第2話 箱庭の中の話/前日譚
それは、空の絵を描いていたある日のこと。
「写実画?いつもとは違うんだね。写真にしか見えない……。」
友人が話しかけて来た。
私は基本的に、写実画は描かない。
写真でいいと思う。
まあ、オーロラの写真のように画質が犠牲になるものは別だが。
シュールレアリズムが多いらしい。
あとはキュビズムあたり。
ジャンルを気にして描いているわけではないので聞いた話だが。
「うん。写真で代用できるものじゃない気がした。タイトルは……ツクリモノあたりかな。」
「えっと……どういうこと?」
「そのままの意味。今回は空に焦点を当てている。けど、空に限った話じゃない。この世界はきっと……。」
作り物だ。
「例を挙げて説明するよ。」
一拍おいてから話し始める。
「ヒッグス粒子。この理論は、最初は散々批判されたんだ。詳細は割愛するけど、"美しくない"からね。それと似たような感じかな。確かに、この空は美しい。でも、"美しくない"。」
まあ、直感的なものだからこれも正確な表現ではないのだけれど。
なんというか、マシンスペックの限界だとか、バグだとか。
そんな印象の何かが見えた。
そんな気がする。
「な、なるほど……わからんッ!あと、その絵はいつも通りに?」
「うん。販路は任せるよ。描きためもあるから、あとで取りに来て。」
「分かった。そうそう、これ渡しとくね。」
私の絵はは高く売れるらしい。渡された小切手の額もかなりのものだ。
興味は全くないが。
「美空はさ、"外"に行きたいんだよね?」
「そうだね。その先に何があろうと。一目見てみたい。よかったら一緒にどうかな?」
「私は遠慮しておくね。それはそうと、描いてみたいものはある?準備するよ。」
「
「へ?」
「
「いや、さすがにそれは……美空なら核戦争でも起こしそうだけど……」
「さすがにそんな権力はない。」
「権力を手に入れる技術はあるでしょ?」
「そもそも被選挙権が……軍事企業でもやれなくは無いけど。」
言論統制のある某国にちょっかいを出して内乱、そして政変を起こしたことはある。
見たのはTV越しだが、そのときの空は独特の美しさだった。
核戦争だってきっと美しい。
ハードルは高いが。
なんの因果か、この願いは叶うことになるのだけれど。
キャラ紹介
>>美空
健全な女子高生(自称)
主人公。元々は偽名。
本名は興味がない上、重要ではないため忘れてしまった。
そのため、名実共に美空が本名。
人血で染色した浴衣が普段着。
絵を描くときはエプロンを使う。
儚い印象の女の子。
儚いのは印象だけのやべーやつ。
本編では人間から情報生命に変化した影響で躁になっている。
人の名前を覚えることが非常に苦手。
そもそも、大半の存在はその他大勢〜塵屑扱い。
単純に興味がないためである。
興味の対象になった場合は例外。
それが幸せなこととは限らないが。
>>友人
主人公の同級生。たぶん友人?
パトロン的な人。
当然、主人公には名前を覚えられていない。
パトロンさんと呼ばれている。
主人公に個人を特定可能な呼び方をされているあたり、こいつも十分やべーやつ。
主人公からの認識は一応名前のある攻略不可能なヒロイン程度。
しかし、本来はフ□ーラぐらいの存在。
あとがき
外の世界が某fall⚪︎utみたくなることが確定したっぽいですが空は綺麗になるので問題ありません。
翼 死神の逆位置 @michael13
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