第七章 サバイバル

 ☆エクストリーム☆



「ようこそ、決戦のフィールドへ!」

「か、会長!?」

 僕はその声の主の名を呼ぶ。

「こんにちは桜田君」

 会長・品川くるみは僕達に笑を向け、そして指をパチンと鳴らす。

 会長は桃色の長い髪の毛をコアラ耳みたいに団子にしている上に、身体がちっちゃいから本当にコアラみたいで可愛らしい見た目をしている。

 すると、会長の後ろから続々と生徒会役員達が現れた。して。

 会長は懐から何かを取り出して、それを僕達に見せつけ、 

「サバゲーをするのですわ!」

 会長の手には拳銃が握られていた。

『サバゲー?』

 僕達は尋ねた。

「そうよ。私達にサバゲーで勝ったらお宝を渡すわ! でもただのサバゲーじゃない。エクストリームサバゲーよ!」

『エクストリーム!?』

「その通り。さぁ、早速準備しなさい!」



 生徒会。高等部では特に院生会と呼ばれるそれは、生徒を統括する役割を担う、学院最大の組織であり、生徒会執行部と各委員会の委員長からなるものである。

 そんな生徒会軍は10人、対する僕達は6人。人数的不利は否めないし、生徒会軍は強者(つわもの)ぞろいだ。

 しかし、やると決めたら徹底的にやるのが僕達オカ研だ。

 リスポーン地点は高等部の屋上。リスキル防止のために生徒会軍は屋上及び、その周辺には立ち寄れないことになっている。

『10、9、8、7……』

 カウントダウンが始まる。

 僕達6人全員に拳銃1つと、スペアマガジンが2つずつ支給されている。ちなみにこれらは工学部により改造がなされ、飛距離や威力が増大されているらしい(銃刀法の範囲内で)。もちろん生徒会軍も同じ装備で始まるそうだよ。

