幻の世界で君は…

夢咲 零於

プロローグ

 いつもと変わらない時間、いつもと変わらないアスファルトの黒と白の縞の横断歩道

 いつもと変わらない足取りで歩く…ふと、周りにいた人々が驚き、恐れ、逃げ惑う…

 僕は遅れた。


 赤信号を無視した車が僕を引きずり、赤黒い液体をばら撒いた。

 僕は轢かれた。


 僕の意識が消える前、

 一人の女の子が近くのビルから花弁の落ちる時のように綺麗に…

  

 僕は頭の痛みとともにこの世の一生が消えた。

 女の子は頭から地面に落ち、この世の一生を消した。


 二人は同時に――



 ――死んだ


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