【GM用】シナリオ

【オープニングフェイズ】

・シーン1:不可思議な現象 PC①

あなたは最近悩まされている。あなたの周りで不可思議な現象が起こっているのだ。

[GMはPC①のシンドロームに合わせて以下のような例を2、3提示すること。]

例えば、遠くにいる人の会話がはっきり聞こえたり(エンジェルハィロウ「ウサギの耳」)、遅刻しそうな時間に家を出たのに、駅に着いた時には電車の出発まで10分もあったり(バロール「ディメンションゲート」)、部屋に入っただけでテレビとエアコンとパソコンの電源が入ったり(ブラックドック「ショート」)、いつの間にか多くの人に囲まれていたり(ブラム=ストーカー「裸の王様」)、しっぽや耳が体にはえたり(キュマイラ「眠れる遺伝子」)、人や物の隙間を自分が通り過ぎてしまったり(エグザイル「鍵いらずの歩み」)、嘘をついている人間が分かったり(ハヌマーン「真偽感知」)、握ったドアノブを砂にしてしまったり(モルフェウス「急速分解」)、玄関の靴の配置や前の席の人の寝ぐせまで完璧に記憶してしまっていたり(ノイマン「写真記憶」)、伸ばした手に部屋の反対側に置かれていたものが収まったり(オルクス「テレキネシス」)、手をついたベンチが凍り付いたり、握ったティッシュが燃え出したり(サラマンダー「氷の理」「炎の理」)、自分の考えていることを相手に言い当てられることが増えたり(ソラリス「声なき声」)といったことがあなたに起きている。

今日もあなたの変化に驚いた通りすがりの人が、悲鳴を上げて逃げていった。早く立ち去らないと、以前経験したように警察官に職務質問をされてしまうかもしれない。踵を返して立ち去ろうとしたあなたの耳に、聞きなじみのない声が響いてきた。


???:「お前のその力の正体を教えてやろうか?」

「私の名はコードウェル。アルフレッド・J・コードウェル、生物学の研究者だ。」

「お前がその力の正体を知りたいというのなら、私の元に来い。」


コードウェル博士と名乗るその声がそう語ると、あなたの目の前に黒い扉が現れた。

PC①に意思:8の判定を求める(エネミー:「ブレインジャック」)。

判定に成功した場合、あなたは言い知れない恐怖に襲われ、その場から逃げ出そうとする。判定に失敗した場合あなたは、自分の意志とは関係なくフラフラと足が扉に向かって進んでいき、扉に手を触れてしまう。

いずれの場合にも次の瞬間、扉はバラバラに砕け散る。


PC②「それに入ってはダメ!!」


そこにいたのはあなたと同じ年頃のPC②であった(PC②には登場判定を求めない)。PC①がPC②に気づいた時点でシーンカット。



・シーン2:極秘任務 PC②

数週間前のあなたの回想からシーンははじまる。数週間前にあなたは日本支部の霧谷雄吾に呼び出され、彼の部屋に来ていた。


霧谷:「今日はご足労ありがとうございます、PC②さん。」

「今回あなたにはT市での任務に就いていただきたいと考えています。」

「T市のT学園(学校種により変更可)に通うPC①というオーヴァードを監視して頂きたいのです。」

「PC①さんは自分がオーヴァードに覚醒していることに気づいていません。しかし、それゆえに力を暴走させたり、FHなど敵対勢力から狙われる可能性があります。」

「ただ、残念ながら現在T市にはUGNの支部がなく、UGNとしても自身の力に無自覚なオーヴァードに対する方針がまとまっていません。」

「あなたにはPC①さんが暴走しないよう彼と同じ学校に通い監視をしてください。また、UGN、FH、その他の組織が彼に接触しようとした場合には、その接触を阻止し速やかに報告してください。」

