第28話 タタラ盗賊団討伐クエスト6
「テンテン起きて、テンテーン起きて~、もう、ニードルヌードル」チクっ
「いってぇえーーー」
「テンテンおはよぉ~ぷぷ」
樹神に起こされ、いや刺され天志はまだ暗いうちに目を覚ます。
樹神は続いて菊之助を起こしグサッ、部屋から出ていった、樹神が寝ている女子部屋に戻ったのだろう、何で樹神はあんなにハイスペックなのか、手のかからなすぎる子供でビックリする、菊之助の方が手がかかりそうだ、天志はまだ眠い目をこすりながら用意をし食堂に向かう、時刻はまだ5時前だ。
「おはよう」
すでに食堂に来ていた女子部屋の三人とヒースに挨拶をする、リンは天志が部屋から出る時に、頭の上へ移動し、また寝ている。
「天志ちゃんおはよう、今日は皆早いのねこれでも食べて、寝起きで食べれなかったら持って行って」
女将さんはこんな早い時間から宿泊者の朝食の準備をしていた、そして天志達には持っていかれるようにおにぎりを用意してくれていた。
「おはよう女将さん、いただきます」
おにぎりを一つ口に入れ、二つをバックに入れた、最後に菊之助がきたところで出発だ、最初にグリーフ城に転移し、歩いて盗賊のアジトまで向かう、予定では6時前にはアジトに到着する。
昨日の襲撃時間と、ここ一週間の行動を考えれば、この時間はまだ寝ているはずだ、盗賊団の寝込んでいる所を襲撃し、一網打尽にする作戦だ、昨日の夜に襲撃する案もあったが、天志達尾行組がマラソンで疲れていることと、盗賊団がいつ寝静まるのかがわからなかったので、早朝襲撃に決まった、ちなみに夜襲をかける案を出したのはマラソン帰りの天志だ。
天志達は馬小屋の場所で、小屋の中に盗賊がいるか確認する。
「ここには誰もいないな」
天志が言う
「寝る時にはアジトの小屋に戻るみたいね」
「ならアジトにいるのはタタラと小屋に居た一人を足して、えっと、二十四人ってことか」
「菊、昨日の点呼聞いてなかったの?全部で二十五人よ」
菊之助は点呼がおかしいことには気付いていたが、何がおかしかったのかまではわかっていなかったようだ、菊之助が謎々を考えながら盗賊団のアジトに到着する、やはりまだ寝ているのか外には誰もいない、見張りすら立っていないお粗末さだ、君達悪いことしてる自覚があるのかい?と聞きたくなる。
「いいわね、天志と菊が突入してとにかく倒す、逃げ出してきたのは私とかなめで仕留めるわ、樹神は念の為天志達が突入したら小屋の裏に回って頂戴、私が最後に位置に着くからラインで合図するわ、印が光ったら作戦開始よ」
「了解」「わかったよ」「おう」「コダマン了解」
天志と菊之助が正面から、鍵が開いていれば静かに、かかっていたら一気に片付ける、かなめは入り口正面左側を担当、小屋から逃げてきたものを仕留める、咲は右側担当だ、樹神は小屋の裏を担当する、全員が武器を呼び、持ち場に着いたのを咲が確認して「ライン」と唱える、作戦開始だ。
菊之助がドアをゆっくり回す、押しても、引いても開かない、戸締りだけはできる子のようだ、ぶち破っての突入決定、天志と菊之助が嬉しそうに目を合わせ頷く。
ドッカーン!菊之助がナガブ〇キックでドアを破壊し突入する、眠っていた盗賊達が何が起こったのかわからないまま倒されていく、天志も菊之助に続いて倒していく、この時天志と菊之助はできるだけ殺さないように倒していた、やっと状況を理解できた盗賊が反撃してくるが、元から弱い盗賊達は何もできずに倒れていく、外に数人逃げて行ったがそれも咲と、かなめに倒される。
「もぉ~うるさいなぁ~って誰だテメーら」
タタラが奥の方から出て来た。
「もうお前が最後だぞ、大人しく捕まりな」
