覚悟

 覚悟が足りなかった話。


 昨日ちょっとTwitter上で嫌なことがあって、一方的にとある方との縁を切った形になるのだが、それについて少し思うところがあるので自分の気持ちの整理のために書いておこうと思う。


 単純に、僕の覚悟が、物書きとしての覚悟が足りていなかった。それも勿論ある。けれど自分がここまで悲しんで怒って縁を切るまでに至った経緯を忘れてはならない。その刃を絶対他人に向けないため。これは僕が縁を切った相手を責めるものではなく、僕への戒めだ。これは僕の覚悟だ。たとえ罵られようが何されようが、この話だけは消すつもりはない。



 前書き終わり。



 とりあえず昨日あったことを簡潔に纏めようかと思う。


 ①物書きとしての自信も技術も無いから、練習がてら昔書いてた作品(勿論自作)のリライトをしていた。

 ②かなり精神的に追い込まれていて、物書きやめようかと本気で悩みながら書いていたら、少し自分でも自信のある表現が見つかった。

 ③メンタルがまぁ酷いことになっていたので自画自賛しないとやってらんねぇ!ってことで、仲良くしている人とリプで会話していた時に、書いていて気に入った表現を一部抜粋してツイート(※これはリプである)。

 ④とある人物にその自分のリプをRTされる。

 ⑤(実は前々から創作において余計な情報を入れたくないからミュートしていたからその人のツイートは流れてこなかったのだが)何故かその時は嫌な予感がしたのと、単純に興味本位でその人のツイートを見に行く。

 ⑥RT先で、勝手に改変されてこうした方がいい、的なツイートをされていた。


 いやまぁ、きっとその人からしたらそれは単なるアドバイスで、善意と思ってやっていたのかもしれないけれど、僕は許せなかった。どうしても、自分の方が優れているでしょう、と僕の文章を貶すことで自分の立場を守ろうとしているようにしか見えなかった。僕の今書ける最大の文章を、設定を踏み台として使われたことに酷く腹が立った。

 基本的に僕は心が狭い。物書きとして本当に尊敬、信頼している人はぶっちゃけ数人しかいない。その数人以外が「文章力に自信がある」とか言って他の人に対して上から物を申すのなら僕はきっとその人のことを嫌いになるのだろう。

 許せない僕が悪い? 知るか、そんなん。この感覚だけは変えられそうにないんだよ。


 リライトや二次創作とコピー・改変や盗作は違うと思う。前述してきた出来事は僕からしたら後者でしかなかった。

 何が違うか、そこには明確な差があると思うのだ。前者は元の作品への愛があって成立する。元の作品へのリスペクト、キャラクター・ストーリーへの愛。それらが存在しないのなら後者になるのだろう。あの言葉に悪意は無かったとしても、そこに作品……いや、僕の言葉に対しての愛は無かった。


 これは作品への冒涜だ、と尊敬する人の一人は言う。僕もそう思う。お互いの合意の上にリライトするならまだしも、無断で改変するなど言語道断。たとえ貴方にとっては取るに足りない些細な物語だろうと、その言葉はその作者からしか出なかったものだ。仮に自分ならこう表現するのにな、と思っても、貴方の考えたその表現を求められなければ口にしないというのが最低限のマナーではないのか。



 物書きとしての自信は無いが、僕にだって作品を(形式はどうであれ)世に出している以上、プライドが全く存在しない訳ではない。ひとつひとつの作品と向き合っているし、その時にしか出せない言葉を全力で捻り出している。そのプライド……いや、僕の信念を踏み躙られたようなものなのだ。



 自信が無いからと言って、自身の誇りまで卑下することは無かった、と後悔している。

 物書きと名乗れる程の作品が書けているとも思っていなかったから、自分は物書きじゃないと言い張ってきた。けれどそれは間違いだ。僕の持っている物書きとしての信念、誇り、そして最低限のプライドは他人にぐちゃぐちゃと潰されていいものではない。まだ駄文しか紡げないとはいえ、そこに貫きたい信念があるのならば物書きなのだろう。読んで楽しんでくださる読者にも、そしてその作品に対しても不誠実であったのだ。



 僕は物書きだ。



 まだ未熟だけれども、その誇りやプライドを侵害するのは許さない。そして周りに絶対にそんなことしないようにする。


 他人の作品の批判は絶対しない。苦手はあっても嫌いはない。苦手なら読まない。ある程度の住み分けは必要だと思う。だからそこに安易に足を踏み入れない。



 これが僕の覚悟だ。善意を善意と受けとれぬような相手の言葉は聞かない。信じられ、尊敬に値する人の言葉だけを心に。


 これは作者の権利であると共に、自作を楽しんでくれる読者の楽しさを保護するためでもある。あんな拙い文章であれど楽しんで、心を動かしてくれた方がいる。今回の件はまだ未公開だったから良かったものの、公開していたのならば楽しんでくれた読者(がいると仮定して)の感情をも踏み躙る行為なのだ。僕一人が傷付くだけでよかった。僕は僕の言葉に揺さぶられてくれる人を、その人たちの感情を大切にしていきたい。



 絶対に、僕が傷付いたこの刃は他には向けない。少なくとも、物書きを続けているかぎりは。人間として、物書きとして、自分自身が尊敬出来るような人でありたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る