xn+1=αxn(1-xn)

 そこは、何も無い世界。

 

 そこは、以前何かがあった世界。


 静寂の中、ただ壊れた「物」だけが散乱した世界。


 滅び。崩壊。破壊。混沌。


 終末的な様子を示す言葉は様々あるが、この世界には、この言葉が似合うだろう。



 ここは―――時の壊れた世界の果て。



 果ての世に、一つだけ動く「命」の姿がある。


 その命は壊れた世界を、ただゆっくりと歩いている。


 時折足を止めては、悲しそうな瞳で何かを眺め、そしてまた歩き出す。


 何度目か分からない回想。


 何度繰り返したか分からない邂逅。



 はただ想う。



 終りの場所で、何時になったら終わるのかを、ただ想い続ける。

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