用心棒

森の中で貫頭衣を燃やし、服を着替えた。

(金が入ったら絶対返す)

そう密かに誓った。


「ところでこのまま帝都に着いたとして、中にはどうやって入るんだ?

心読みがいたらスンナリと入れまい?」


「いくつか手はあるが、どれも今は使えねぇ。あまり使いたくない手だが、不浄場を通る」


「不浄場?」


「下水道のことだ。」


「その不浄場とやらには見張りはいないのか?俺なら立哨を置いて監視するが。」


「まあ、普通はそう考えるわな。でもそこに魔物がいたとしたら?

まあ不浄場の場合、魔物を敢えて放しているんだがな」


「……どんな魔物かにもよるんじゃないか?」


「下水に流れる物を処理するのに都合良い魔物はなんだ?」

 

(そうか……)

「スライム?」


「そうだ。ただのスライムだけじゃねぇ。アシッドスライム、ポイズンスライム、それから虫系のポイズンスパイダーが放されている。最近は流れてくる死体を除去する為にグールまで放されているらしい。」


「もし不浄場を伝い、そいつらが街に上がって来たらどうするんだ?」


「良く考えてみろ。

今までお前はどこにいたんだ?」


(鉱山……そうか……

ミスリルだ……)


「ミスリルだな。」


「分かったようだな。」

そう言ってミュルガは笑った。


「やつらが放たれているのは不浄場の一部にしかすぎねぇ。そしてそことの境界には奴らが越えれない用、4面ミスリルの板で仕切ってある。やつらはミスリルがあるってだけでまず寄ってこないからな。」


「下水の中は?」


「スライムの核が引っ掛かる程度の目の粗さもの金網を数百メートルおきに渡してあるそうだ。なんでも目の粗さも変えてあるそうだぜ。」


「凄いシステムだな。」


「まあな。」

ミュルガは自分のことのように自慢した。


「でも、どうやってそんな場所を抜けていくんだ?」


「お前がいるだろうが?

オーガ殺しの英雄さんよ。

そもそもその為に俺はお前について来たんだからな。」


(俺は用心棒かよ……)





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る