試練 Ⅳ
九月十七日、麻生和幸からメールが届いていた。
今度こそ飯を食おうとの内容である。有沢逃亡事件があってより疎遠になっていた友からの誘いを断るはずもなく直樹は
「よお、先に始めてるぞ」
ココロホスピタルと同じ町外れに京料理屋「あまかけ茶寮」はひっそり佇んでいる。
日が沈んで間もなく、直樹は大文字焼きの筆絵が染め抜かれた青
従業員に案内されると、個室の奥座敷で和幸は刺身皿を前に機嫌良く升酒を一杯やっていた。
「毎度ながら人の到着が待てんのだな、和幸、お前は」
腕時計で到着時刻を確かめたが、針はきっちり七時をさしていた。
「まあまあ、堅い説教は抜きだ。今日は
和幸は直樹に手招きした。有能な医師ではあるが和幸の公私を分けるこういうざっくばらんな態度が好きであった直樹は靴を脱ぐと掘り
「はい。そない仰ると思うて、もう
「また野菜か。ビールくらい
「あのな、奥さんに了解も得ずにそういう一方的な約束をするな。夫婦喧嘩の扱いに疎い精神科医なんて世間に聞こえたらまずいだろ」
おしぼりで手を拭きながら直樹は呆れ笑った。
「医者の不養生って奴だ。精神分析も万能じゃない。特に女は謎だらけ、心得難い」
「その割に気楽に見えるのは気のせいか」
「良い酒と良い友が俺の安定剤さ。おっと、もう注文が来たぞ」
障子が開くや、白米とトロロ汁、生牛タンの乗った小型の七輪、そして中ジョッキの人参ジュースが盆に乗っていた。
和幸は刺身の一切れと交換で焼けたばかりのタンを一枚摘んだ。
「なあ、直樹。瑞ちゃん、元気か。大切にしてるか」
和幸は何気なしに尋ねたが、結婚して随分経つのに子供が産まれないのを誰よりも気にしているのは瑞樹本人である。不妊症かと疑い検査してもらったが異常はなかった。
直樹はジュースを飲んで口を濁した。
「最近ちょっと色々あって上手くいってない」
「女房孝行のお前にしては珍しいな。原因は仕事か」
七輪で焼ける肉の煙から離れて直樹は、ああ、としか答えなかった。
誰でも憚る内情はある。和幸は吟醸を升に注ぎながら話題を変えた。
「ところでお袋さん、名私大に転院してからどうだ」
「
「人物誤認か。また徐々に進行しているな」
「でも大事なお袋だ。
悪化していくだけの母を思い返した直樹はあおるように人参ジュースを飲み干した。
すると突然升をテーブルに置き、和幸は背筋を正した。
「──たった一つだけある。ADは無理だが、HCCとPBCを緩解する治療法は残されている。外科的な手法だが」
それを耳にした直樹は鼻で笑った。
「外科とはお前らしくない見立てだな。知ってるだろ、癌の手術は摘出出来ない部位にある以上無理だと医師から改めて言い渡されたんだぞ。症候性肝硬変で肝機能が弱っているなら尚更危険もある」
「いや、その肝機能を正常に取り戻す方法があるんだよ」
「ほ、本当か。何だ!」
精神科とはいえ和幸は他の科においても知識が深い。直樹は白い煙に紛れる友を大声で急かした。和幸は七輪を脇へ退け、硬い顔を現した。
「生体部分肝移植だ。唯一の手段は」
「──臓器移植、そうか、その手があったか」
何故今まで考え付かなかったのだろうと、直樹は一度に霧が晴れた思いがした。
和幸はそれでも一度冷静に考えるよう止めた。
「俺は方法があると言っただけだ。事は手術、早計に決断するな。生体肝移植は
「俺はお袋の為なら何でもすると話したばかりだぜ。名私大のパンフレットには確か移植外科も載っていた。そうかそうか」
慎重な直樹がこんなに喜ぶのは初めてであった。
和幸は既に決めている友に息を抜いて助言した。
「移植への精密検査は無論の事、いざ開腹となると職場復帰までの後養生に、確か二、三ヶ月掛かるぞ。拘置所の方は平気なのか」
