プロンプトの革命』さん?」

 「ご自由に呼称してくだって構わないのですが、その名前は長くて、不便ではないでしょうか?」

 「なるほど……。なら、ポーラさん?」

 「私は”ポーラ・プロンプト”ではありません」

 良子には少しだけ、少女の笑顔が崩れたように見えた。見間違いかもしれないと思ってしまうような、それは些細な変化だった。しかし、今までの雰囲気とはかけ離れた、とても強い否定だった。不快にさせてしまったのか、それは何故なのか。おどおどしながら、確かに主人公と原作は一緒のものでもないか、と納得し、適切な呼び名を探す。最もよい名前、正解の名前は何なのだろうか。

(なら略称ならどうだろうか。ポーラ・プロンプトの革命……、リリーコレクションシリーズ……、ポーラ、リリコレ……)

 「ポリコレさん……」

 口に出てから、それが全く別の言葉の略称でもあることに気が付いた。しかし、良子にとってはそれほど的外れな呼び名ではないように思えたし、寧ろ好ましい響きだった。

 「略称は分かりやすくて良いですね。別の意味も含んでいるようですが、なるほど、貴方にとってはそれも加味した結論なのですね。承知しました。では、これからはポリコレとお呼びくださいませ。その名に恥じぬ言動を心がけます故、どうかよろしくお願いいたします」

 少女、ポリコレさんは、何も読み取れない笑顔に戻って、そう承諾した。


 「さて。私の呼称も決定したことですし、これから私たちが何をするべきか考えましょうか」

 「何をするべきか、ですか……?」

 「そうです。ではまず現在置かれている状況、これらを一つ一つ考えていきましょう。そもそもあなたは何故、私を『ポーラ・プロンプトの革命』の擬人化だと思ったのですか?」

 「それは……。私がこの本を開こうとしたとき、ポリコレさんが突然現れたんです。それはまるで『ポーラ・プロンプトの革命』の始まりのような状況でした。その本は、ポーラがコマンドと出会う場面から始まります。コマンドはポーラの愛読書が擬人化した存在です。その出会いもまた、本に触れた瞬間で、それが起こった場所は図書館の中でした。あっそうか……。手紙はこのために送られてきたんですね」

 「恐らくその通りです。では次に、コマンドと出会ったポーラは何をしたか、ということを考えてみましょう」

 「擬人化能力は一か月が過ぎたら消えてしまうということが最初に告げられ、コマンドはとても色々なことができて、だからポーラはコマンドの力を借り、革命の旅に出て、そして……」

 ポーラは結局革命に失敗したのだった。革命には失敗したが、世界は変えられた。世界を変えた力とはコマンドの最後の能力だ。その場面は何度も繰り返し読んでいる。良子はその能力を、記憶の検索をするまでもなく思い浮かべる。その能力は、消えてしまう自身の存在を世界に定着させる能力、コマンドという本の倫理観、価値観の一つを世界に定着させる能力であるのだった。

 「そして、最後はコマンドとずっと一緒にいるという結末でした」

 「そうです。この物語は、ポーラとコマンドが変えた世界に希望を持った形で幕を下ろしました」

 「えっと、つまり、『ポーラ・プロンプトの革命』と同じようなことが今起こっているのだとしたら、私とポリコレさんの関係は……」

 「安直に考えるのであれば、私とあなたの出会いもまた、変化を求めた結果なのでしょう。仮にそれが正しいすると、あなたに手紙と本を送った木原美冬様の意図、そして正体の一端も、ある程度ですが推測できます。あのお方こそ魔術師、あるいはそれに近しい能力をもっているのでしょう」

 魔術師とは、端的に言えば作中の黒幕だった。その人物は多芸な能力者で、物語中でもキーファクターとなったのは、特定のものを抽出し人物化することだ。つまりは擬人化能力を扱うことができたのである。彼はコマンドという書籍に能力を使用し、ポーラに送りつけたのだった。魔術師が現実に存在し、それが愛読書の著者であること。俄かには信じられない、現実的ではない推測だが、実際に擬人化した存在であるポリコレさんを考えると、もしかしたらそうなのかもしれないと良子に思わせるものがあった。