「PC②さん、お願いできますか?」


PC②が任務を了承すると回想を終わる。あなたは今、目の前に現れた扉を破壊し(自動成功)、正体不明の相手からのPC①への接触をとりあえず阻止した。霧谷からは報告用の事務所が提供されている。早くそこに行って報告をしなければならない。あなたはPC①の腕をつかみ一緒に来るように説得するだろう(PC②に推奨すること)。PC①が渋る場合はRPまたは交渉などで処理すること。ただし、PC①にもPC②についていくよう推奨すること(PC①の登場判定は求めない)。

PC達が事務所に向かった時点でシーンをカットする。



・シーン3:査察部長の命令 PC③

あなたの元にUGN本部査察部長のアッシュ・レドリックから通信が入る。


アッシュ:「ごきげんようPC③(以下全てコードネーム)。早速だが私の命令を伝える。」

「お前には一匹のオーヴァードを処分してもらいたい。(書類に目を通しながらアッシュは読み上げる。)その者は日本のT市にいる、名前をPC①という。」

「フッ、私がオーヴァードをコードネームで呼ばないのが、そんなに珍しいか?このオーヴァードはコードネームを持たない。なぜならコイツはオーヴァードに覚醒したことに無自覚なのだ。全く話にならない。こんなに危険な存在も珍しいのに、なぜ穏健派の連中はPC①を放置するのか。コイツが暴走しジャーム化してからでは遅いのだ。」

「UGN本部では、このような例が少なく対処に慎重になりすぎている者が多すぎる。しかし我々査察部はこの脅威を見逃すわけにはいかない。PC③は速やかにPC①を見つけ出し、接触し次第殺せ!無能は、必要ない。結果を見せたまえ。」


アッシュは、そこまで伝えると通信を切ってしまう。PC③がT市に向かったところでシーンをカットする。



・シーン4:評議員の依頼 PC④

あなたの元にUGN中枢評議会の議員テレーズ・ブルムから連絡が入る。


テレーズ:「こんにちはPC④さん。今日はPC④さんにお願いがあってご連絡しました。」

「実はあなたに人を探して欲しいのです。もちろんPC④さんにお願いするくらいですから、とても重要な方です。UGNにとって、そして私個人としても是非見つけて頂きたいのです。」

「その人の名はプレヒト・F・グリモワル博士といいます。UGNのノース支部の支部長(上級P85)を務めているだけでなく、かのコードウェル博士の同士でUGNを創設された方でもあります。」

「そして私をUGNへと導き、中枢評議員へと推薦してくださった恩人でもあります。」

「プレヒト博士は日本で異常なレネゲイドの動きがあると言い残して、欧州を発ったあと行方が知れません。あなたの端末に博士の調査記録を転送しましたので、博士が調査を行った場所から博士を探してください(内容は日本T市を示すものであった)。」

「プレヒト博士……いえ、グリモワル支部長はUGN本部直属の四大支部の1つを統括する身です。早期に帰還して頂かなければ、北半球の多くの各国支部に影響が出ます。捜索をよろしくお願いします。期待していますよ、PC④さん。」


PC④が任務を了解したところでシーンをカットする。



・シーン5:“リヴァイアサン”の悩み PC⑤

あなたは日本支部の霧谷雄吾の部屋に呼び出されていた。


霧谷:「突然お呼び立てしてすみません、PC⑤さん。」

「実は喫緊に対応しなければならない件がありお呼びしました。」

「先日、T市にUGN本部のエージェントが複数赴任した旨が伝わりました。1人は中枢評議会穏健派のテレーズ・ブルム議員の要請で動いているエージェント。そして、もう1人は査察部長アッシュ・レドッリク氏の命令で動くエージェントです。UGN内でも公然の秘密なのですが、この2人は立場の違いから対立することが多く、現場で混乱が起こることが多いのです。」

「現在T市では自覚なくオーヴァードに覚醒してしまった一般人を保護・監視するためにPC②さんに任務に就いてもらっています。PC⑤さんには早急に本部からのエージェント達に接触して、一般人や地域のイリーガルの保護への協力を仰いでください。」

