リザードマン

しばらくの間の後、バルバレスが戻って来たのが分かる。


『大体お主の背の高さ6人分の高さといったところだ。』


(10メートルちょっとか。

穴の大きさは俺がすっぽり入るくらいだな。腰と足で突っ張りながらそろそろ降りりゃ良いか)


そう考え、徐々に降下を始める。

慎重に慎重を重ね30分程度で通路に降り立った。


通路の先には水音がする。


(戻ってきた……

色々な意味で感慨深い。)


(よしっ、下に降りるぞ。)

道なりに下っていくと、分岐点に着く。


(さて、どちらに行くか。初見のリザードマンか、難関のオーガ…… 


どちらもどちらだな。

なら……取り敢えずリザードマンで肩慣らしといこう。)

そう思い下に下ることにした。


気を落ち着かせ、ゆっくりとオドを取り込み

マナの回転数を上げていく。


『バン』


と言う踏み込みと共に

俺は一気に下へと下った。


階段を降りきると平坦な通路となった。50mほど行くと、その先は半分水に浸かっている。


(濡れるのは嫌だな)

そう思って先を見ると部屋へと続いているのが分かる。


(取り敢えずあそこまで行ってみるか)


自分の気配を消し、気配感知をかける。


(なるべく水音は立てぬようにしないと……)

部屋の側に近づき覗いた。


感知した生体反応は全部で3つ……。


良く見ると岩壁に3匹の人形の魔物が張り付き、シュゴシュゴシュゴと音を立てながら息をしている。

(手には鉾?を持っているように見える。()


どうやって倒すか。

今俺の手元にあるのは、ボーラと黒曜石ナイフだけだ。これしかない。

(ミュルガのやつ殆どかっぱらって行きやがった。)


(黒曜石ナイフは切れ味良くないしな。

しゃあない。またボーラをバラスか。)


ばらした後、石を構え

ビュンと投げる。


ぐしゃ


まず一匹……


矢継ぎ早にもう一匹にも石を投げる。


ぐしゃ


これで二匹


次に、残り一匹に突進する。

相手の鉾を半身になりかわし

背後に回り足を払って横倒しにした。


(意外と首が太いな。首の骨を折るのは難しそうだな。なら……)


そこでボーラの革ひもを使い、首を締め上げた。リザードマンの体に体重を乗せ、紐を引き上げる。しばらくリザードマンはピクピクしていたが、頸動脈をしばらく圧迫しているとやがてこと切れた。


(何とかなった。)


鉾を回収し、ナイフを使って魔石をほじくりだす。


(さて、本番にいくとしようか。)

俺はオーガ部落へと一人向かった。






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