第12話 天使

「うわっ、デッケー街だな」


「デッケーね」


 天志達は馬車でグリーフ城が見える位置まで来ていた、回りを石積みの壁で囲まれている、高さは8m位ありそうだ、その奥の方に更に高い壁があり大きな真っ白い城が見える、壁の高さと比較しても、かなり大きい城だということがわかる、城下町と城との境に壁があるようだ。


「城下町に入る門で検問があるからスキルブック用意しといてね」


「はいよ」「うん」


 城に入る時だけではなく、城下町に入るにも身分証のチェックがあるらしい、スキルブックはクエストを生業にしていない人でも持っている人は多い、中には持っていない人もいるが、そういう人は城下町であってもかなりしつこく色々聞かれる、それをみんなわかっているからエレクシアでは、スキルブックを持っていない人の方が珍しい。


 門の手前で馬車を降り、一緒に乗ってきた数人と身分証のチェックを済ませて中に入る。


 入って直ぐのところが、大きな広場になっていて広場の中心に噴水がある、、その噴水から枝分かれするように道が5本、その道を進んでいくと更に枝分かれするようだ、絶対に迷う。


「新しい町に来たから、ライン使ってみてよ」


「らいん」と樹神が唱える、印が熱を持つ


「なぁリン俺達がいれば絶対光るわけじゃん、意味あるの?」


「あっ」


「やっぱりドジだなお前」


「リンドジだな」


「少しくらいドジな方がカワイイもん、たぶん・・」


「別に可愛くねぇなんて言ってねぇだろ、あっそれとお前ギルドでパーティー登録ってのも忘れてるだろ」


「あっ!覚えてるなら行った時に言ってよ、いじわる」


「覚えてたんじゃなくて、今思い出したんだよ、それと意地悪は否定しねぇ」


「もぉ、ここにもギルドあるから後で忘れずに言ってね」


「はいよっ、覚えてたらな」


「コダマンが教えてあげるねパンティー登録」


「コダマンパーティーだよ」


「いいの、パンティーの方が覚えやすいからね、グフフ」


 天志達がそんな会話をしているとき、城下町の酒場に二人の女と、一人の男が食事をしていた。


「ねぇ、菊ちゃんか咲ねぇライン使った?」


「いいえ、私は使ってないわよ、でも熱帯びたわね」


「おっ見ろよ光ってるわ」

 そう言って菊ちゃんと呼ばれた男が二人に肩を見せる。


「誰かきたな」


「そうみたいね、いい男ならいいけど」


「咲、いい男ならここにいるだろっ」


「菊みたいな筋肉男は私好きじゃないのよ」


「ズバッと言うなよ咲~、俺泣いちゃうよ」


「あ~あ菊ちゃんフラれたね」


「しょうがねぇ、かなめで我慢するか」


「はっ?我慢って、かなだって菊ちゃんパスなんですけど~」


「あーあ、新しいのは優しい女がいいぜ、まっそんなことはどうでもいいから、よくねぇけど、今光ったってことは今着いたって確率が高いから、噴水言ってみるか」


「そうだね」「行ってみましょ」・・・




「テンテンちょっとリンお城行ってきたいんだけどどうする?」


「俺堅苦しいの駄目だから観光してるわ、リンがついて来いって言うならいくけどよ」


「ううん、それなら観光してていいよ、コダマンは?」


「コダマンはおんなさがす~、後テンテンの面倒見てあげないと」


「そっかじゃあ、噴水前に15時で落ち合おっか」

リンが噴水に付いている時計を指さす?


「ああ、後でな」「あとでねぇ~」

 リンは一人で城に行った、王様にでも会うのだろう、天志と樹神は町を散策する。


「テンテン、んっ」

 樹神が天志に手を出す。


「何だよ樹神~手ぇ繋ぎてぇのか」


「テンテンが迷子にならないように手つないだげるのっ」


「ふ、わかったよ」

 二人は仲良く手をつなぎ、ちょこちょこ買い食いをしながら、時折綺麗な女の人に二人で鼻の下を伸ばしながら町を見て歩いた。

 そして樹神が食べたいと言った一軒の飴細工屋の前で足を止める。

 温暖な気候のグリーフは半袖の人も珍しくない、飴細工屋のお爺さんも半袖だ、そのお爺さんの半袖から、天志の掌にある印と似たような模様が見えた、違いといえば天志の印は黒色、お爺さんのは白色なことくらいだ。

 ちょっと聞いてみるか。


「じいちゃん飴一つ頂戴」


「あいよ、坊主どれがいい?」

 色々な形をした飴細工があり樹神が真剣に選んでいる。


「じいちゃん、その左腕の入れ墨みたいのは何処で入れたの?」


「入れ墨?ああこれか、これは入れ墨なんかじゃねぇぞ、ワシは水の大地ウォタレスのミズールって町の出身なんじゃが、もう6,70年前かの、ワシがまだガキの頃一度だけ、町の全ての人が一瞬気を失っての、気づいた時にはミズールの町の全ての人にコレと同じ模様が付いとったんじゃ、みな天使様の加護じゃと言って喜んでおったわ」


 リンも天使とか言ってたな、どこにいるんだそんな奴、まっいても会いたくねぇけど。

「へぇ天使ね」


「コダマンこれにした」


「おお、ありがとな坊主」


「ねぇ天使は何処にいるの?」


「天使様か、天使様は東西南北四つの大陸の中心の真上に住んでおるぞ、空に雲がない晴れた日に見上げて見ろ、見える時があるはずじゃ」


「ふ~んわかった、ありがとぉ」


「おうまたな坊主」


「どもっ」


 天使は4人もいるのか、ゼノンみてぇにツエーのかな?ああ、会いたくねぇ、またリンに聞いてみるか


「ねぇテンテン」


「ん?」


「天使はおっぱい大きいかなぁ」


 平和だな!樹神君。

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