「その過程で、PC②さんと協力して、それぞれの任務が遂行できるようにしてください。お願いできますか。」


PC⑤が霧谷の要請を受けたところで、シーンをカットする。



【ミドルフェイズ】

・シーン6:近づく脅威 PC②

PC①とPC②は強制登場。PC③、④、⑤は任意のタイミングで登場可。

全員で顔合わせをし、今後の情報収集に活かすシーンである。

場所はPC②が霧谷から支給されている事務所。あなたはPC①を一旦UGNの庇護下に置き、霧谷に連絡を取ろうとする。

PC①とPC②は、それぞれのハンドアウトの内容を伝えあうことを推奨する。PC②の判断によってはオーヴァードの説明をPC①にすることも構わない。

PC③は入室後、PC①を殺害しようとするだろうが、「リザレクト」が働くため、PC②が制止する機会はある。この場合、PC⑤は早急に登場することが望まれる。PC④は状況に取り残されないようにすること。

GMは状況によって、霧谷と通信を繋げ(霧谷からPC⑤の到着を告げる名目で挿入するのがよい)以下の会話を挿入してもよい。PLの行動によっては不測の事態が多く起こるだろうが、RPを優先し、臨機応変に場をまとめることが求められる。


霧谷:「PC②さん、不測の事態とはどうされましたか?」

「PC①さんに外部から接触が…!よく阻止してくれました。」

「PC②さん、今なんとおっしゃいましたか?………!!しかし、コードウェル博士は既に亡くなっているはずです。ええ、もう11年近く前のことになります。」

「ありえません。何者かが、コードウェル博士の名を騙っているとしか考えられません。」

「先程、そちらにPC⑤さんという凄腕のエージェントを援軍として送ったので、そろそろ到着されるはずですが……」

「PC③さん、PC④さん、私はお2人の部下にあたる身分のものですが、現在当該地域にはコードウェル博士を騙る正体不明のオーヴァードまたはジャームの出現が確認されています。ここは立場を超えて、日本支部に協力して頂くことはできませんか。」


だいたいの顔合わせが終わった時点で、PC①に意思:8の判定を求める(エネミー:「ナーブジャック」)。

成功した場合、PC①は強烈な頭痛に襲われ頭にコードウェル博士を名乗る声を聞く。


???:「そいつらと一緒にいても、お前の不安は取り除かれない。私の元に来い。その気になればいつでも扉を開いてやる。」


失敗した場合、PC①は1D10の浸食率を上昇させ、10m以内にいたPCは1D10のHPダメージを受ける。PC①が精神への揺さぶりを受け、暴走の兆候が表れた描写である。その後、PC①は強烈な頭痛に襲われ頭にコードウェル博士を名乗る声を聞く。


???:「そいつらと一緒にいても、お前の不安は取り除かれない。私の元に来い。その気になればいつでも扉を開いてやる。」


いずれの場合も一同が騒然とした状態でもシーンをカットする。この混乱を楽しみつつ、情報収集へと進む。

【情報収集フェイズ】

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本情報収集では、PC①の情報収集判定の直後に、PC①に以下の意思判定を課す。このルールの存在は、はじめにPC①が情報収集判定失敗した時に伝える。

特殊ルール:PC①が情報収集を行った直後にイベントを発生させる。

[(その情報収集のターン数)×7]を目標値にした意思判定をPC①に求める。成功した場合は、PC①は強烈な頭痛に襲われる(データ的なデメリットはない)。失敗した場合、PC①の前に黒い扉が現れ、PC①は自らの意志とは関係なくその扉に入ろうとしてしまう。扉に到達してしまった場合は、以降PC①の行動権は全て放棄され、クライマックスフェイズ時まで、PC①の行動権はPLに戻らない。これを阻止するためには、他のPCがPC①へと結んでいるロイスの感情を変更しタイタスにすること、またはPC①が他のPCに結んでいるロイスの感情を変更しタイタスにすることのいずれかを行うこと。この場合、PC①は扉に到達する前に身体のコントロールを取り戻し、扉に入ることを拒否することができる(ロイスの使用法:不利な効果を打ち消すを拡大解釈して適用)。