「上司に談判すれば休みぐらい何とでもなる。よおし、今日は前祝いだ」
直樹はジュースをお代わりすると満杯のジョッキを上げた。和幸は「お前のが酒じゃないのが味気ない」と不満を漏らしたが、アルコールは肝臓に悪いと真面目に返された。
そして早速翌日の午前八時、担当を相馬に代わって貰った直樹は軽やかな足取りで名私大の消化器内科病棟へ向かっていた。
九時には回診がある。妙子の病室に控えていた直樹は、主治医の井俣が診察を終え廊下に出た所を掴まえると、生体肝移植について相談を持ち掛けた。
唐突な腹案に井俣は表情を愕かせたが、一考した後、昼一時に話し合いの予約を入れてくれた。
思い通りに事が進み、時間が空いた直樹は、六階に位置する移植外科病棟を見学に訪れていた。
病棟の廊下を歩いてみると様々な年齢層の患者がひしめいており、子供部屋の窓際には同級生が折っただろう千羽鶴の塊が幾つも風に揺れているのが見えた。
臓器を待つ
現在日本に於ける移植臓器は、脳死移植が限定的な条件下で認可されたとはいえ全くの数不足で、廊下の壁には、翼の生えた子供が描かれた臓器提供意思表示カード、いわゆるドナーカードのポスターが所々に貼り付けてあり、「もっともっと愛の手を」との標語が特大の文字で書かれていた。
「さて、昼飯でも食っておくか」
階を一通り回り終えた直樹はエレベーターホールに足を進めた。
その時である。
「きゃっ!」
廊下の角を曲がった途端、直樹は胸と腹に強烈な体当たりを感じた。
見ると、タックルさながらぶつかり、跳ね返されたのは小柄な身体であった。慌ただしくエレベーターから走り出したところ衝突したのだろう、セミロングの茶髪を外側にはねた若い女性は、散らばった資料の上でスカートの腰を痛そうに押さえていた。
直樹は尻餅をついたうら若き彼女に黙って手を差し伸べた。
「申し訳ございません。私、仕事で急いでいたもので。お怪我ございませんでしたか」
軽々と助け起こされながらも逆に気遣ってきた相手に直樹は自分の鼻先を触った。
「貴女こそ大丈夫ですか。ここ、赤くなってますよ」
「え、血出てます?」
「いえ、少々赤むけているだけですが」
「では構いません。こういうのは日常茶飯事ですし。ああっと、いけない、審査会議に遅れちゃう。誠に申し訳ございませんでした、失礼致します」
慌てて資料を掻き集めた彼女はピンクの腕時計を見て一礼するや、気忙しく駆けていった。
エレベーターに乗った直樹は、その中でも「日常」と自認する彼女のせっかちな行動に笑いが止まらなかった。
ただ、その笑みは長く続かなかった。食後に訪れた内科病棟の会議室で井俣に移植を拒まれたからである。直樹は理不尽な拒否に怒って説明を求めた。
「どうして受け入れてもらえないんですか。私は何も母を待機患者にするつもりはありません。息子の私がドナーになって肝臓の一部を提供するんです。母の血液型はO型、私も同じです」
「落ち着いて下さい、東さん。私は血液型云々を理由に挙げているんじゃないんです」
困惑する井俣の横顔が窓ガラスに映った。直樹の声は余計荒くなった。
「癌患者は適応でないとでも!」
「いいえ、もちろんPBCも肝細胞癌も範囲に入っています」
「だったら何が引っ掛かっているんですか。先生は抗癌剤の副作用で苦しむ母をこのまま見捨てろと仰るんじゃないでしょうね」
「とんでもない。私が申し上げているのは主としてアルツハイマーの病歴です。当院での移植には複数の条件があって一つでも適しないと承諾しない仕組みになっているのです」
「つまり惚け老人は死ねとの含みですか」
