私と私

なんでもない会話がしんどい


なんでもなくない会話もしんどい


特に見えない会話はしんどい


私の発しようとする言葉は

まず私の中で生まれて

私の中の相手に語りかける


私の中の相手は饒舌だ


そして恐ろしい


私の言葉「案」をあらゆる角度から検証し


考えうる感情で考えうる反応で私に返してくる


それはどれも私にとって疲弊するものだ


そのリハーサルはときに、幻想にすぎない至高の喜びをもたらし

ときに無用の絶望をもたらす


すでになされた会話でも同じことだ

よく分からないけどと言いながら憂鬱感をまとめたもので私を窒息しにかかる


問題は私なのだ

つまり私の中の私なのだ


何もかもを憂鬱に変えて不安に変えて恐れに変えて


言葉に発した100倍のもので私を引きずり込む


対峙しているのはいつも、私と私なのだ

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