 さっき聞いたルールでは、学院内に自動小銃とかグレネードとかの上等武器が配置されているみたい。

 制限時間は2時間。人数が少ないのでリスポーンあり。普通のサバゲーとはちょっとルールは変わってる。まあ、エクスリームサバゲーだからね。

 ちなみに審判は生徒会付きの先生がやってくれます。

『3、2、1、スタート!』

 校舎内には一般生徒がいるが、もし撃ってしまったらペナルティーが課せられるみたいだ。気をつけないとね。

 それぞれポジションを決めている。というのも普通のサバゲーじゃないので、特殊なポジションもある。

 亀有さんは探索者サーチャー。院内の武器などの物資を探索する。

 七海ちゃんは司令官コマンダー。監視室で僕達に的確な情報を伝える。

 涼太と真希と希望は攻撃手アタッカー。コマンダーの指示を受けて敵に攻撃する。

 僕は援護者タクティカル。アタッカーの援護や、ポインターの役割をする。

 まず僕達は七海ちゃんを監視室に護衛する。

 よかったことに、僕達のリスポーン地点である屋上から監視室は近い。というよりむしろリスキル禁止エリアに入っている。言うなれば無敵ゾーン。

「それじゃあ七海ちゃん、よろしくね」

「分かったの〜! 頑張るの!」

 七海ちゃんは太陽みたいに明るい笑顔で腕を高く掲げてそう言った。

 七海ちゃんとしばしお別れ。そして戦闘に、亀有さんは武器探しに出発。

『4階廊下は誰もいないぞ』

『りょうたさん、部室棟3階に敵を発見したの!』

 少し先へ行く涼太の声と、監視室の七海ちゃんの可愛らしい声が聞こえてくる。

『了解だ。真希、希望、樹! 行くぞ!』

 涼太の声で僕達は涼太の元に駆け寄り、3階に降り、物陰に隠れる。

 すると、向こうの廊下からひとりの男が歩いて来た。

 副会長の清瀬箔男きよせはくおである。

「みんなで一斉射撃するぞ! 3、2、1、撃てーッ!」

 涼太の指示で真希、希望、僕は副会長にBB弾を撃つ。

「きゃーッ!」

「わーッ」

 2人は初めてガスガンを撃ったようで、手に伝わる衝撃に非常に驚いている。

 目をギュッと瞑って頑張って撃ってるけど、マズルジャンプして全然当たってない。

 僕は何回か撃ったこと――というかむしろ実銃を撃ったことがある(家族でグアムに行ったとき)ので、全く驚かない。そのためしっかり副会長をねらうのだが……、

「なんだとッ! ま、まさか、カミ回避!?」

 副会長・清瀬箔男はそれはただの男ではない。身体がのだ。

 更には巧みな身のこなしで、ドッヂボールで絶対に当たらないので、カミ回避清瀬やKKKと呼ばれている。カミは「神」と「紙」の掛詞かけことばである。

 薄いのは身体だけではない。気配も薄いのだ。その気配は真後ろにいても気付かないほどで、生徒会役員ですら気付くことは難儀である。

「き、消えたぞ!?」

 涼太は驚嘆していた。

『違うの! 床に伏せてるの!』

 七海ちゃんはそう言うが、僕達に副会長は見えない。一体どこにいるのだろうか。

『顔を引っ込めてなの!』

 様子を窺っていた僕達は七海ちゃんのその声に、一斉に身を隠す。

 すると、先ほど僕達の顔があった位置にBB弾がパスパス飛んで来た。

 そう、副会長はその薄い身体を利用して隠れているのだ。

『こちらサーチ! 部室棟4階会議室でグレネードを発見! 薄男を始末する』

 亀有さんの声がヘッドセットから聞こえると同時に、副会長の後ろの廊下からグレネードが飛んで来た。

 音に気づいたカミ回避清瀬だが、そのときには既にグレネードから大量のBB弾が放出されていた。

「ヒットー」

 副会長はそう言ったと同時に立ち上がって、両手を上げてリスポーン地点に戻っていった。



『アオ、そっちは任せたぞ!』

「了解よぉお!」

 アオ。それは涼太のゲイーズ青戸の呼び方だ。

 ゲイーズ青戸はここにいる。港区で行われたJFFB全国高校ボディビル選手権大会本年度優勝者はここにいるのだ。

 ゲイーズすなわちボディービル部の人達はつい10分前に戻ってきていた。

 それで僕達はボディービル部の部室に訪れて青戸を徴兵してきたのだ。

 徴兵とは、このサバゲーの特殊ルールで、一般生徒を3人まで自分の仲間に引き入れることができるというものなのだ。

 そして、僕達は亀有さんからの報告で武器庫(倉庫)に向かおうとしている。

 しかし、七海ちゃん曰く、武器庫へ向かう道中に敵兵がいる、と。

 亀有さんはサバゲーがすごく苦手で、何度か撃ったことがあるくせに、弾があっち行ったりこっち行ったりしてしまう。そのため迂闊(うかつ)に攻撃して反撃されるよりも、攻撃陣で挟み撃ちにしようということである。

 僕達もその敵を目視することができた。風紀委員長の高尾美咲たかおみさきである。透き通るような水色の髪の毛が美しい2年女子だ。

 あと奥の方で壁に隠れている亀有さんもいるね。

 なので、涼太と真希と希望、僕とゲイーズ青戸で挟み撃ちにしようとしているのだ。ちなみに青戸はリスポーン地点からスタートしたのだが、そのときに審判の先生からヘッドセットをもらったみたいだ。

