竜と感情

アイスティー

プロローグ

 それは自分たちの知らない世界。


 その世界では竜は最も悪とされていた。


 その世界では竜の血液を浴びると感情を失うとされていた。


 その世界では竜は凶暴で自身の身が朽ち果てるまで人達を喰らい続けるとされていた。


 そんな世界の小さな村に無口な少女と周りの大人達が辟易するほど明るい少年がいた。


 二人は正反対の性格をしていたが親同士の仲が良かったからかそれに倣うように二人の仲も良かった。


 彼等の年齢が十一へと変わるとき、それは唐突に、しかし酷く凶悪に訪れた。


 それが彼が彼らしくあることをやめたきっかけとなった。

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