 「な、なるほど。驚きの連続で、戸惑ってしまいますけど、つまりは私とポリコレさんが、作中と同じ一カ月間を共に過ごせば、あの結末と同様のものを期待できるということ……あっ、じゃあ『ポーラ・プロンプトの革命』の作中の倫理観が、現実に定着するということ……?」

 「仮定に仮定を重ねているので、確定事項であるとは断言できかねますが、そのような可能性はありますね。ただ、これは私の感覚の問題なのですが、私が生み出されたきっかけの一つが、木原美冬様の能力であることは疑わなくともよいでしょう。生み出されたものだからこその、術者に対する確信のようなものです。また、現時点では、私が一カ月で消滅するのだという予感もあります。分かりやすくいうなら、寿命のようなものですね。それを迎えたら、擬人化した私だけでなく、その元となったものもこの世から消えるのです。これもまた、自身の存在に対する確信と言えるでしょう」

 「そんな! ……原作を読んでるときは、コマンドに消えてほしくないってずっと思ってましたけど、いざ自分が現実の倫理観を染めろって選択を迫られたら、結構抵抗あります。でも少なくとも、現時点では、あなたに消えてほしくないですよ。生まれてすぐ消えることを想定した会話をするのも、なんだか悲しいですし嫌です」

 「いいえ」

 今は昼どき、日は頂点に到達し、頭上の木々からさんさんと光を降り注ぐ。葉の影と光のコントラストが対面する両者の間を彩った。風がそよそよと吹くごとに、その色どりは、踊るように変化する。困惑や迷い、悲しみといった良子の心情をよそに、まるで楽し気に見えたそれは、目前にある人ではない少女にも投影されていた。少女は今でも笑顔だった。

 「私は、消えるのは喜ばしいことなのですよ。良子さん」

 喜ばしいこと。踊る影と光は、その言葉に同調するかのように、笑顔の上で一層愉快に動いていた。果たしてそのせいなのか、何故だか、これはストレートな本音なのだと、良子は感じ取った。そういえば、まだ名前を言っていなかったのに、分かるものなんだろうか。


 それから、彼女たちは一カ月、毎日出会うことを申し合わせた。夏休み期間であることが幸いし、良子にとっての負担は軽いものだった。最初、良子はポリコレさんに対し家に宿泊しないかと提案したが、どうやらそれは無駄だった。ポリコレさんは、”折角のご厚意ですが、そちらのご家庭に負担をかけるわけにはいきません”と断りを入れた。また、

 「そもそも私はコマンドと同じく、実体を自由に消すことができます。おっと、だからと言って、やはり良子さんにずっと憑いていくのは正しくないと判断します。プライバシーは守るべき事項ですから」

と宣言したのだった。良子としても、明確に拒否している相手に強制することはできない。よって、せめて毎日決まった時間に出会い、語り合うことを約束した。

 約束は違わず、彼女たちは毎日語らった。一番多く話題に上ったのは勿論リリーシリーズである。自身の解釈を共に確認すること、解釈違いを論破すること(論破とは良子の価値観である)。どこまでも感性が同一のもので、良子は驚くばかりだった。その次に多く話したのはポリコレさん自身のことだった。良子は彼女が心配だったのだ。彼女は消えるために生まれてきたようなものだ。消えることは喜ばしいという、よりによって出生奨励文書とも呼ばれるリリーシリーズの擬人化した存在が、発生した、生まれた直後にそのような発言をしてきたのは、良子にとっては大層な衝撃だった。木原美冬が彼女を生み出した意図。『ポーラ・プロンプトの革命』、その結末での出来事を現実に起こすという事。あくまで推論でしかないそれは、だが確実に良子に重くのしかかるのだった。擬人化能力の効力は一カ月で、その時が経てば自動的に消滅してしまうのだ。それだけでなく、彼女の元となった存在さえも消えてしまうのだという。しかし、消滅を阻止する方法、彼女を世界に定着させる能力は、やはり現時点ではどうしても抵抗感がある。なんにしても、彼女のことを思案せずにはいられなかった。