『行くぞ、3、2、1、ゴー!』

 涼太のゴー! と共に僕と青戸は壁から飛び出し、十字路の真ん中に堂々と立つ美咲委員長の左側からBB弾を撃った。

 それと同時に美咲委員長の後ろからBB弾が飛んでくる。同士撃ちを防ぐため僕達と涼太達は90度の角度で美咲委員長を狙っている。

 しかし次の瞬間、僕達は声を出すことができなくなった。

 全員のだ。

 美咲委員長は銃を握ったようには見えなかった。というかむしろ、まったく動いてなかった。

 だが、そんな美咲委員長の横に1人の男が立っていることに気付いた。

『爺さん目白!?』

 オカ研とゲイーズ青戸の7人全員が声を揃えた。

『ご、ごめんなの! だって監視カメラに映らなかったから……』

 爺さん目白とはいえ、彼も人の子だ。あんな瞬間移動じみたことができるわけがない。

「いったいどこから現れたのぉお!」

 僕の隣で青戸は頭を抱えて天井を仰ぎ見た。

死体ゾンビが喋るな。風紀が乱れる」

 美咲委員長は冷淡にそう言って、ふっ、と僕達を鼻で笑った。



 僕達は監視室で作戦会議をして、四方向から攻めたが、返り討ちに合い、ポイントマンを置いての試みをあえなく撃沈。

「もう何なのよぉお! 爺さん目白強過ぎぃいキーッ! この女役は立たないし!」

「うるさいぞキモ男!」

 僕達のキルレートは11パーセント。向こうは89パーセント。制限時間はまだあるが、非常にやばい状況だ。

 ストレスでゲイーズ青戸と亀有さんが言い合いをしだした。

「あーんた、怖がって撃ってすらいないじゃないのぉおん!」

「うるさいッ! 私は武器庫を見つけただけで十分活躍した!」

「違うわ! 役立たずだからそういうポジションになったのよ!」

「ッ!」

「まあまあ、喧嘩したって状況は覆らないから!」

 僕は2人の中に入って仲裁する。

「「ふんッ!」」

 喧嘩するほど仲がいいとかいうけど、この2人の場合なら話は別かもだね。

 しばらくの沈黙の後、

「板さんを呼んだ方がよさそうねぇえ」

 青戸はそう呟いた。

「え! やですよぉー!」

「キモイのやだー」

 真希と希望は顔面を蒼白させて嫌がった。

「だれなの? 板さん」

 七海ちゃんは首を傾げてゲイーズ青戸に尋ねた。



「ロリパワーがなくて寝込んでいるわ」

 ガチロリコン板橋の部屋を訪ねてきたゲイーズ青戸が監視室に戻ってきてそう言うやすぐに、嫌がる真希と希望を両脇に抱えて出て行ってしまった。

「まきとのぞみ連れてかれたの〜」

 七海ちゃんは何も知らないので、ふわふわしているけど……、



「デュフデュフデュフフ! ロリばわーいっばいだ。おで、じいざんめじろだおず!」

「いやなの〜! 離してなの〜」

 嫌がっている七海ちゃん可愛い。ガチロリコン板橋に頰擦りされそうになって手で顔を押し返している。

 そんな光景を微笑ましげに眺めている涼太は板橋に尋ねた。

「だが板さん。サバゲーできるのか?」

 その問いかけに、ゲイーズ青戸によって七海ちゃんから引き剥がされた板橋はデュッフリ笑って、

「だいじょうぶ!」

 そう言って板橋は懐から拳銃を取り出した。

「KSC ベレッタM93R!」

 いや、それを拳銃と言って良いのだろうか?

 僕達は空いた口が塞がらなかった。

 板橋が握るその拳銃は、アニメの幼女が装飾されていたのだ。

「SCAR―LとVECTOR―SMGもある!」

 自動小銃の方も同様でアニメの幼女が何人もいた。これはこの人なりのカスタムなんだろうね。

「はわわわわ! 女の子いっぱいです」

「アニメ好き過ぎ……」

「でも、可愛いかもなの」

 真希は目を丸くして驚き、希望は引い気味。しかし、七海ちゃんは意外とカスタムロリ銃に興味を示している。

「紹介はどうでもいい、お前なら爺さん目白を倒せるのか?」

 亀有さんは尋ねた。

「あーんた、板さんがサバゲ界で何て呼ばれているか知らないのぉおん?」

 青戸は言葉を継ぐ。

「Rよ」

『R!?』

 僕達は息を飲んだ。

「ロリコンよ!」

「って、そのままかい!」

 もっとまともでカッコイイ通り名があるかと思ったけど、当たり前のやつで、期待して損したよ!

