第四十七話「怨敵誅殺」
朝鮮人民解放戦線に潜んだ
数日後、
「よお、
居酒屋・
「何の話」
「とぼけても無駄っすよー。うちが全部録画してるんで。あんたと〈党〉の人間が接触してるところを、ね」
忍美は得意げな顔でスマートフォンの映像を再生した。
そこには
それからすべてを諦めたように
「何だ。ばれちゃったの。あは。あははは。だめねえ。私も」
「なぜです、
〈黒電話〉こと
「落ちつけ、
「落ちついてなどいられますか! なぜあなたはそんなに冷静でいられるんだ」
「うるせえ。静かにしろ。話ができねえだろうが」
「
「
号泣しながら断続的に話していたため、
「いつかバレるような気はしていたわ。私のせいで
「まあ待て。早まるな、
「放して、
「落ちつけ」
「お前さんにゃ、そうするしかなかったんだろうよ。〈党〉の連中は卑劣なやつらだ。悪いのは全部、〈党〉の連中なんだ。だからこそ俺たちは、あのろくでなしどもから国を解放してやろうと団結したんじゃねえか。そうだろう」
「ええ。そうよ。でも、だからって」
そんな彼女に構わず、
「お前さんの弟も、これで〈党〉がどういう連中なのか理解しただろう。これを機に〈解放戦線〉に誘ってみるってのはどうだ。〈
「それは」
「俺がうまく説得してやるよ。だから、
自信満々の笑みでそう言う
事の成り行きを見守りながら、ぼくは黙考していた。
いいのか、それで?
たしかに〈解放戦線〉に
馬鹿げている。無茶苦茶だ。
それに、
……が、この様子だと、それは
くそ。面倒な展開になった。
「何よそれ」
そんなぼくの思考を、
「あ、あなたが裏切ったから、わ、私のパパパ、パパとママは、死んだのよ。この、く、くくく、くそばばあ。そ、それだけじゃ飽きたらずに、今度は何。よりにもよって、パパとママを殺したやつまで仲間に入れようっていうの。ふ、ふふふ、ふざけないで。ふふふ、ふざけ」
「おいやめろ。
「動かないで」
あれじゃ、いつ引金を引くかわからない。
「
ポケットに手を入れた真茶が、こちらを見ている。
「殺してやる!」
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