「それは誤解ですよ。ううん、弱りましたね。どう言い換えたらいいのかな」
井俣は戸惑いながら直樹を見た。鋭い眼光には一歩も引かない覚悟が滲んでいる。
暫しの沈黙後、「分かりました。取り敢えず移植を仲立ちするコーディネーターへ連絡を付けましょう」と井俣は重い腰を上げ、壁掛け電話を取った。
「船堂先生ですか、消化器の井俣です。ご無沙汰しています。あの、吉住君は今日出勤していますか。ええ、
医師の犯罪も今や有り触れている。医学用語であっても看守の直樹には電話の内容がはっきりと判っていた。やはりネックはアルツハイマーだと悟り、それでも移植を押し通そうと腹を括った。
井俣は受話器を置くと直樹に伝えた。
「東さん、移植外科病棟はご存知ですか。午前中に行かれた? では、ナースステーション脇にある第三会議室に一時間後お訪ね下さい。吉住というコーディネーターが待っておりますので詳しい話は全てそちらでお願いします」
「遅いな」
直樹はハミルトンの秒針を目で追いながら会議机を指で何度も叩いた。
一時間は疾うに過ぎ、指定された会議室に入室してから更に五十分が経過していた。もはや待ち切れず、自分の方が場所を誤ったのではないかと焦りに駆られ、腰を上げドアを引いた。
と、その瞬間、「きゃっ」との悲鳴と共に、吸い込まれるように人が勢いよく突進してきた。
咄嗟の事で受け身もままならず、直樹は背中を床に強打し堪らず咳き込んだ。
「ああ、申し訳ございません。お怪我ございませんか」
「き、君はさっきの」
聞き覚えのある謝罪に直樹は首を持ち上げた。極まり悪く起き上がったのはエレベーター前でぶつかってきた女性で、二度目の体当たりに顔が赤らんでいた。
「再度失礼致しました。今度も急いでいたもので。後頭部とか打たれていませんか」
「大丈夫です。それより移植コーディネーターの吉住さんという方をご存知ありませんか。ずっと待っているんですが、お見えにならなくて」
立ち上がった直樹は苛立った不興顔で再び廊下を眺めた。
するとその女性は鼻を擦って尋ね返してきた。
「では貴方が東妙子さんの御家族の方ですか」
「──え、ええ。私は息子の直樹です」
「よかった。会議と業務手続きで大分遅れてしまったからお帰りになってしまったんじゃないかと大急ぎで駆けてきたんです。お待たせして大変申し訳ございませんでした」
直樹はファイルとカルテケースを両手に持って深々と頭を下げる姿に顔を青くした。先程の白いブラウスとスカートの上には白衣が掛っている。
「まさか、貴女が」
「申し遅れました。レシピエント移植コーディネーターの吉住佐和子です。移植外科の船堂先生から依頼されて参りました。どうぞよろしくお願い致します」
佐和子は白衣の胸ポケットから名刺を取り出すと、未だ凍り付く直樹に手渡した。
冗談だろう、と直樹は「JOT(日本臓器移植ネットワーク)特例依嘱・JSTT(日本組織学会)認定・名古屋私立大学病院移植外科専属コーディネーター・吉住佐和子」との印刷文字と本人を見比べた。
百六十センチにも満たない背丈に、高校生のような若き容貌、そして何より落ち着きのない行動がとても臓器移植調整者とは信じられなかったが、名刺に刷られた顔写真は確かに一致していた。
「病院め、新人の女を寄越しやがったな、というお顔をなさっていますね」
憂色を読み取りつつ佐和子は着座を勧めた。直樹は意中を読まれ更に不機嫌になった。
「こう見えてもコーディネーター歴は長いです。ご安心下さい──って、いつまでもそんなに
