わたしのサイダー -紫津々由宇詩集-

香鳴裕人

わたしのサイダー Ⅰ

1st area



サイダーの泡は巡ってみせて

結局

息もままならないほどなのであれば

人魚のままでいるべきの

かきみだされる臆病さで

深海の雪をひとすくいして

みだらにため息

純潔を放り投げたわりに

あなたには乗られてやらないという

かけひきじみて

それでも嫌なものは嫌だから

ためらいで息をするのだ


サイダーの泡を溶かして

好きにしてちょうだいなと

言えるやけっぱちが

どこかで欲しい


自分をなぐさめようとして

人魚であることに気づいて

こんなものと

脱いでしまって

どうぞ好きなだけと

サイダーの泡に溶けるように

むさぼられてしまっても

どうという問題はないけれど




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る