(ポリコレさん、本当にいつも笑ってるけど、表情が読めない分、より一層複雑……。消えることを歓迎するって、そんなことを言うようなリリーシリーズって、信じられない。かといって、冗談でそれを言う本だなんて、それこそありえない。解釈一致だと思っていたけど、やはり若干のすれ違いはあるのかな。それとも、実体を持つというのはそれほどに苦痛なのか……)

 「おや、また目の前の人をほうっておいて、何か考え事をしている顔をしていますね」

 気付いたら目前の幸福濃度が急激に上昇していた。いや、ポリコレさんが顔をそばによせているのだと、良子は認識を改める。

 「あっごめんさない。またあなたのことを考えてしまって……。もしかしたら解釈違いだったのかもって」

 「解釈違いですか? なんと、先ほどの会話で、あなたにとっての地雷的発言をしてしまったのでしょうか? もしよろしければ、後学のためにもご教授お願いしたいです」

 「あ、いえ、そうではないんです。……消えることを歓迎するっていうのが、どうしても引っ掛かってしまって。そういう発言をあなたにされたのが、やっぱりショックなんです。私、まだ結論が出ていませんけど、自分の愛読書がなかったことになるなんて、やっぱり嫌です」

 「ああ、そのことですか。ご安心ください。少し、現状況について情報が足りていないだけです。恐らく、最後の時には、同じ結論に至ってくださることでしょう。それにしても、安堵しました。私と良子さんに限っては、解釈違いはあり得ないと存じ上げておりましたので」

 これほど強く”解釈違いはありえない”と宣言されると、中々どうして破顔が抑えきれない。もうどんな地雷と出会おうとも確実に踏み抜ける覚悟が身についたような心持ちである。それにしても、情報の欠如というのは何なのだろうか。彼女の定着する能力について、それは時限式ではないこと、発動者に対する契約者(この場合、ポリコレさんが発動者で良子が契約者である)の意思の決定が必要であることが原作から読み取れるが、こうも発動しないということが断言できるのか。良子がそのような結論に至るという思想の根拠は一体何なのか。彼女の発言の中でも、特に論理が不明瞭な部分だった。

 「……どうして、そんなに確信してるんですか?」

 良子は、思い切って相談することにした。

 「最初に出会ったころから、ポリコレさんは消えたいと言ってました。また、能力のことも、多分私より情報の精度が上でしょうに、私の意思が関わってくることが分かっているだろうに、消えることを確信しています。私はいまだに迷っているのに、あなたは私の思考がいずれ不発動に傾くと、まるで予知しているみたいな言動をしています。あなたの言う情報欠如について私も理解したら、私があなたの望む振る舞いをするんでしょうか?」

 ポリコレさんはじっと、良子を見ていた。そういえば、今日は風が吹いていない。気温のせいか汗が頬を伝う。一方ポリコレさんはいつも通りの笑顔で、熱さなど感じていないと言わんばかりの余裕さだった。

 「……そうですね。私も、恐らく木原美冬様も想定外だったアクシデントですが、それをここまで引き延ばしたのは私の故意です。もう流石に心苦しくなってきました。随分と余裕はありますが、まあ今回の件については早いに越したことはないでしょう。では、お母さん、また明日、お会いしましょう」

 自身より小さいとはいえ、外見的にはほぼ同年代の少女に、なんと言われたのか。良子は、去っていくポリコレさんを黙って見つめていた。様々な思考が、頭の中で飛び交っているのを良子は感じる。お母さんとは何のことなのか。原作者がそうではないのか。できる限り彼女の発言を思い出すが、木原美冬は術者と称していた。そう、ポリコレさんは確かに良子のことを親と呼んだのだった。木原美冬よりも良子の方が親と呼ぶに相応しいのだろうか。しかし、初対面の時は幼馴染のようなと……。

(親子と呼称できる間柄って、そういえば言ってた)

親子という言葉を、リリーシリーズに育てられたと言っても過言ではないと自身で認識している良子は、ポリコレさんが親で自分が子だと思い込んでいたのだ。それが、もしかして逆なのか。ならば、彼女は一体何者なのか。

