第2話 契約

 何か勢いで契約しちまったけどまぁいいか、一度終わった人生、まったく違う世界でやり直すのもわるくねぇ、しかも初めからとびっきりのいい女つき、二度目の人生出だし最高だ。


「でよーリン契約って何するんだ?」


「ああ、そうだったねテンテン、あまりの喜びでわすれてたよ、よいしょっ」


「テンテン!俺をテンテンって呼んだよな今、まっ好きに呼んでいいけどよ」


「テンテンって可愛くない?リンが気に入ったから君は今日からテンテンね」


「好きにしな、しかも一人称も変わってるのな」


「リンはリンも気に入ったからね、それにテンテンが付けてくれたから」


 まぁ本人が気に入ったなら好きにすればいい。


 リンが何もない空間を引っ張ると、そこに大きな玉座が現れた、黒光りした玉座の背もたれの部分には剣や槍、斧などの武器が全部で1,2,3・・・16本の武器が刺さっていた。


その中の8本は色を失ったかのように黒くざらついた感じに見える。


 その玉座にリンが腰を下ろし脚を組んで言う。


「他の子達にはこの中から1本武器を選んでもらって契約の印インを押したんだけど、さっきも言ったけど、もうここにいられる時間が少なくてね、後七人見つけたいんだけど、他の子を待ってる時間がないんだ、幸いなことにリンが見たところテンテン結構、ううん、かなりいい感じだから、残りの8本任せるね」


「任せるねって、そんなんでいいのかよ、だったら一人2本とかの方がよくねぇか?」


「多分、他の子達は一人1本が限界なんだ、八人の中に一人だけ2本いけそうな子がいたけど、もう契約しちゃったからね、1本持てるだけでも凄いんだよ、リンとの波長が合う人間って中々いないから、8本持てるかもってのは本当に凄いの、テンテンが全てをくれたってのもあるけど、それを差し引いてもやっぱりテンテンはリンと、かなり波長が合うみたい、だからテンテン後宜しくね、すぐは無理でもそのうち使えるようになると思うから、多分」


「多分かよ、俺は知らねぇからな、リンがそれでいいなら貰えるものは貰っとく」


「リンはそれでいいよ、未来の旦那は強いに越したことはないからね」


「お、おう」


「それじゃどこにしようかな?他の子達は貰ったところに入れたんだけど、テンテンからは全部もらちゃったからねっ、印入れるのどこがいい?」


「どこがいい?ってタトゥーみたいなもんか?目立つのかそれ?」


「目立つかって聞かれると場所によるとしか言えないね、例えばオデコだったら目立つね」


「そんなのわかってるけどよ、大きさとか色とか色々あるだろ」


「入れてみないとわかんないけどそんなに大きくないと思うよ、色は他の子達はみんな黒だったね」


「その印は何の為に入れるんだ?」


「簡単に言うと、リンの力を流すルートみたいなものかな」 


「そっか力か、じゃあ右手の掌はどうだ?力入れるって言えば、利き手の掌だろ」


「わかった掌ね、じゃあ手貸して」


「ちょ、ちょっと待て、痛くねぇか?」


「全然だよ、安心して」


 そう言うとリンは立ち上がり天志の手を取って、自分の人差し指を噛んで血を流す。


 そのまま目を閉じ呪文のような言葉を唱えながら、天志の掌に一滴、二滴・・・全部で八滴の血を落とした。


 するとその一滴一滴が動き出し、見たことのない文字が八つ天志の掌に、円になって描かれた


「ハイ終わり、契約の儀終了、今からテンテンはリンのものです」


「これだけか?あっけねぇな」


「それじゃとりあえずあの中から1本選んで、今すぐ8本は無理だから」


「どれでもいいのか」


「色がくすんで砂利ってるのは、もう他の子が持ってった奴だから、それ以外ならどれでもいいよ」


「俺、第一印象から決めてましたコイツ!俺何でもパっと見で決めんだよ」


 俺の選んだのは全てが黒い日本刀みたいな奴、刀身からすべてが黒い、それに天と書いてあるように見える刻印みたいなのが気に入った。


「へぇー黒コクを選んだんだ、よく抜けたね!他の子達も何人か黒選んだんだけど抜けなかったんだよね」


「黒コクって言うのかいいじゃねぇか、俺はこう言うシンプルなのが好みだ」


「それじゃあんまり時間もないし、エレクシアに戻るからね摑まっててよ、この狭間で落ちたらリンは多分もう迎えに来れないから」


「エレクシアって言うのかお前の世界は、つーかお前が落とさないように気をつけろ」


「わかってるよ、念のためだよ、行くよ」


 空間がゆがむ、物凄い力で引っ張られるような感覚で進んでいる。


「ちょっとテンテンおっぱい揉まないで、落としちゃうよ」


「バカこえーんだよ、ちゃんと掴んでろよ」


 しばらく触らせてあげられないから、ちょっとくらいはいいか


「わかってるよ、あっ!」


「なんだよ、どぉした?」


「ううん、大丈夫もうつくよ」


 その引っ張られるような感覚がなくなると、俺はエレクシアの地に立っていた。

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