And I Become Like Us
そして
いつかわたしは
わたしたちのようになる
繰りかえした孤独との駆け引き
その
せいぜい知れたところ
いくらもしないうちに
どこもかしこも
右も左も四方八方
砂漠ばかりがあふれかえり
こっちの水は枯れていて
あっちにも水がない
まったくおかしな話だと
重々に承知のうえではあるのだけれど
砂漠になったその後に
わたしという自己が
わたしたちのようになる
そんな気がしてならなくて
溶けあうなどと
ひとつになるなどと
夢物語におぼれているわけでは
決してなく
ひとつきりとも呼べない単位の
決して行き合わぬ砂漠のわたし
それが
わたしたちそのものではなくって
わたしたちに
近しい何かになる
そう思えてならない
それだけのことです
わたしたちのよう、と
最初から
言っているではないですか
少しばかりひねくれた
些末とは言いきれない程度にこざかしい
とるにたらないひとり
砂漠に果てていないからこその
なんとはなしの主観
あなたは頷いていい
目をぱちくりとさせてもいい
そして
あるいは
いつか僕は僕のようになる、と
もっと理の通らないことを言ったって
少なくともわたしは
拝聴しましょう
まだ生きていて
あなたの瞳が
うるおいを宿していることを
祝したいから
高らかに祝います
安物の麦茶で申し訳ないけれど
祝杯をどうぞ
あなたの主観が
わたしの主観と
行きかう
ぶつかり
たまには溶け合う
いつか
砂漠のように?
そして
わたしたちのように?
僕のように?
あるいは?
繰りかえす孤独との駆け引き
その道半ば
顛末がせいぜい知れても
今は絶え間なく濡れる
今宵これからこぼれるぶんだけ
安物の麦茶で申し訳ないけれど
飲み干してしまって
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