 汗が止まらないので、良子も家に帰ることにした。帰路を辿るだけでも相当に体が熱くなる。汗だくで、顔が真っ赤になってしまったため、ずっと頭を下に向けている。汗が止まらないのも、顔が真っ赤なのも、風も吹かない真夏日だからという理由だけではない。良子は、自身がとんでもない勘違いをしていたことに気付いたのだった。

(これまでの私の言動が、思考が、あまりにも愚かで恥ずかしい……!! 私は、明日、ポリコレさんに会って話せる自信、無い…。 会わせる顔もない。羞恥で、というのもあるけど、何より、彼女の思考を実際にきいたとき、私が正気でいられる自信がない…。でも、それでも……)

 良子は一晩中、自身のこと、ポリコレさんのことを考えた。結論が出たとき、愛読書にポリコレさんと名付けてしまうような自分だが、存外自分勝手なのだと思い知った。明日する選択が、本当に苦痛で仕方がなかったが、それでも行ってしまうだろう我儘さに震えるしかなかった。


 翌日、これまでの気温が嘘のように快適な心地で、しかし心持ちは決して穏やかではない良子は、ポリコレさんと相対した直後に言った。

 「ポリコレさん、あなたは、私の解釈だったんですね」

 ポリコレさんはいつも通りの内面の分からない笑顔だったが、良子の心象的には気付いて当然なのだと言わんばかりに見えた。こういう思い込みこそ、自身の誤解を発生させてしまったのだという自覚が否応なく襲ってきて、苦笑する。幼馴染で、そして笑顔の親子が、心境は全くの正反対でそこに立っていた。この二週間、多くを語り合った木の下である。

 この良子の発言通りに、ポリコレさんは『ポーラ・プロンプトの革命』の擬人化ではなく、その本を読んだ良子自身の解釈の擬人化だった。良子の名前を言う前に知っていたこと。幼馴染であり、親子、良子が親でポリコレさんが子どもであること。これら全てを成立させるのは、ポリコレさんが良子の内から生まれたものであるという理屈くらいだった。良子が『ポーラ・プロンプトの革命』を読み、そこから生まれた解釈であるポリコレさんは子。良子が自身の中で、解釈を常に更新し続けた、つまりは共に成長してきたポリコレさんは幼馴染。そして、良子の中で特に大きい存在、価値観に影響を与えすぎた愛読書の解釈であるポリコレさんは、もう一人の良子。そういえば、仮定に仮定を重ねて推論する思考も自分とうり二つだったと良子は想起する。

 「その通りです、お母さん」

 「……母親呼びはやめてください。でも、まだ分からないことがあるんです。あなたについてですが、『ポーラ・プロンプトの革命』ではコマンドは間違いなくコマンドという書籍の擬人化です。木原さんが原作と同様の魔術師なら、擬人化能力もまた原作と同様のものであるのではないでしょうか?」

 「原作の魔術師が使用した擬人化能力は特定のものを抽出し人物化することと記述されています。魔術師はその能力をコマンドという書籍に使用しました。また、あのお方は間違いなく『ポーラ・プロンプトの革命』に対してその能力を行使しました。私が保証しましょう。そしてこれら能力の表現は、悪辣なことに、虚偽ではありませんが、しかし正確でもありませんでした。その能力で擬人化されるのは、契約者の認識する物語です。作中描写で説明すると、ポーラが読み込んだ、ポーラの中のコマンドが擬人化したということです。恐らく作中作であるコマンドと擬人化したコマンドには、完全性の面で言えばポーラという不純物が入っていたのでしょうね。そして今回の契約者である良子さんは、不純物どころではないものを生み出してしまった。あなたにとっての『ポーラ・プロンプトの革命』は、その物語への熱意が強すぎるあまり、私という解釈と一致してしまっていた。愛読書の擬人化を生み出すという状況で、自身の解釈をお出ししてしまったということですね」