例:これまで監視する対象だったが、PC①は護らなければいけない対象だと認識が変わった。

例:自分の身体に起こっている変化は自分だけのもので、世界から取り残されている感覚だった。でも、UGNの人に会って、自分にも居場所ができるかもしれない。

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・a-1 アルフレッド・J・コードウェル

情報UGN:7

UGNの創立者にして、強力なオーヴァード。オーヴァードの存在とジャームの脅威を各国政府に警告した人物であり、オーヴァードと一般人の共存を理念に掲げUGNを組織した。本格的な組織体制が整うまでの間はジャームとの戦いなどで活躍もしている。UGN設立から5年間は彼のカリスマによりUGNは運営されていた。今から約11年前のニュージーランドの研究施設の事故により死亡した。死体は確認されていない。彼の死後組織された中枢評議会によって現在のUGNは運営されている。



・a-2 コードウェル博士を名乗る声

情報UGN:8or情報裏社会:8

常識的に考えて、コードウェル博士は死亡している。仮に生存していたとしても生前の彼とは言動がかけ離れており、声の主がコードウェル博士本人である確率は限りなく0に近い。


・b-1 PC①の現状

情報UGN:10or知識レネゲイド:10

全世界の8割の人間はレネゲイドウイルスに罹患しているが、発症したのはごく一部の人間である。その多くは精神的な動揺や組織による実験によって発症しているが、PC①は日常場面で徐々に発症した非常にレアなケースである。その力は加速度的に上昇しており、潜在能力では現在確認されているどのオーヴァードよりも強力になる可能性を秘めている。現在までは世界の真実について無自覚であったがために、バランスが保たれていたが、今回の接触によりその均衡が壊れる可能性がある。



・c-1 アッシュ・レドリック

情報UGN:8

黒い噂の絶えないUGN査察部長。彼のために失脚したエージェントや要人は数知れない。かなりの野心家で目的のためには何を行うことも辞さない。一般人の被害を軽視する傾向はテレーズや霧谷からは嫌われているが、彼の手腕は確かであり仕事の能率はよい。今回は、FHの中でも強力なエージェントのみが名乗ることを許されるマスターの名を冠する、マスター・イービルの野望を挫くことによって出世を目論んでいるようだ。



・c-2 マスター・イービル

情報裏社会:9

最近確認されたFHのエージェント。特別に強力な力を持つ一個人であり、セルや部下を率いて戦うタイプではないようだ。邪眼を操ることに長けており、他人を操り策謀を巡らすとの噂がある。表立って行動し始めたのは最近であるが、実はこの能力を使って過去の事件にも絡んでいたのではないかと考えられている。


・c-3 マスター・イービルの野望

情報裏社会:11

マスター・イービルの野望は死者蘇生であると言われている。特に彼は、UGNの創立者であるアルフレッド・J・コードウェル博士の復活に執着しているようで、彼の遺構を巡っていた形跡がある。コードウェル博士を復活させるためにマスター・イービルは頑強な肉体、具体的には強烈なレネゲイドの浸食にも耐えられる肉体が必要だと考えているようである。その条件に当てはまるものとして彼が目をつけたのは、無自覚なオーヴァードである。彼らは常人ならば耐えられないレネゲイドの衝動に、無自覚なまま耐えきっている。その点にマスター・イービルは目をつけたのだろう。そして、無自覚なオーヴァードであるにもかかわらず、その能力が体からあふれ出してしまうほどの強力な潜在能力を持つPC①は彼の目に留まったのである。



・d-1 プレヒト・F・グリモワル

情報UGN:9

テレーズ・ブルムの恩人であり、UGN設立当初からの実力者。UGNが世界を4つに分け管轄する四大支部の内、UGNノース支部を任されている、老齢の男性である。しかし、近年はその老いが激しく、中枢評議員への推挙をテレーズに譲って、支部の運営に専念した経緯もある。ただ、その支部の運営も最近は部下任せになりつつあり、ノース支部にある自身の研究施設に閉じこもることが多くなっている。



