第16話結婚

「仕事なんてやめてやる!」

「なに言ってんだよ」

「花さん、今度兄貴も海行きたいって」

「かしこまりました」

「今度二人で行きなよ」

「えっ、ふ、ふたり?

な、なんだよ…お前…絶対手出すなよ!」

「どうしよっかなー」

「マジ許さねぇ」

「心配すんなよ。またな」


「ワンオクのどの曲が好き?」

「changeとか…」

「いいよねー!俺も好き」

changeを流す。

「ねぇ

火曜日の帰り道に一緒にいた人、誰?」

「帰り道?…あー、ケイさんだ!

ホワイトリリーのスタッフですよ」

「そうなんだ

あんなかっこイイ人いるんだ」

「リリーさんのパートナーですよ」

「マジ!?」


「わー!海見えてきた!」

「ルーフ開けますね」

「はーきもちーい!」

「そういえば、昼間のデートなんて何年ぶりだろ?オレもある意味こじらせてんなー」

「きれいな海…」

「非日常だね」


駐車場に車を止めて砂浜に出る二人。

シートを敷いて、ランチを広げる。

「俺のおすすめカフェのサンド」

「わぁ、おしゃれ!おいしそうですね」

二人で頬張る。

「んーおいしい!」

「このカフェのレモネードもおいしくて

サンドと一緒に飲むとサイコーなんだよね」

「おいしそう!」

「今度行こう」

嬉しそうにうなずく花。


食事を終えて、ひざまくらで寛ぐ。

「花さん、旦那さんは怒らないの?」

「ドライブのことは言ってません」

「ひざまくらのことは?」

「もちろん言ってません」

「悪いひとだなー」

「お仕事ですから」

お互いにふふと笑う。

「結婚ってどんな感じ?」

「幸せですよ。独身のときより」

「そうなんだ。やっぱおすすめ?」

「うーん、人によりますね。

相手の幸せが自分の幸せになる人は結婚に

むいてると思います。」

「なるほどー、深いなぁ」

「結婚、考えてるんですか?」

「全然。考えられないから悩んでる」

「必ずしなくてもいいと思いますよ」

「だけど、それでいいのかな?兄貴もムリそうだし、親父に孫の顔見せてやれないのかなーとかね」

「親は子供が幸せなら、それでいいんです」

「さすが。説得力あるなぁ」

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