佐和子は猜疑と怒気を含んだ眼差しに態と長い口調で語り掛けたが、直樹は硬さを崩さなかった。そうすると佐和子は徐に白衣を脱ぎ、立ち上がって直樹の脇に立った。そしていきなりスカートのボタンを外したかと思えば、ブラウスの右裾を引き上げ素肌を露出させた。
「な、何をしているんです」
突然の謎めいた行動に直樹は面食らった。
捲られた肌は会議室の薄明かりでも白色を輝かせ、僅かに覗く深い臍と、鼻孔をそそるバニラオイルのかぐわしい香りが怒りの感情を混乱させた。
「ここの手術痕が見えますか、東さん」
「え?」
直樹は佐和子の人差し指が示すくびれのやや下部に細い縫い痕を見付けた。
「私は十年前に腎移植手術を受けたんです。急性腎不全が原因でした。腎臓は姉から分けて貰いました。ですから肉親を何としてでも助けたいと切望なさる貴方のお気持ちは痛いほど判ります」
佐和子は服を直して笑み掛けた。それは幼児性が消えた、慈悲に溢れた穏和な微笑みであった。
「私は臓器不全で苦しむ患者さんのために尽くしたいんです。ここでは特例で看護師でも医師でもありませんが移植コーディネーターは命を繋ぐパイプ役です。信用して下さいませんか」
それでも直樹は信頼出来なかった。移植経験者で志は立派でも能力は別物である。
だが、そんな不安を一度に掻き消す事態が起こった。
「佐和ちゃん、ここにいたのか。探したよ」
一人の若い医師が会議室の扉をノックし、息せき切って佐和子に助けを求めてきた。
「どうしました、芹沢先生」
直樹の姿を確認するなり芹沢は佐和子を近くに呼んでひそひそ耳打ちした。
「実はね、君の働き掛けでバイク事故の御家族から心肺の提供を取り付けたまではよかったんだけど、どこから聞き付けてきたのか待機期間は私の方が長いと望月さんが僕に怒鳴り込んできたんだ。後で出向いてくれないかな。序でにステロイドを懸念してる鹿野さんのケアも頼むよ」
「またですか。今回のドナーはCMV(サイトメガロウイルス)抗体が、レシピエントの五木さんと同じ陰性だからコンピューターによって選択基準に適応されたんですよ。その点をちゃんと補説して下さいましたか。両者の
「一応言い含めたんだけどね、全く聞いてくれないんだよ。頼むよ、佐和ちゃん。僕達はこれからオペの準備に入らないといけないから時間がないんだ」
「仕方ないですね。望月さんには後で伝えておきます。鹿野さんにも薬理と
「ああ、もう一つ、片肺待ちの例のレシピエントなんだけど」
「神奈川の岩水さんなら先程
「さすが海外で
「褒めても何も出ませんよ」
佐和子は照れながら、会議室を走り去る医師を見送った。
「東さん、度々お待たせして申し訳ございません」
直樹へ丁寧に頭を下げ、佐和子は説得を再開した。
「さて、私と致しましては先ずレシピエントとドナー双方のご理解とご協力を得て──」
「吉住さん、前置きはもう結構です。母の病状と移植について教えて頂けませんか」
それを聞いた佐和子はぱっと明るくなった。教えてくれとは信用してくれた証である。
一方、直樹も直樹で吉住佐和子という、まるで二重人格のような性格に魅入られていた。つい五分前までは頼りなかったのに芹沢と対している時は凛々しいプロに変化していた。
佐和子は縁無し眼鏡を掛けるとケースからカルテと資料を抜き出した。
「データを拝見させて頂きましたが、お母様は、医学的には大変稀な症例ですが、原発性胆汁性肝硬変から原発性肝臓癌を併発なさっています。両者とも明らかに肝臓移植対象疾患となっています。ロジスティック回帰式では値が七十パーセントで、これも適応基準を満たしています。ここまでは問題はありません。但し──」
「あの、その回帰式とは一体」
直樹は聞き覚えのない用語に解説を遮って質問した。