・(c3)d-1 マスター・イービルの居場所

情報裏社会:10and RC:12

マスター・イービルの使用したエフェクトからその居場所を推定できる。彼は今、UGNノース支部の最上階、疾走前はプレヒトの執務室であった支部長室にいることが分かる。


・(c3)d-2 マスター・イービルに会いに行く

行動の宣言

項目:[マスター・イービルの居場所]開示後は、特殊ルールによるPC①の意思判定の成功後、または失敗した後にロイスを使用してPCのコントロールを維持した時、PC①がコードウェル博士を名乗る声に「会いたい」と宣言を行う。すると黒い扉が現れ、その中に入ることでトリガーシーンへと移行する。

これまでの過程でPC①の行動権が消失していた場合は、項目:[マスター・イービルの居場所]が開示された段階で、他のPCが霧谷やアッシュ、テレーズに要請することで、直行便でUGNノース支部に移動することができる。トリガーシーンへと移行する。




【トリガーシーン】

・シーン7:夜明け前 PC④

UGNノース支部はE国の巨大な古城を改装した形になっている。中は閑散としている。PC①の宣言によって、到着した場合には支部長室に直接到着する。その他の方法で到着した場合には入り口から入ることになるが、中に人影はなく、すんなりと支部長室までたどり着ける。

時刻は現地時間の夜明け前で暗い。支部長室内は広々とした空間であり、巨大な地球儀のホログラムや北部ヨーロッパから北米の地図が浮かんでいる。ホログラムの明かりでほのかに明かりがある室内は異様な威圧感を感じる。

窓際に立つ男はかなりの高齢に見える。振り返った彼は白髪をオールバックにまとめ、胸まで届く長く白い顎髭をなびかせた白衣の老人だった。

PC①の行動権が失われていた場合、この時点で行動権を回復する。PC達の到着で、マスター・イービルの洗脳が解けるためである。

全員に知識UGN:9の判定を求める。成功した者は、振り返ったマスター・イービルの正体がプレヒト・F・グリモワル博士だと気づくことができる。


イービル(プレヒト):「久しいな、UGN諸君。」

「聞きたいことは、多くあろう。うぬらの冥途の土産にでも、聞かせてやるとしよう。」


★PC達がPC①を狙った理由を聞いた。

イービル(プレヒト):「まずは、それから来るか…仲間思いなものよのぅ。PC①は適合者だ。ここに来たということは、私の目的をうぬらはもう知っておろう。」

「そう、アルフレッドの蘇生よ。それには強烈なレネゲイドの浸食にも耐えうる器が必要なのだ。PC①は無自覚なオーヴァードであるうえ、潜在能力はこの中の誰よりも高い。帰還したアルフレッドは昔と同等、いやそれ以上の力を持った者でなければならん。そのためにはうぬの身体が器として必要なのだ。」

「わたしの研究で、既に蘇生の準備は整っておる。今から、PC①の精神を吹き飛ばせば全ての準備が整う。」

↓PC①が洗脳されていた場合

「(今、PC①の精神を消す作業の最中だったのだがな、うぬらの来訪で、作業が止まってしまったようだ)。」


★PC達がノース支部の静けさについて聞いた。

イービル(プレヒト):「ああ、それについても聞くか。わたしの実験材料となった者もいれば、楯突いたので始末した者もいる。今宵、わたしがここの研究施設を使うことを拒むものは全て排除した。」


★PC達がコードウェル博士の蘇生方法について聞いた。

イービル(プレヒト):「わたしの10年以上にも及ぶ研究の成果を、この僅かに説明することは難しい。そしてうぬらに理解できるとも思えぬ。」

「……そう、あと少し……あと少しなのだ。だが、そのあと少しが…遠い……。」


★PC達がなぜこんなことをしたのか聞いた(FHへの転向やコードウェル博士の蘇生を試みる理由)

