第25話 失楽園
二人でいつもの料亭でランチ。
「海、楽しかったですね」
「はい」嬉しそうな山田。
「いい1日でした」
「あの…山田さんにお願いがあるんです」
「はい、何ですか?」
「金曜日に、私をどこかへ連れて行ってもらえませんか?」味噌汁を吹き出す山田。
「ど、どこかへ?」失楽園!?
「はい、どこかデートへ」
「そ、そうですよね…」
「どこがいいですか?」
「山田さんにおまかせします」
「ええっ、どうしようかな…」
「楽しみにしてますね」
ひざまくらでまた堕ちる山田。
膝の上に山田を乗せたまま
花はゆっくりランチを済ませる。
花は、ずっと考えていたことを
リリーにLINEで伝えた。
「こんにちは
今日はリリーさんにお願いがあります。
来週以降の予約をストップしていただけませんか?このお仕事を続けるかどうか考えたいと思います」
「花ちゃん、どうしたの?何かあったの?」
「いえ、何もないのですが、ちょっと考えたいと思います」
「わかりました。では来週以降からストップしますね。答えが出たらまた連絡ください」
「あと、来週の伊豆のチケット送ります」
「ありがとうございます」
「花ちゃん、大人だしまかせるけど
自分と、家族を大切にね」
「はい、ありがとうございます」
終業間際、上司がみんなを集める。
「ちょっとみんな聞いてくれ。
急なんだがオレは今月でこの会社を辞める」
みんなざわつく
「みんなには世話になった。ありがとう」
「オレの後任は、上と話し合った結果
黒田に任せることにした」
またざわつく。
「えっ、オレっすか!?」
「あぁ、よろしく頼む」
「そういうことで、みんなありがとう。
送別会は無しで!以上」
じゃあなと言って出ていく上司。
みんながざわついている間に
山田は上司の後を追う。
「あのっ、一度見に行ってもいいですか?」
「あぁ」と言ってカバンを探る上司。
名刺を差し出す。
「ここだ。いつでも来いよ」
「ありがとうございます」
片手を上げて去って行く。
「お疲れ様でした!」深く頭を下げる。
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