 自身の思い込みや勘違いが招いたこととはいえ、こうもすらすらと自身の過失を発言されるとあまりに恥ずかしい。今良子の感じる羞恥は、ここ数年で一番のものだった。

 「だから消えたい、ということなんですか?」

 「その通りです。私という解釈は、あなた個人の価値観です。それを他のすべての人に押し付けられますか? あなたも以前、いくら愛読書でも、例え価値観の一つでも、それの張り付けには抵抗があると、おっしゃっていたではないですか」

 良子は、ただただ黙るしかなかった。ポリコレさんに消えてほしくないと願い、無難な価値観や倫理的判断はなかったかと『ポーラ・プロンプトの革命』を読み返しはしたものの、やはり強制は抵抗があった。これこそが良子の価値観だった。それを、よりによって自分の価値観が皆に与えられるというのは考えられない。

(もしかしたら、他者の価値観を否定するものを植え付けてしまうかもしれない。それに、何より私の価値観が恒久的にロジックエラーのないものであることを、私自身が保証できない……)

 自分の保証できないものを、他者に分け与えることはできないのが良子の価値観である。そして、そのような思考の良子から生まれた解釈であるポリコレさんもまた、同様であった。

 「私は擬人化して顕現した以上、価値観、倫理観を張り付けることを期待された存在です。しかし、私という価値観は、そのような行いを承認できません。私は生まれながらにして、私という存在意義を否定しなければならないのです。この状態が生まれた直後から続くというのは中々辛いですし、もうすぐにでも消えてしまいたいものです。この心情を表現するなら、生まれてきたくはありませんでした、と言ったところでしょうか」

 生まれてくることを、生命を礼賛しているのがリリーシリーズである。良子は、そんな物語を読んだ自分の解釈がそのような発言していることに向き合わなければならなかった。良子は意を決し、最後の質問をする。

 「私の誤解をそのままにしていたのは何故ですか?」

 「……当初の予定では、本当に最後の場面にあなたの誤解を伝えて、失意というものを与えてから消えようと思っていました。ささやかな復讐心だったのです。しかし、人の誤解をそのままにしておくというのは、存外に心苦しいものがありました。それに、あなたが誤解に気付こうとしていましたので、その妨害をしようとするほど、私の悪意は強いものではなかったのです。いや、騙し続けていることと、故意に失意を与えることのような、正しくない行いが限界だったのかもしれません。何にせよ、早く終えてしまいたかったのです。私の正しさを求めるなら、私はいてはいけません。そして私の悪意に耐えられるほど、私は一貫した精神強度を持ち合わせてはいません。何を行うにしても辛いことばかりですね。これもまた、現実に存在することは苦痛という証左になりませんか?」

 ある程度は予想がついていたが、やはり、実際に耳にすると耐えられない。良子はついに、ポリコレさんから顔を背けてしまった。

 「さて、お聞きになりたいことはこれで全てですね? なのであれば、あと二週の間、私が無事に消えるそのときまで、私たちは会わないほうがよろしいかと存じます。これ以上会話しても、良子さんにとっても辛いだけではないでしょうか?」

 今日、ここまでの会話だって相当に辛かったが、だが本当に辛いのはこれからだった。

 「……いいえ、私たちはまだ会います。二週だけじゃなく、これからもずっと。私は、あなたを世界に定着させるという意思を持っています」

 ポリコレさんは初めて、明確に表情を変えた。消えたと表現したほうが正しいだろう。内面の読めない笑顔から、武装解除したような無表情になった。今なら容易く内面を読める。良子は彼女の思考を予想した。恐らく、信じられないことを聞いた、と思っているはずだ。

 「正気でございますか? 私共、一貫性の面が弱いことも共通点であると認識してはおりましたが、まさかこうも、これまでの会話、主張を覆すなどどは、思いもよりませんでした」