イービル(プレヒト):「フン、今の若造たちは歴史を学ぼうともせん。」

「アルフレッドからわたしへ、わたしから評議会へ。UGN設立の理念は受け継がれてきたように見えた。しかし、今はどうだ?UGNはオーヴァード至上主義に傾き、日夜派閥抗争に明け暮れておる。今のうぬらに存在意義など、なーい!」

「わたしは腐敗し腐りきったUGNを破壊し、アルフレッドと共に、新たなオーヴァードと一般人の理想郷を築く。」


ここまで聞く、あるいは質問がなくなるとイービル(プレヒト)は語りだす。


イービル(プレヒト):「さて、そろそろ持ちきれん程の土産を持ったかな?」

「それでは、器を置いて我らが理想郷からお帰り頂こうか。それでは諸君、地獄にて先に待て!」


マスター・イービル(プレヒト)は、戦闘態勢を取る。PC達が戦闘態勢を取ったらシーンをカットする。



【クライマックスフェイズ】

・シーン8:悪魔の演武 PC①

夜明けが近づくノース支部支部長室。地平線が黄昏に染まる頃、静かに戦端が開かれる。


イービル(プレヒト):「あまりわたしを本気にさせるなよ。うっかり器を割っては元も子もないのでな。」


長年UGNを支え続けたプレヒトの貫禄と、異常な力を持つマスターエージェントの力に圧倒されたPC達は衝動判定を行う。

衝動判定

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。


戦闘配置はマスター・イービル(プレヒト・F・グリモワル)を1エンゲージとし、そこから10m離れたところにPC達が1固まりのエンゲージを取っているものとする。

勝利条件は、マスター・イービル(プレヒト・F・グリモワル)の戦闘不能。


イービルは、はじめの2ターンの間セットアッププロセスに“土くれの悪魔(ジャーム:クラッシャーのデータを一部改変し、トループ扱いとする)”を2体ずつ呼び出す。魔眼が周囲を漂い、支部長室内の調度品を悪魔へと変えていく。

イービル(プレヒト):「出でよ!土くれのアァクマァ(悪魔)!」


イービルは、はじめの自分のマイナーアクションで黒曜の鎧を使用する。

イービル(プレヒト):「換装:グリモア・アーマー」

白衣の老人が黒い西洋風の甲冑に身を包み、黒いマントをたなびかせる姿になる。


イービルは、範囲攻撃には孤独の魔眼を使用し、自身に攻撃を集中させる。その時青い悪魔を使用し、18点の反射ダメージを与える。

イービル(プレヒト):「悪魔の眼、開眼!」

イービルは自分の手番ではコンボ「ジェネシス・エンペラー」でRCの範囲攻撃を行う悪魔が生存している場合、氷の回廊でそのエンゲージに移動する。さらにクリンナッププロセスでHPを20点回復する。

イービル(プレヒト):「わたしは、魔眼と踊る。自由自在に!」


自身のHPが0になるとイービルは1度のみ燃える魂を使用しHP40で復活する。その後、“土くれの悪魔”を一度のみ使用し土くれの悪魔を2体呼び出す。

イービル(プレヒト):「日本の支部長は、確か霧谷とか言ったか?全く、恐ろしいガキどもを育てていたものだ。わたしの本気をうぬらに見せてやろう。」


その後のメインプロセスではナーブジャックをPC①に対して使用する。固定値12の意思の対決を行い、イービルが勝利した場合メジャーアクションをPC②-⑤のいずれかに対して行わせる。

イービル(プレヒト):「うぬだけはこちらに来い、お前を縛るその絆という鎖…断ち切ってくれる!!」


マスター・イービル(プレヒト・F・グリモワル)が戦闘不能になった場合、戦闘を終了する。土くれの悪魔が残っていた場合は、砂となって消滅する。

イービル(プレヒト):「わたしは、アルフレッドを……」


バックトラックを行いシーンをカットする。



【エンディングフェイズ】

エンディングフェイズでは個別のものを用意しない。しかし、個別のエンディングを用意してもよい。PC①、PC②に関しては正式に覚醒したPC①をUGNに勧誘するシーンになりNPCは霧谷が登場するだろう。PC③はアッシュに、PC④はテレーズに、PC⑤は霧谷に報告するシーンを設けると自然だろう(ちなみにアッシュもテレーズも普段からは想像できないほど身なりが乱れており、UGNの混乱ぶりを表すべきだろう)。ただし、いずれのエンディングも全て以下に記す共通エンディングの結果を踏まえたものとして演出すること。時系列は共通エンディングの後に限定する。

