第13話

新学期になった

クラス替えがあり、美香ちゃんの担任からは外れた


内心ホッとした。

これから始まる学校行事

無理に平静を装わなくてもよかったから。


俺たちは相変わらずの日々を送っていた



「美香、今度、担任になった吉川先生、以前からお姉さんのように慕っての。可愛い人だね」


「そうかなぁー。珍しいね、学校の話するなんて」


「しない方がいい?」


「うん、薫といる時は先生ってことを忘れたいんだ」


「わかった、ごめんなさい」



しおらしい顔で俺の胸にすり寄ってくる彼女が愛しくて、遠慮がちに添えられた手をグイっと引っ張って腰に回させた



「あれ?薫、指輪…」


「うん、ここの指輪はちゃんと大切にしまってある。今は……裕太だけだよ」


少しくぼんだ薬指をなぞりながら、彼女が恥ずかしそうに微笑んだ。

そんな笑顔、見せられたら、胸の奥が熱くなる



どんな言葉を選んでいいかわからず、薫の小指にキスをして、しっかりと抱きしめた



抱きしめれば抱きしめる程、側にいたいと思う気持ちが膨らんでくる



移りゆく季節がスローモーションみたく、ゆっくりと流れていて、

早送りして見てみたいようで……見たくない





裕太

言葉はなくても伝わるよ


私に触れるあなたの指先から

“愛してる”って何度も何度も

伝わってるよ

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