詩集
或るコ
世界を慈しんだバケモノ
世界を慈しんだバケモノ
『愛してやれよ』とそいつは言った
屑や泥や醜いものすべてを
麗らかな午後に響き渡る銃声
愛しい人がいない喪失感
真夜中に啜り泣く子どもの声
愛する君を傷つけてしまう僕
『愛してやるよ』とそいつは言った
嘘も真実もそのどちらでもないものも
父か母を選べと言われた子どもの顔
愛するが故に傷つける過ち
相容れぬ互いの信念の向こう
愛しい君が殺した僕の一部
世界は美しくなんかない
その代わり醜くもない
ただそこに在るのは
君や僕や大勢の“誰か”
殺したのは僕で
傷つけたのは君かもしれない
撃ったのはあの子で
選択を迫られたのは彼かも
喪った彼女の思い
僕には見えない君のかみさま
啜り泣くあの人の声
刃にすりかわってしまう僕らの愛
その全てを愛せと、
その全てを愛すと、
僕が、僕じゃない誰かが
あの日世界の片隅で叫んだ
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