「え。あ、すみません。説明不足でしたね。簡単に申し上げますとPBCにおける六ヶ月の死亡確率を表す数式なんです」
「えっ、では七割を越えているなら、母はあと半年しか持たないんですか」
「いいえ、これは飽くまでも算出です。人の命は予想計算に左右されるものではありません」
ほっと直樹は息を漏らした。ところが、安堵と裏腹に佐和子は数枚の腹部断層写真を直樹に示しながら険しい顔を作った。
「但し、楽観は禁物です。画像診断では妙子さんの癌細胞の径はミラノ基準限界の五センチ、則ち肝外転移の可能性が極めて高いのです。移植の条件はとても厳しく、現在は抗癌剤で進行が抑えられていますが、仮に癌細胞が他の部位に転移したならば移植は即刻中止されます」
「ならば転移の有無で母は移植を止められているんですか」
「そうではありません。移植に於ける絶対的除外条件である『他の主要臓器の進行した不可逆的障害』の項目に該当すると認識されたためです。若年性アルツハイマー病は余命が七年から十数年とされる不可逆的な脳障害です。真性痴呆である場合は当院の適応から除外されます」
直樹は力無く項垂れた。移植を薦めた和幸の診断がそのものを潰すとは思いも寄らなかった。
「本当に何とかなりませんか、吉住さん。どんな方法でも良いんです」
「これは法律ではありませんが規約なのです。九割九分覆すのは困難です」
ここで
「残りの一分に見込みがあるんですね」
「はい。現段階において待機の場合移植は見送られます。しかし、今回は家族間の生体肝移植で、望みが無いわけではありません。それには最終判定を下す倫理委員会でプロジェクトのドクター達を何かしら別の形で説き伏せる必要があります」
佐和子は脳のレントゲンとカルテを睨み合わせて自問自答した。
「もしも絶対的不可逆の点を無理にクリアしても、相対的除外条件が突き付けられるわね。見当識障害で
生肝におけるAD除外へ医学的疑問を抱いていたコーディネーターの思考はあらゆる抜け道を模索していた。年齢は望ましいとされる基準より五歳オーバーしているものの体力的にも一応落ち着きを見せている。成功例を挙げなければならない移植医は猛烈に反対するに違いない。とすれば手段は一つしかなかった。
佐和子は何かを決めた瞳で直樹に目線を向けた。
「東さん、資料の備考欄によると貴方は豊橋の麻生先生とお友達なんですよね。では私とお引き合わせ頂けませんか。出来れば早い内に」
「ええと、麻生なら確か今日は午前診療のはずですから直ぐにでも連絡は取れますが」
何故和幸の名が今出るのだろう。病名の再確認のためか、それともADの進行具合を知るためなのか。尋ねられた訳も分からぬまま直樹は壁掛け電話を借りると外線でココロホスピタルに繋ぎ、手短に経緯を明かしてから佐和子に受話器を譲った。
佐和子は自己紹介を済ますなり本題に入った。
「ところで院長先生はうちの三浦京介をご存知ですか、脳血管部の。あら、大学の同期生で同じサークル、奇遇ですね。実は東妙子さんの件で内々にご相談があるんです。お手数ですが明晩こちらまでご足労願えませんでしょうか。お車は手配致します。ええ、カルテと詳細な記録がございましたら、ご一緒にお持ち下されば、恐縮です」
時間の確認を済ませ電話を切った佐和子だが、その笑顔には言い知れぬ怪しさが浮かんでいた。直樹はくるりとスカートを閃めかせる姿に訊いた。
「あの、麻生とは一体何の話が?」
すると佐和子は喜色を満面に浮かべ唇に人差し指を当てた。
「丸秘事項です」
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