「冗談はさて置きまして、板さんはロリが目の前にいさえすればロリパワーEXが発動されるから、きっと爺さん目白にも勝てるわよぉおん」



「板さん、任せたわよぉおん!」

「頑張れよ板さん!」

 ゲイーズ青戸と涼太はアニメロリのプリントが入った防具を着たガチロリコン板橋を鼓舞する。

「ほらぁあん! このロリ共! 応援してやりなさい!」

 青戸は真希、希望、七海ちゃんにそう促す。

「が、頑張るですぅ」

「ガンバレ……」

「ファイトなのぉ」

 3人はいやーな感じで応援するが、

「デュッフー、がんばるデュフ!」

 ロリに応援された板橋からは今まで感じたことがないオーラが出ていた。ロリパワーEXがフルパワーで発動されたのだ。この前のオカルト人狼ゲームのときのそれとはわけが違う。

「いぐデュフーッ!」

 そう言って監視室から風のように爺さん目白の元に向かって行った。

 その1秒後には銃声が響き、爺さん目白が日本刀でそれを弾く音が聞こえ始めた。

 僕達は慌てて監視カメラの映像に目を向ける。

 ロリ拳銃一つで爺さん目白に向かって物凄いスピードでダッシュし、次々発砲していく板橋の顔はいつものデュフデュフしたそれではない。ロリに応援されたことによりその目はマジに変わり、いつものガチロリコン板橋とは思えない。

 BB弾を日本刀で弾いたり、跳ね返したりする爺さん目白の顔にはいつもの年長者の余裕は感じられない。

 跳ね返ってきたBB弾を、撃ち出したBB弾で相殺したり、身を翻して板橋は避ける。

 爺さん目白の隣の美咲委員長は2人の激しい攻防の迫力に尻餅を付いてしまい、そのまま唖然として見ている。

「す、すごいです!」

「いつもと全然違う」

「速くて目で追えないの〜」

 そこにはガチロリコン板橋ではなく、ガチロリコン板橋の姿をした超人がいた。

 板橋はどんどん目白さんとの距離を縮めていく。

 目白さんは目を見開いた。板橋が床を蹴ってジャンプし、己の真上に移動していたからである。

 板橋は下方に銃口を向け、板橋は引き金を2度引いた。



 僕達は今、武器庫から出てきている。

 あの後現場に向かうと、そこではペタン座りの美咲委員長と片膝立ちで項垂れる爺さん目白がいて、その隣では拳銃――ではなくそのプリントに頰擦りする板橋が立っていた。

 美咲委員長は「このキモスーッ!」って言ってリスポーン地点に走っていった。本当は走っちゃダメなのにね。

 美咲委員長が銃を撃たなかったのは、爺さん目白曰く、美咲委員長はビビったからだという。亀有さんと同じ理由だったんだね。

 武器庫に入る前に七海ちゃんから、『武器庫内に敵兵が何人かいるのっ!』って報告されたけど、ガチロリコン板橋が秒で全部やっつけてくれた。つ、強過ぎる。

 武器庫には様々な拳銃、自動小銃があって、BB弾とかスペアマガジンもここで補充できた。

 そして、板橋にオススメの銃をセレクトしてもらった僕達は再び戦場に赴いた。僕はタクティカルなので、自動小銃に加えて狙撃銃も持たされた。持ち物が多い。

『みんな! 何かが来るの!』

 突然七海ちゃんが叫んだ。

 ――ダダダダダダダ

「どっせぇえええええーいッ!」

 後ろから何者かが先程のガチロリコン板橋並の速さで駆けてきた。

「止まれないーッ!」

 ――ドカン!

