第28話永遠
いつもの料亭で向かい合う二人。
「プラネタリウム、素敵でしたね」
「花さん、そっちに行っていいですか?」
「はい、お食事はもういいんですか?」
「もういいです」
花も箸を置く。
花を抱きしめ、キスをする。
そのまま、ひざまくらになり
花の手を握る。
手の甲にキスをして、頬にあてる。
花が、山田の髪を撫でる。
「今日は寝ないでくださいね」
「寝ません!絶対…寝ません!」怪しい。
「花さん…ありがとうございます…
こんな…ぼ…僕を…受け入れて…くれて…
ほんとに…自信が…持てました…ありが…と…
………ぐー」
山田の髪を、愛しそうに撫でる花。
花は膝に山田を乗せたまま
ゆっくりランチを済ませた。
「じゃあ、また」
「また」
ランチが終わり、いつものように別れる。
山田はどうしても帰れなくて
花の後ろ姿をずっと見送る。
ふいに花が振り返った。
笑顔で手を振る。
山田は、永遠を知った。
家事をしながら、山田のことを思い返す。
皿を洗う手が止まり
水が流れっぱなしになる。
「ママー!出しっぱなしダメ!」
「あぁ、ごめんね」
「ほら、パジャマ着て」
裸で駆け回る子供を捕まえて
パジャマを着せる。
湯上がりに、庭に出て涼む。
芍薬の花がまた咲いている。
摘み取って、花瓶にいける。
甘い香りが広がる。
「いい香りだね」夫がビールを持って来る。
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