第5話 半分だけの太陽
「
状況は把握できないが、ひも野郎のクソ野郎がどうして急に親切心を起こしたか、については納得がいった。30人はいるはずの一階の住人は誰もおらず、ゴミ袋みたいに地面に転がされた
(ウゥー)這いつくばっている
「おっと! そこの中国人のでかいおっさん。それ以上は近づくな」
俺の存在を無視して、俺の背後に話しかける。それと同時に細長く見たこともない冷たい
「ここでもめ事は困る」
俺と
「おっとっと。怖い怖い。すまねぇ言葉足らずだったな。俺たちはなにもこの庭場を荒そうなんて思っちゃいない。今回は正当な理由があってお邪魔した。
ボスと言うキーワードで、影はそれ以上、大きくなることはなかった。
「君がヒロユキくん? 名前からすると日本人だよな? えらくマニアックな場所にすんでるねぇ。君にも危害を加えるつもりはない。つうか、どちらかと言うと正義の味方かな? ほらよっ!」
そういうと、俺のまえに封筒を放り投げてきた。こぼれた数枚の一万円札が映る。
「君から盗んだっていうもんでね。
「……いや、たしかにこれは俺の金だけど……」
「うん。ありがとう。それは君の金だ。どう? やっぱり正義の味方だったろ?」
「どうして?」
「うちの会社に、金を闇で送金してほしいってこいつが飛び込んできたのよ。それはいいのよ。そういう商売してっからさ。問題はさ、こいつが先月、ある人から時計を一本ぎった。そこなんだよ」
俺は大体のことがわかってきた。
「財宝の地図が入ったマイクロチップが埋め込まれた
そうなんだ。こいつらにとって100万円は
俺は
俺は立ち上がった。
「あ? やっぱり気になった? いや俺が抜き取ったわけじゃない。95万って
一応は獲物を俺に向けたまま、財布を手探りしている。
筋が通っている。この男の話は筋が通っている。悪いのは
まったく碌なやつじゃない。碌なやつじゃない……けどよ。
ここまで……なにもここまで、 ……殴ることはねぇだろうがよ!
「がぁぁぁぁぁぁぁああああああ」 そして太陽は、半分だけになった。
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