 そして、その速さを制御できず、僕達の目の前を通り過ぎて壁に激突している。壁が人形になっちゃってるよ。アホだー。

「あいたたた」

 そう言って頭をさすって、穴から出てきたのは見知らぬだった。

 何て表現すればいいんだろう……。まぁ、そこには変態仮面がいた。

「痛い痛い痛い痛い! 撃たないで! 露出度高いから痛い!」

 僕と涼太はその変態仮面を無言で射撃する。

「や、やめなさい! 先生よ先生! みんなのだーいすきな椿先生よ!」

 変態仮面はBB弾を避けようとしながらそんなことをほざいた。

「黙れ! お前なんか椿先生じゃない!」

「変態は帰れ!」

 亀有さんは切り捨てるようにそう言った。僕と涼太は今度は顔目掛けて撃った。

「ちょ! 目に当たるッ!」

「もしあなたが椿先生なら、まばたきで止めますよ!」 

 僕がそう言うと、

「女は嫌いなのよょぉおッ!」

「ババアは帰れ! キモイ! 死ね! いや、殺す!」

「みんなのアイドルである椿先生はこんな変なことしません!」

「あと胸もそんなに大きくない!」

 ゲイーズ青戸、ガチロリコン板橋、そして真希と希望もそう言って変態仮面退治に加勢してくれる。

『フルオートでぶちかますの!』

 七海ちゃんからの指示で僕達は自動小銃のセレクターをフルオートにセットする。

 そして、変態仮面に全弾命中させる。

 弾切れが切れて弾幕が晴れると、全身を真っ赤にした変態仮面が立っていた。

「もう! 何するのよ! 痛いじゃない!」

 変態仮面はそう言って僕達に近寄る。僕達は1歩2歩と後退する。

「く、来るな!」

 僕はリロードしようとするが、手を滑らせてスペアマグを落としてしまう。

「だから椿先生よ!」

 変態仮面はそう言って顔につけたパンティーを取った。

「お前は椿先生じゃない! その顔を剥せ!」

 涼太はそう言って変態仮面の頭をロックして顔を剥がそうとする。

「何ッ! 取れないだと! アオ! 板さん! ちょっと手伝ってくれ!」

 涼太の声に2人は涼太に協力した。

「ちょっと待って! アオちゃん! 先生はあなたに感化されたの!」

「うるさいわねぇえ! ワタシは女が嫌いなのぉお!」

「ほら、先生も結構それっぽいでしょ!?」

 顔が剥がれないことに気づいた3人は変態仮面を離れた位置からじーっと見た後、

「ランチー、110番を。樹は先生を呼びに行ってくれ。アオは真希達を頼む」

「分かった」

「すぐ行くよ!」

「任せてぇえ!」

 僕達はそれぞれに行動を開始する。

「しーんーじーてー! 先生は椿先生だって! いや、またの名をHKT35!」

『……は?』

「あら? 通じない? 変態仮面椿35歳よ!」

『…………』

「って変態仮面ちゃうわーッ! それに35歳でもないわーッ!」



 椿先生でした。あのHKT35は馬込クリスティーヌ椿35歳でした! ゲイーズ青戸の優勝を受けて、自分もボディービルに目覚めたから、まずは形からってことで、あのような姿をした、だらしなボディーの女英語教諭でした!

 ってなわけで、サバゲーが再開された。HKT35を仲間に率いて。

 地味にHKT35は運動神経がいいので、きっと役立ってくれるだろう。

 七海ちゃんの指示を中心として作戦を組み立て、実行し、キルったりキルられたり。

 僕達のキルレートも、ゲイーズ青戸やガチロリコン板橋、そしてHKT35のお陰で上昇し、46パーセント。向こうは54パーセントと、接戦というところまできた。

 制限時間は残り30分。ここからが正念場だ。

 そして、生徒会軍とオカ研+α軍の直接対決が開始された。

 舞台は大ホール。普段は何も置いていないのでひっそり閑としているが、エクストリームサバゲーのために障害物がいくつも設置され、また、足場を組んで階層構造にしているので、非常に殺伐とした雰囲気が辺りに立ち込めている。