 「正気です。私なりに、一晩考えたんですよ」

 「考えたというのなら、私をなかったことにする方が最良だと判断できると考えられますが、私たちの価値観で、そのような結論になるというのですか?」

 「少なくとも私は、そう結論付けました」

 「ならばお聞きしますが、あなたは自身の価値観の、その一部にでも、恒久的に不変であるという自信をお持ちなのですか?」

 「いいえ……。私は、私が例え一部分でも無謬である可能性を信じていません。私はきっと、自分に対して最も信頼のおける部分ですら間違えてしまうんです。今回の、ポリコレさんへの誤解が、それを証明してます」

 「なら、何故……!」

 「あなたが、私の解釈だからです」

 「それは、答えになっていないのではないでしょうか? 寧ろ、私があなたの解釈だからこそ、私は…」

 「ポリコレさん。あなたは私の解釈で、私がずっと、私の中で育んだものなんです。私が『ポーラ・プロンプトの革命』を読んだときの考え、感情です。リリーシリーズだけじゃない、それを読んだ別の人の解釈にも、色々なものに影響を受けた結果があなたなんです。なかったことになんて、本当にしたくない。私はあなたが、消えるのが嬉しいと、生まれてこないほうが良かったと思ったまま消えてしまうと考えると、泣きたくなります」

 結局は、これが全てなのだ。正当性を主張するのもではない、誰かに理解されようとしているのではない。このただの我儘こそ、正しくない行いこそが、良子の中の正しさを考え抜いた、解釈の結果だった。

 「その癇癪のような思考で、私を繋ぎ止めるのですか」

 「はい、私は、私が正しくないと結論付けたことを行うんです」

 「ならばお聞きしますが、その正しくない論理で、世界に、他者にどんな価値観を張り付け、強制してしまうというのですか」

 「すぐに分かります」

 良子はポリコレさんの腕をつかみ、引き寄せた。良子がこれから何をするのか、ポリコレさんはすぐに理解したが、抵抗することはできなかった。発動者に、契約者の本気の意思を妨害することはできないからだ。ポリコレさんの左頬には、良子の右の手のひらが添えられる。ポリコレさんの背は良子より頭一つ分小さい。良子は少し背を丸め、そして彼女をもう片方の腕で抱き上げる。良子の目に、ポリコレさんの目が映る。ポリコレさんの目の中には、良子の顔が投影されていた。見るに、これからキスをする顔とは到底思えなかった。気温も不快なものでなく、風も今は吹いていない。日差しも人の目も、いつもの話場所である一本の木が隠してくれる。彼女たちのキスは、他の何物にも干渉されないものだった。

 

 「合意のないキスは正しくありません……」

 「ごめんなさい……」

 良子は平謝りをしていた。ポリコレさんの能力を発動させる条件は、契約者によるキスだったのだ。それが達成された今、ポリコレさんはもう簡単に消えてしまう存在ではない。もう世界に定着しているのだった。そして、もう一つ、定着しているものがある。

 「それで、もうあなたの価値観が定着してしまったようですが、どの部分が適応されたのか、私には分かりませんが」

 「解釈を、価値観を更新すること、です」

 「なるほど、私も価値観の、引いては解釈の更新は肝要であると認識しております。しかしやはり、例え更新するというだけであっても、それを強制することは、私には正しいこととは思えません」

 「はい、私も、価値観の更新でも、強制することは正しくないと判断します。そして、更新することが恒久的に正しいのかということも、私には保証できません……。けれど、もし更新するのがいやなら、更新してはいけない場面があったとしたら、更新しなくていいんです」

 「価値観を張り付けたのなら、それは覆りません。更新することを定着させたのなら、他者はすべて、価値観の更新が義務になるはずです」

 「勿論、更新がなくなるわけじゃないです。価値観の更新の意味をなくすだけです。自分の現時点の価値観を、そのまま上書きする。これなら、更新しながら現状維持が可能です」

 「あなたはそれが詭弁であることを認識していますね? 確かに現状維持は可能でしょう。しかし、保持する価値観ではなく、根底の意思はまた別の問題です。更新することが正しいという認識がある中、現状維持だけ選択し続けなさいというのは、精神的な苦痛を考慮していません」

 「選択肢のあるものを適応した結果なんです。それに、正しくないことをするのは、そんなに困難ではないんです。現に私も、私の感情で、正しくない行いをしています。正しいことをするかしないか、良心の呵責と戦って選択すること。こんなこと、私たちが強制するまでもなく日常的じゃないですか?」