天志の言葉にタタラが周りに転がっている手下に気づく。
「ああぁ、まだ寝てんのかよ、おい、お前ら起きろっ、敵だ、それに寝る時はちゃんとベットで寝ろって言っただろうがっ」
「だから、残りはお前だけだって、他の奴らは気ぃ失ってんだよっ」
「何だと、それじゃあ、ごめんなさい」
タタラはあっさり負けを認めた、天志達は拍子抜けしたが、タタラを捕らえて小屋の外へと出た、天志達がタタラを捕まえて出て来たのを確認した咲とかなめが、天志達の元へと寄ってくる。
「ねぇ、天志君もう終わっちゃったの?」
「ああ、何かこいつが謝ってきて終わった」
「何かお手数かけちゃったみたいで悪るかったな」
何だコイツはダメすぎて逆にかわいく見えてくる、その時、小屋の屋根の上から一人の人物が声をかけてきた。
「タタラン捕まっちゃったの?」
「あっおはよう、そうなんだよこいつら意外と強くてよ、早く助けてくれ」
「うん、いいよ」
そう言って屋根から飛び降りる、ふわっと飛び音もなく着地した、そしてゆっくり天志達の方へと歩いてくる。
「動くんじゃねぇ、何だお前、こいつの仲間か?」
菊之助が止まれと言うが、そいつは普通に歩いてくる。
「動くなっていってんだろっ」
菊之助が斬紅を振り上げそいつを攻撃したが、倒れたのは菊之助だった、天志達には何が起こったのかわからなかった。
「おい、離れてろ」
天志は咲とかなめに離れるように言うと、タタラから手を離し構える、タタラならいつでも捕まえられると思ったからだ、それより目の前のコイツがヤバい。
「おお助かったぜぇ」
「ねぇ君達って国冒じゃないよね?」
「ああ、ただの冒険者だ、お前こそ誰だ?」
「僕?僕はピルール・クルール、ピルクルって呼んでよ、そっかぁただの冒険者かぁ」
咲とかなめが菊之助を気にしているが、近づくことができない。
「あっ、そこの赤髪君は気を失ってるだけだから安心してよ、それと裏にいたコダマンも今眠ってもらってるけど、そのうち目を覚ますから」
「テメー樹神に何したっ」
「樹神?ああ、コダマンって樹神って言うのか、ホントに寝てるだけだから大丈夫だよ、さてと、国が動くまではタタランに頑張ってほしかったんだけど、そろそろ潮時だね、一回帰ろっかな、その前に、ちょっと遊んでよ!」
ピルール・クルールはそう言うと天志に突っ込んできて湾曲した短剣で攻撃してきた、キーン、天志はそれを受け止める。
「うん、いいね、コレは?」
今度はジャンプし上空から攻撃してくる、キンキンキン、コレも天志は捌く。
「へぇー結構いいね、そこの女の子二人は動かないでね、動いたら気になちゃって手元が狂っちゃうかも知れないから、こんな風に」
そう言った時には天志の左腕から血が流れる。
「いってぇええー、何すんだよこのピエロ、マジでムカついたぞっ」
今度は天志から攻撃を仕掛ける、流れるような攻撃で詰めて行くが、全てを受け流される、その時どこからか声が聞こえてきた。
『名前を呼んで、僕の名前は寿限無(ジュゲム)』
何だこの声は、天志は構わずなお攻撃を続ける、だがやはり攻撃は当たらない。
「綺麗な太刀筋だねぇ、でもまだまだ経験不足だよっと」
今度は天志の左足から血が流れる。
「いっってぇえー、何だよコイツは、ムカつく野郎だな」
でも攻撃が全然当たらねぇ。
『ねぇ早く名前を呼んでよ、寿限無って』
「ああぁ、うるせぇーな、頭ん中でっジュゲムジュゲムうるせぇーんだよ、集中できねぇだろっ」
『やっと呼んでくれたね、天志』
その瞬間、天志の印が赤く光り、天志の回りに七つの、綺麗な細工をされた銀色の球体が浮かんでいた!
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