『13番の障害物に薄い人、27番の障害物に爺さん目白と風紀委員長さん、2番の障害物にT高田、その他は2階にいるの! 挟まれないように散らばってそれぞれの相手をするの!』

 七海ちゃんの指示で僕達は目で会話をして、1階組と2階組に分かれる。

 1階は僕、ガチロリコン板橋、真希。2階は涼太、ゲイーズ青戸、希望で、遊撃手としてHKてぃ……じゃなくて椿先生だ。亀有さんは待機。無駄死にされるのは困るからね。

『板橋は爺さん目白、真希はT高田、ツーちゃんは薄い人の相手をしてなの! そして樹は狙撃なの!』

『了解!』

 七海ちゃんは続いて2階組にも指示を出す。

 そして、全員が配置に着いた。僕も狙撃位置(いもりスポット)で寝そべる。

 そして、1階エリア全体を俯瞰する。

 生徒会軍は用心深いので、こちらに頭やお尻を出したりしな……くない。

 ぷりぷりのお尻が見えてるよ! 美咲委員長! 頭隠して尻隠さずだよ!

 だから僕はスコープをしっかり覗いて美咲委員長の可愛いお尻に照準を合わせて引き金を引く。

「ひゃあッ! ひ、ヒット〜」

 BB弾はパスンと飛んで、美咲委員長のお尻にヒット。

 美咲委員長は顔を赤くして悔しそうにリスポーン地点に戻って行った。

「ワンキル。美咲委員長をやったよ」

『確認できたの〜。爺さん目白が警戒態勢に入ったから気をつけてなの!』 

 爺さん目白の相手をするガチロリコン板橋は、障害物を蛇のように抜けていき、27番の障害物へ向かった。

 爺さん目白は無言で日本刀を鞘から抜き出した。

「今日のオデはびどあじぢがう!」

 室内のはずなのに2人の間にどこからともなく風が吹いているのが分かった。きっと2人の覇気が衝突してこうなっているんだろう。

 爺さん目白は日本刀を下段に構え、ガチロリコン板橋は体制を低くする。

 先に仕掛けたのは板橋。

 地面スレスレで駆けながら拳銃をフルオートで発砲していく。

 爺さん目白は切り、跳ね返し、それを防ぐ。

 板橋は障害の壁を登って行って爺さん目白の真上を確保。

「同じ手には二度も引っかからぬ!」

「ッ!」

 爺さん目白は上から降り注ぐBB弾を刀と鞘と口にくわえた扇子せんすで弾いていく。

 僕は息をするのも忘れてその光景を見ていた。

 僕の役割は戦闘中の敵を狙撃することだが、爺さん目白には全くといっていいほど隙がない。こちらに気づいていないはずなのに。

 それにこんなに動けるって本当に72歳なのか!? 現役高校生、それもロリパワーEXをフル活用しているガチロリコン板橋と渡り合えるなんて、もはやスーパーおじいちゃんってレベルじゃない。しかも属性的にも相性がよくないはずなのに。

 これはもう僕が決めないと……! 板橋がほんの小さな隙を作ってくれる間に!

 頑張れ板さん……! 僕も頑張るッ!

「キャーっ! ごめんなさいです! 来ないでください!」

 突然女子の高い声が聞こえたかと思えば、真希が頭を守りながら目白さんと板橋の横を突っ走って行った。

 すると、真希を追いかけていたT高田は息を整えてから板橋に、

「先生……どうして、どうして可愛いロリがいるってことを教えてくれなかったんですか!」

 体育委員長高田略してTTとも呼ばれるT高田は、悔しそうにそう言った。先生ってのは板橋のことだね。

「会長がロリ可愛いから体育委員長になったものの、雑用ばっかりで会長を見ることすらできないし、会えてもすぐに仕事を押し付けられるし、食べる機会がないんですよぉおおおおお!」

 敵であり、真剣勝負をしている最中の板橋に泣きながら抱きついてTTはそう嘆いた。

「それにあの子を追いかけても逃げられるし、もう一体どうすればいいんですか!」

 どうしよう、今ならT高田をキルれる。

「高田、やはりお前はいつまで経っても愚かだ。お前は気づいてないようだな。雑用とか仕事を押し付けられると言ったが、それは一体誰からだ?」

「え? それは……」

「生徒会長・品川くるみからだ。つまりお前はロリに仕事を任されているのだ。それに出会ってもすぐに仕事を頂戴できるってことは、それだけお前を信頼してくれている証なんだぞ? それでもお前はプロのロリコンか? 四段のロリコンなのか?」

 プロ? 四段? え、将棋?