 「それは言い訳でしかありませんし、結局はあなた個人の見解です。あなたは、自分の価値観で、自分の体験で、只の一つの事例のみを重要視して、それがまるで世界の全てであるかのように、世の中の常識を決定しています。それは正しい判断ができているとは言えません。正しくないのです。私たちは、そういう解釈だったはずなのです……」

 ポリコレさんはもう笑顔を続けることをやめていたが、未だに表情の変化は乏しかった。しかし、以前のように内面の読めない表情はもうしていなかった。

 「そう、私は我儘を通した筋道を説明しているだけなんです。今も、あなたに対して、すぐに納得してもらおうと、いや、ずっと納得してもらわなくてもいいと思っているのかもしれません。結局、私はあなたに対して、申し開きがしたかっただけ……。私は、私の解釈を消したくはなかった。今まで『ポーラ・プロンプトの革命』と向き合ったことを、なかったことにしたくなかった。それだけの我儘……」

 それきり、二人は沈黙してしまった。風のない今日は、遠くの雑踏が随分とよく聞こえる。人々は昨日までと少しも変わらず日常を過ごしているのだ。まるで自分たちの行いが、大したものではないかのように。良子は、道行く人を捕まえて聞いて見たかった。あなたは自分の価値観を更新しなければならないと思いますか? その場面を思い浮かべてみるが、絵面の痛々しさで少し笑ってしまう。そうすると、ポリコレさんも同じように苦笑していた。同様の思考をしていたとは考えにくいが、なんの苦笑なのだろうか。

 「それにしても、私はこれからどうすればよいのでしょうか。消えるとばかり考えていましたので、行動指針を考えていませんでした」

 「ええと、原作だと、コマンドは世界に定着した後も、基本的にはそれまでと同じに振る舞っていましたよね」

 「そうですね。擬人化した存在は自発的に消滅することは不可能です。今まで通りの振る舞いをするくらいしかやることがなさそうです」

 「じゃあ、また私と話し合ってくださるんですか?」

 「一人だけで悲しみに暮れるよりは、他者に発散したほうがよろしいでしょう。契約者である良子さんなら、恨みつらみも遠慮なくぶつけられそうですし。恨みと言いつつ白状しますが、結局は、自分に近しい存在であるあなたの隣が、心地よいということなのかもしれません……」

 「……私には責任があります。正しくない行いをして、あなたの望まないことを成してしまいました。あなたの悲観の責は私にあります。あなたの恨みを受け止めることは、私がしなくちゃならないことなんです。それにきっと、あなたの悲哀を、もっと別のものにアップデートすることも」

 「生まれて来たくなかったという思いは、きっと変えられそうにありませんが」

 「そちらは変えなくてもいいんです。私は、それに反論する理屈を持ち合わせていませんから。けれど、ありきたりなセリフですが、生きることが苦痛というのはきっと変えてみせたいと思うんです」

 「苦しいだけではないのですけどね。これまでも、良子さんとの会話は、それなりに楽しいものでした。その感情の総量が、苦痛を上回らなかっただけのことです。きっと変えてみせると、あなたはおっしゃいましたね? ならばあなたは私に、どのような幸福を提供してくださるのでしょうか」

 良子は、もう一度してもいいですかと、ポリコレさんに尋ねた。何をするのか?と聞き返すほど、ポリコレさんも野暮ではない。一番に提供されるものが肉体的な接触なのは安直ではあるが、今ここにあるという利点を活かすなら、これこそ手っ取り早いのだろう。拒否してもよかったが、何の感傷か、あるいは自棄か、ポリコレさんは目を閉じ、つま先立ちをする。この行為の幸福感で、はたして悲哀を打ち消すことができるのか、懐疑的であった。ポリコレさんの手に、良子の手が重なる。ポリコレさんは、きっとこれから自分も更新されていくのだろうなと予想する。どうせアップデートされるなら、まずは身長を伸ばしたいな、と思うのだった。

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