第45話 感染症
「暑い」
「エアコンを使えばいいのに」
「エアコンは苦手だ」
今年の日本は暑い。
屋敷にはエアコンがあるがエアコンの風が苦手な私は扇風機を愛用している。
屋敷の自室のベランダには朝顔などの植物で日差しを遮り、窓から入ってくる風が少しでも涼しくなるように工夫はしているのだがそれでも暑い。
水曜日の午後、いつものように早退して帰ってきたが午後なんかに移動するものではないと改めて感じた。
アクア王国も夏だがここよりは過ごしやすい。
湿度が低いというのもあるようだ。
「それでは少し早いけど水屋に行きますか」
サオリとともに水屋へと移動した。
少しは不快指数も下がったかなと思いながら店の方に行くと険しい顔をしたウォルト王太子がいた。
厄介ごとの香りをプンプンと臭わせてナリルの出した紅茶を飲んでいる。
「タカシさん。待っていましたよ」
「そうかい、それではまた」
「帰るな!」
「厄介事を持ってきたのだろ」
「ああ、厄介だ」
「私には無理だ。帰らせてもらうよ」
「話を聞いてくれよ。王都の住民のために」
「はあ、わかった話してくれ」
「王都で病気が流行している」
話はこうだ。
3週間前から風邪のような症状の患者がでてきた。
今のところ死ぬまでにはいかないが高熱を出して苦しみ完治に10日ぐらいかかるらしい。
そして患者がこの3日ぐらいで急激に増えたらしい。
潜伏期間は2日程度、対処療法としては私の作った解毒の魔法薬がかなり有効らしい。
病原体が何かしらの毒素を作っているということになる。
対処療法を施してうまく体力をつけさせれば治るらしい。
「解毒の魔法薬と回復の魔法薬を供給してもらいたい。そしてできたら原因を突き止めてもらいたい。もちろん報酬は払う。医療関係と薬師関係には話は通してある。むしろ彼らからの要請なのだ」
「感染者はそんなに多いのですか?」
「今朝までに確認できたのが8000人弱だ。死者は出ていないがこのままで済むか疑問だよ」
「了解、まずは魔法薬を供給すればいいのか?」
「お願いするよ」
解毒と回復の魔法薬は作って早速持って行ってもらった。
そして治癒院に赴いて患者の様子を見せてもらうことになった。
治療院では私たちが感染しないように水蒸気の結界を作って患者に近づいた。
「これは・・・・・」
患者の咳からインフルエンザウイルスをの存在が鑑定によって見つけ出すことができた。
この世界の細菌やウイルスもほとんど地球と同じで住民も同じように病気になる。
事前に準備した容器にウイルスを回収して王都にある医療の研究施設に持って行ってもらう。
その研究施設の一角を病気の研究のために使わせてもらうことになっている。
自分たち自身の体にウイルスが付着していないことを確認して水屋に戻った。
やはり結界は便利だ。
結界のお陰で安全に患者に近づくことができた。
水屋では消毒薬と薬用せっけんを大至急準備してウォルト王太子に住民の衛生管理の徹底をお願いした。
次に私はインフルエンザ関係のことについて水屋の書斎で調べることにした。
治療薬が作れるのか?
検査薬が作れるのか?
書斎では主に師匠の残した文献や資料を調べることにした。
また有用な魔道具も探すようにサオリにお願いした。
倉庫で探してくれている。
微生物分析の魔法陣を文献から見つけることができた。
早速魔法陣を描いてみる。
そして魔法陣を少し改造してみた。
では研究所でウイルスの分析をしてみるか。
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