【詩】嘘月のパズルピース

村雨廣一

p18 - メルヘンな現実


眠り姫はここにいる


小さな寝息を立てながら

王子のキスを待ち続ける


王子は姫を探し出し

キスをしたのはいいけれど

結婚する気にはなれなくて

目覚めた姫を置き去りに

自分のお城へ帰っていく


これはおとぎ話じゃないんだよ

君も何度かしているはずさ


『本』という名の眠り姫を起こしては

『読む』という名のキスをほどこし

『買う』という名の結婚をしないで

『自宅』という名のお城へ帰ってしまう


置き去りにされた眠り姫ほど

空しいものはありゃしないさ

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