今日も暇です。

Mt.韋駄天

取り敢えず勇者の観察でもします

第1話

束の間の主人公無双です。

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 煌歴291年 魔王がこの地上に現れる。

 煌歴292年 魔王が近隣の土地を侵略し始める

 煌歴294年 セ・ブレ王国が魔王軍によって滅ぼされる 

 煌歴299年 危機を感じたキャルトゥ帝国が、とうとう他の世界から勇者たち

       五人組を召還

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 初めまして、わたしの名前はトゥジョワール・エコリエと言います。以後お見知り置きを。うちの家系は代々セ・ブレ王国に仕えてきました。しかし、5年前に王国は魔王軍(まあ、軍とはいってもただの凶悪そうな獣の群れなんですが。)によって滅ぼされてしまい、祖国を失った私たちは、やむを得ず元いた土地を捨て、隣国のキャルトゥ帝国に難民として受け入れられました。それからは町人兼農民として、田舎の小さな村で私たちは暮らしています。はじめのうちは貴族だった頃の生活が忘れられず、大変不便に感じました。しかしながら、まだ当時10歳だった私に比べて、私の両親はもっと長く貴族生活を送っていたのでさらに不便だったでしょう。何度もうちは破産しかけました。でも、私は今もこうして生きています。それは、偶然ではありません。


 私には、とある能力があります。セ・ブレ王国の貴族は男児、女児を問わず、生後一ヶ月以内に能力を検査させることを義務づけられていました。私もその例に漏れず、生後23日目に能力検査を受けたのですが、私にはただの能力ではなく稀少能力が宿っていました。稀少能力という物にもピンからキリまでありまして、上は常識を大きく曲げるようなものから、下は靴が一瞬で装着できるというものまであります。当然、研究者は見分けがつくようにと検査用の道具の改良に改良を重ね、ようやく5段階の位に分けることに成功しました。


 グレード1(G1) 実用性に富まず、限定的な場面で少し使用者を補助する

 グレード2(G2) G1に比べて汎用性に富み、多少使用者を補助する

 グレード3(G3) 汎用性と利便性を兼ね備え、一般人と大きな差が生じる

 グレード4(G4) 多くは攻撃性であり、その破壊力は半径1kmほどを更地にできる

 グレード5(G5) 存在、概念など、この世界の理に直接干渉または書き換えられる


上の5つが、稀少能力の分類基準です。G2とG3の差がわかりにくいですが、それはどうしようもありません。何しろ決めたのは当時の研究者たちなので。彼らにとって分かりやすく定められているのでしょう。話がそれましたが、私の能力はG5でした。私は覚えていませんが、両親によると、その時は大騒ぎになったようです。それまでにG5と認定されたのは初代の国王だけでしたからね。しょうがないといえばしょうがないことです。あ、一つ言い忘れていましたが、稀少能力が表示される際にはグレードだけでなく、表示される字の濃度でも優劣が分かります。つまり、文字が濃いG1と文字が薄いG1がいるわけです。初代の国王はうっすらとG5が見える、という程度でG4に近かったようですが、私の場合はそれはもう、これでもかというぐらいに濃かったようです。薄いG5だった初代国王ですが、その稀少能力はG4とは次元が違うとすら言われていました。そのことも大騒ぎになった原因の一つと言えるでしょう。因みに、私の稀少能力はこんなかんじです。


存在決定 万物に干渉し、その存在、及び状態を決定する。範囲制限なし。この力

     を得るものは、他の二つの能力も覚醒する。


範囲制限なし。しかも二つも能力がオマケでついてきます。まだ私の稀少能力は一つしかありませんが、いつか3つになるはずです。さて、少し前の話ですが、飢えた私は、家族諸共かぞくもろともこの能力を用いて存在を固定したため、老いることもなく、また生理現象に悩まされることもありません。家族が解除してほしいと言ってきたらいつでも解除するつもりです。それまでにも幾度か死にかけた時にこれで生き延びてきましたが、大抵は数ヶ月で解除していました。一年以上固定しているのはこれが初めてです。(因みに私は、定期的に解除したり固定したりを繰り返しているので少しずつ成長しています。16歳くらいの年齢で止めるつもりです.)とまぁ、大分おしゃべりが過ぎましたがこれが私たち一家が今の今まで生き長らえている理由です。


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今回は丁寧語でしゃべる主人公です。


2018/6/20/21.26 おかしな点をいくつか修正

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