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「あーんー」

 最近独り言が多くなった。いや、実は最近じゃなくて昔からなのかな。気付いたのが最近だってだけで。一人だと誰とも話すことがないから自分自身に話しているのかも。独り言の原理ってこれ?

 電気を消して、枕元の明かりだけを弱くつける。下のシーツを夏仕様にした。上布団はまだ警戒して羽毛布団のままだ。だって薄い肌掛けにしたら絶対に腹を冷やすから。この時期は油断ならない。俺はもう腹を冷やしたくない。

「んん」

 充電器を繋いだスマホの電源を入れる。新規のメッセージがきているみたいだけれど、ミケからなので無視をすることにする。俺はもうお休みモードなのに『はなちゃん暇してるー?』という文字が見えたから。こういう時はメッセージを開けてはいけない。既読スルーしたことがばれたら面倒だから。最初から気づいていない事にする。だってもうすぐ時計の針が真上を向く時間だから。寝ていたって不思議じゃない。

「ふぁぁー」

 どうしてだろう。いつもならキビキビ仕事をしている時間だって言うのに、風呂に入って布団に横になると途端に眠くなるのは。あくびが止まらない。酸素が足りてないのか?

「すぅぅぅ、はぁぁぁ」

 深呼吸してもあくびは止まらない。これはもう頭を置いて先に身体がお休みモードに突入したのだろうか。あぁ、眠い。

 パチン、と枕元の照明を落とす。一気に視界が暗くなった。もう眼を開けているのか閉じているのかさえ分からない。ただシーツのサラサラとした感覚だけが分かる。

 枕の位置を直して布団を肩まで被る。この間貰ったルームフレグランスの香りが鼻先をかすった。首を動かすと髪が顔に掛かった。でももうそれをはらうのも面倒だ。身体が動きたくないって言っている。頭ももう動かなくていいって言っている。

「ふぅ」

 なぜか自然と笑みが零れた。

 あぁただ眠るということだけなのに、どうしてこうも幸せなのだろう。あぁ、本当、お布団、最高・・・

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