マンションンの九階

ツヨシ

第1話

仕事が終わり、夜遅く帰路についた。


マンションのエレベーターに乗り、八階を押した。


その後は残業の疲れからか、ぼうとしてしまった。


しばらくそのままでいると、エレベーターが止まった。


――着いたか。


俺はエレベーターを降りようとした。


その時気付いた。


エレベーターに9のボタンがあり、それがほんのりと光っているのだ。


――えっ?


そんなはずはない。


このマンションは八階までしかないはずだ。


俺はここに四年も住んでいるのだ。


九階なんて今までに一度も見たことがない。


しかし何度見直して見ても、9のボタンがありそれが光っている。


とまどい混乱したままボタンを見つめていたが、ふとエレベーターの外に目を移した。


止まってからけっこう時間が経っているような気がするが、エレベーターの扉は開いたままだった。


そこには毎日見慣れた風景があった。

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