第13話 胎児

 あの子を嫌ってる人を見たことがない。あの子と話せば誰もが好きになってしまう、その言葉が大袈裟じゃない程に。それくらい魅力的。

 特別な力を持っているわけじゃない。見た目は可愛いけど、でもそれだけじゃない。

 心が綺麗で清らかで、誰よりも正しくあろうとする。正しくと言っても、正義を振りかざすわけでもなく、柔軟に相手に合わせられる人。

 そんな人だから、恋愛としてじゃなくても、人として好かれる。

 まるで二次元から飛び出してきたかのような存在でも、私の目の前で動いている。

 ちいさな体をおおきく動かして、少し子供っぽく落ち着きがないかと思えば、話せば少しおっとり大人っぽい。

 私はもちろん、他にもあの子を好きな人はいる。お互いに気持ちはわかってるから、ライバルだらけ。でも、毎日あの子と過ごせる学校がすごく楽しい。

 学校が楽しいなんて思える日が来た。私が小さい頃に決めつけていた学校の定義は、あの子の存在で簡単に覆された。

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