男の娘拾いました ~えっ、君、ドラゴンなの?~
きと さざんか
1:ジュード=リーヴィス
青年、ジュード=リーヴィスは
生まれは王都の名家、リーヴィス家。多くの優秀な
ジュードはリーヴィス家の次男として多くの期待を背負って生きてきた。
文武は、武の方が勝っている。
容姿端麗、才能抜群、ジュードの名を聞いてなびかぬ女性はいなかった。
ジュードとしては、自分の人生に満点をつけたい。これ以上ないくらいに順風満帆な人生だった。
そこに問題を挟むとしたら、ジュードの性格だろうか。
両親からは、
「お前はプライドが高すぎる」
だの、
「謙虚さが足りない」
だの、
「名家に生まれた者としての自覚を持て」
だのと言われてきた。
そこで大人しく両親の言うことに従っていたら、ジュードは旅に出されることはなかっただろう。
人格矯正の旅という理由はなんとも恥ずかしい。しかも、旅とは言ってもそれは表向きの話。実際は使いっ走りの様にあちらこちらの街や村へと送られている。
リーヴィス家からの指示は様々だった。薬草調達、牧場警備、魔物討伐に盗賊退治。まるで冒険者の受けるクエストのようである。
使いっ走り生活というのは実に面倒だった。礼は言われても、報酬は家に差っ引かれて少ない。少し派手にやりすぎると、すぐさま家の教育係から小言満載の手紙が届く。遊ぶ暇などほとんどなく、西へ東へ忙しく走らされた。
だからだろう。一年半経ち、十八歳になった時には、うっ憤が溜まりに溜まっていた。
次の仕事が終われば家に帰ってもよい、と言われた最後の仕事で、ジュードは暴れに暴れまくった。
依頼はいつもの盗賊退治だったが、ギルドの調査官が盗賊に同情を抱くほど、ジュードは暴れた。
盗賊たちは規模こそ大きかったものの、一年半の間に溜まったストレスは盗賊の量も質をも軽く凌駕した。
夜、盗賊たちのアジトに着くや否や、即座に放たれた爆破の法術。見張りと一緒に主力を吹き飛ばし、人も獣もお構いなしに薙ぎ払った。
お宝だけはこっそりとふところに納めておいたが、後はもう散々である。無事な者はおらず、朝にはアジトはもはやただの廃墟と化していた。
あまりの惨状に、盗賊のお頭は泣いた。本気で泣いた。いざトドメを、と杖を掲げたジュードに泣いて助けを請うた。
もちろん盗賊の泣き言にジュードが耳を貸すはずはなかった。理由に正義感は欠片の一つも無かったが。
それでもと泣きすがるお頭を殴り倒そうとしていると、怯えた盗賊たちが、一つの宝を持ってきた。
一つ、というよりは一人、だった。子供であった。
何故か魔封じの上布に包まれ、さらに法術殺しの鎖とまで言われる上級の
明らかに不審な貢物を、ジュードは当然警戒した。しかし、自分の行動は実家にほとんど筒抜けである。どんな状況であっても、子供を見捨てたとバレてはマズい。
盗賊たちが言うにはどこかの高名な
不承不承ながら子供を受け取り、やはり盗賊たちへのトドメを忘れずに済ませてから、ジュードは近くの街へと戻った。
そこからである。終わるはずの旅路が、少しずつややこしくなってきたのは。
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