◆共通エンディングはPC①が帰還できた場合は「シーン9」を、帰還できなかった場合は「シーン10」を適用する。


・シーン9:夜明け PC⑤

クライマックスフェイズの直後のシーンである。PC①がバックトラックで帰還できた場合にこちらのエンディングとなる。

支部長室に朝日が差し込む、マスター・イービルとなったプレヒトは動けないほどの重傷を負っている。すると部屋の一角の空間が歪み、1人の男性が部屋に入ってくる。その男性は片メガネをかけ、白いローブに白いスカーフをかけた30代程の者であった。

プレヒトはその男性を見て目を見開き、呟いた。


プレヒト:「……アルフレッド!?」

「わ、わたしは…お前を生き返らせ、……共に新たなオーヴァードと一般人の共存を……」


アルフレッドと呼ばれた、男性はまるでつまらないものを見るかのようにプレヒトを見る。そして、静かなしかしよく通る低い声で告げた。


コードウェル博士:「プレヒト。もういい。私は元々死んでなどいない。お前は1つを除いて全てを間違った。私の目指す世界にお前はもう必要ない。」

「眠れ。プレヒト。」


プレヒト:「あ…ああ……。」


アルフレッド・J・コードウェルの手から放たれた雷によって、プレヒト・F・グリモワルはその生を終えた。その遺体は黒ずみその鎧と区別がつかなくなっていた。

コードウェル博士はあなた達の方を振り向く。


コードウェル博士「さて、若きUGN諸君。私はUGNの創立者であるが、今のUGNはプレヒトが言った通り私の理想とはかけ離れたものになってしまった。私は諸君らの敵だ。再び巡り合うことが無いことを祈るがいい。」


コードウェル博士は瞬間退場を使用し、その場からいなくなる。その数時間後、日本時間19時52分32秒(ロンドンは10時52分32秒)頃全世界のあらゆるメディアがジャックされコードウェル博士は、世界の真実とUGNの破壊を宣言した。UGNは情報の隠匿と改竄に忙殺されることになり、日常は壊れかけた。

UGNの創立者がUGN最悪の敵として帰還したはじまりの日、あなた達はその場にいたのだ。


シーンをカットする。


True End....



【経験点配布】

・マスター・イービルを倒した…5点

・PC①への脅威の排除に成功した…5点

・世界観を理解した…5点


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・シーン10:帰還 マスター

動けなくなったイービルは笑っていた。


イービル:「ハハハハハ!器に魂が宿った!宿ったぞ!久しいなアルフレッド!!」


しかし直後、イービルの身体は切り裂かれ、貫かれていた。PC①だった者に。今はコードウェル博士を名乗る者に。その魔の手は動けないかつての盟友を抹殺したのだった。ただ、衝動のままに。

新たなコードウェル博士は次にあなた達を見る。これまでとは全く異なるオーラを纏うPC①にあなた達は慄然とするだろう。

適切なエフェクトを使用し、逃走が行えないPCは死亡扱いとし、キャラクターをロストする。

新たなコードウェル博士は、UGNに宣戦布告を行うだろう。己の衝動を満たすために、失った何か(日常)を探すために。

PC①はジャーム化によるロスト扱いとし、上述の戦闘演出で死亡したPCもロスト扱いとする。帰還したコードウェル博士の原型がPC①であったと歴史が書き換わり、

シーンをカットする。


Bad End...



【経験点配布】

・マスター・イービルを倒した…5点

・自身がロストしなかった…5点(該当者のみ)

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