流離のフロールヴのサガ
ル・カレー3b
第1話 彷徨う男
男がこの大地を一歩、また一歩と足を進めていく。
他の旅人の様にはっきりとした当てがあって歩いている訳では無かった。むしろ当てを探す為に彼は彷徨っているのだ。
歩きながら天から男を見下ろす太陽を見返し、そして遥か遠くからも見える巨大な樹へと目を移すと唐突に足を止める。同時に身に着けていた装備品同士が擦り付けられて軋む音と休もうとする男の吐息だけがその場に聞こえた。
目に映るのは左右に割れた分かれ道。
どちらの道がより自身の目的に近づくかは分からない。どちらが当たりでどちらがハズレか・・・。もしかするとどちらともハズレかもしれない。
道を選ぶ事がいかに当ても根拠もないかにすぐに気づいてしまう。
「
真下に落ちてあった折れた枝を片手で掴んで軽さを確認すると勢い良く太陽目掛けて投げつけた。太陽へ届かなかった枝は回転を加えて地面へ戻ってくる。そして落ちた枝は右へ続く分かれ道の方を示したのだ。
枝の示すままに再び足を進める男の顔には僅かな笑みが浮かんでいた。
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