二十一 女装デビュー

羊が、売られていくよと流れるように、僕は、カメッリアお姉様お部屋に、きていた。なんか、着せたい服とか、ヒラヒラとか、いろいろありすぎて、目の間に……、これ全部着るのかな?

「フルグル、この白いの似合いそうだよね、肌が、白くて……」

 お姉様は、僕の肌を手でペタペタと触る。凄く何故か楽しそうに、鼻歌も歌いながら触っている。

「フルグルて、お婆様と一緒で、真っ赤な色の髪で、瞳がエメラルドのような色をして、きれいよね、女の子だったら可愛いのにね」と、僕が、男の子だと言う事を忘れているような発言が出る。

 カメッリアお姉様は、僕の髪の毛をいじっている。まだ赤ん坊なので、そんなには、伸びてはいない。

「さてと、この白い服をきたら、次に、水色のこの服をきましょうね」

 着替えも、脱ぐのも、全部、カメッリアお姉様が、楽しそうに、遊んでいる。僕は、されるがままの状態だった。だんだんと目的を忘れかけているが、これで、目的が達成できるならとなんとか笑顔をする僕……。

「お姉様が、着たら可愛いデザインばかりですよね」と話すが、絶対に、聞えていないで、服に夢中だった。

「この服を、普段に着れたら、私が、うれしいだけど無理よね」

 いますごく、さらっと凄い事を言っている。お姉様の発言が怖い。

「さてと、弟君は、この赤いヒラヒラ系とこっちの向日葵のデザインとどっちがいい?」

「い、いつもの服で、大丈夫です」

「違うよ、弟君おとうとくんそれは、いつもの服だけど、私が言ってる二枚の服のデザインじゃないよね?」

 言葉を間違えた、ここは、赤いが正解だったのか……。

「あ、赤いのをお願いします」と消えそうな声で言った。

 そろそろ、良い時間なのに、お母様から連絡がこないけど、休憩とかしてたらどうしよう……。

「やっぱり、解ってるね」

 こんどは、赤いヒラヒラの服に、着せ替えさせられた。

――すると、「コン コン」とノックの音がする。ガチャと扉が開くと、お母様が、人形を抱えて入ってくる。

「あら、フルグルが、可愛くなってる」

「お母様も、そう思います?」

「えぇぇ、とても似合っているわね」

 あれ、これ、僕が、ピンチなのかな? それに、人形が、ベットの陰に置かれている。

「カメッリア、この頭につける飾りとか、つけるとよりいっそう、人形みたく見えないかしら?」

「お母様、天才ですか、これは、可愛すぎます」とお姉様が、凄く喜んでいる。(棒読みで心で叫んでいる)

「僕が、着るよりも、お母様の方が、綺麗ですよね、お姉様……」

 僕も頑張って、抵抗してるが、まったく動じない二人。

「フルグルは、当分、男の娘で、いいじゃないかしら? 可愛いし、四姉妹でもいいかもね」

「僕には、兄が二人いるので、男の娘ではなくて、『子』です、ここ大事だと思います」

 お母様は、人形に、女装をさせて、今度は、僕の様に、仕上げていくと見た感じが、僕になる。

「カメッリアに、これをあげるから置いていくわね」と僕を抱きかかえていく――。

 お姉様は、浮かれた状態で、そのまま人形を受け取り、お着換えねと呟いて、着替えを再開し始める。その間に、僕とお母様は、お部屋をあとにする。どうやら、お母様は、僕を助けてくれたようだ。

 のちほど聞いた話だが、人形に気づいた、お姉様は、お母様に、凄くお礼を言ったらしい、これで、いつでも一緒だと、その後が、大変だった……。

「「フルグルが、女装してる~」」と双子の姉妹に、からかわれて、兄様達は、元気に生きろと言って来るだけだった。

 最近凄く、気になる事だが、着ている服が、少しヒラヒラがあるのは、気のせいだろうか……。

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