2021.10 TEXT ガーリーな哲学
圧倒的に女性が少ないのは哲学者だな、と漠然と思っていた。
私がそう思うくらいだからほかの方も疑問に思うようで、Web上に女性の哲学者の名前がまとめられていた。
びっくりするくらい知らない方が多かった。
私の哲学の知識は高校の倫理レベルである。だからボーヴォワールやシモーヌ・ヴェイユ(日本では池田晶子氏)くらいしか知らない。あとはフェミニストの学者の名前になってしまう。
私が好きな哲学者中島義道氏によると、哲学者と哲学の学者は違うのだという。前者は何をしていても時間や死などの問題が頭から離れない人、後者はそういう人々の思想を学問として勉強する人のことだ。
その区分でいくと、私は哲学の学者にさらっと哲学を教えてもらいたい人になる。中島氏の著作も読んだが、決して中島氏の望むような読者ではなかった。
最近中島氏は本を出していないので、何をやっていらっしゃるのだろうと思っていたら、哲学の学校を作っていた。
とても真摯な哲学者向けの学校で、一見さんの私ではとてもついていけなさそうなところだった。
女性は哲学者になる前に一箇の人間として認められるための権力闘争をしなければならないので、それに力を取られて哲学をする余地が残らないのだろうかと考えた。
それとも、女性は家事と育児をしなければならなかったので、男性のように哲学だけを考える余地がなかったのだろうかと。
あるいは、女性の哲学は小説や随筆などの創作物に溶けていて、男性のように思想が結晶化していないのかもしれない。
24年組の少年愛漫画は少女による愛の思想実験であり、それがJUNEややおい、ボーイズラブに連綿と続いているのではないだろうか。
私はJUNE世代で、女性の権力闘争を意識して生きてきた世代の人間なので、ボーイズラブの権力闘争によらない愛の思想実験にはついていけていない部分があるのではないだろうか。
権力闘争に足を取られて思想実験が自由にできていないのではないかと、すこし反省したところだ。
哲学者から見たらまるで形をなしていないかもしれないが、少年愛ややおいやボーイズラブはガーリーな哲学だったのかな、と最近ぼんやりと考える。
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