「先生! 俺はバカでした! 今ので頭が冷えました! これからは先生みたいになれるように頑張り――」

「――バカヤロォおおおおおーウ!」

 突然雷が落ちた。

 板橋はT高田の胸ぐらをむんずと掴んで叫ぶ。

「俺みたいになるだとぉお? 何をほざくかクソッタレ! 俺になってはいけない。俺を遥かに越えていけ!」

「ありがとうございます!」

 なんだこのやり取り……。でも板橋はT高田を感動させたみたいだ。T高田はガチロリコンズ総統であるガチロリコン板橋に最敬礼して涙を流していた。

「では行ってまいります!」

「ああ、行ってこい」

 そうとだけ言って板橋はT高田を送り出した。いやキルれよ! とか言う僕もどうして引き金を引けなかったんだろう……。

 まあ、それはさて置き。

「しっかり総統をやっているのだな」

 目白さんは刀を鞘に収めて、白い長い髭を片手で触りながらそう言った。

「まあな」

 板橋はタクティカルリロードをする。

「だが、お陰で一息付けた。これで決めるぞ」

「ああ」

 爺さん目白は目を瞑って鞘に収まる刀の柄に触れた。

 その瞬間、決着が着いた。

「「ヒット」」

 2人はそう言って背中を向け合い、それぞれのリスポーン地点に戻って行った。

 どうヒットになったんだ、こいつら。



 僕は鬼ごっこをしている真希とTTをスコープで覗く。

「待つんだロリ! 食べさせろ!」

「嫌です! キモイです! 来ないでください!」

 真希は泣きながら走って、BB弾をパスパス後ろに撃つ。どうやらもう慣れたみたいだね。

 しかし、T高田はそれを余裕で避けていく。

 これは僕が助けないとまずい感じだな。

 でもT高田は?速い上に気持ち悪い動きをするから全然狙えない。

「真希、T高田の動きを止めてよ!」

『無理です! キモイですから!』

『真希、前なの!』

 ――ゴチーン!

『あいたたたた』

 真希は目の前の障害物に気づかないで頭をぶつけて尻餅を付いてしまった。

「大丈夫!?」

 僕は叫んだ。

『痛いです……』

『でゅふふ。もう逃がさない……』

 T高田は手をワキワキさせて――まるで板橋のように真希に近づいて行った。てか、デュフフ笑いが移ってる!

『殺すなら殺してください!』

 真希は覚悟を決めたのか、目をキューッと瞑った。

『殺さないさ。食べるのさ!』

『い、いや~ん!』

 ヤバイ! T高田が真希の赤髪の匂いを嗅ぎだしたッ!

『樹、撃つの! いっぱいいっぱい撃つの!』

「うん!」

 僕は慌ててスコープを覗いてT高田に照準を合わせる。

 ここは室内で無風だが、それでも弾が逸れることがある。そうなったら真希に当たっちゃうかもだけど、迷ってはいられない。

 僕は息を殺して右手の人差し指に力を込める。

 ――パスン!

『ん? 何か当たったか?』

 T高田の頬に命中したはずなのに、T高田はヒットコールをしない。

 そうか! ロリパワーBが発動されて痛覚が鈍くなったのかッ! クソッ! 何なんだよ全く!

 僕はコッキングレバーを引いてもう1度T高田にBB弾をぶつける。

 しかし、全く効いていない。ルール無視かよッ!

 真希はツインテールを解かれちゃってる。T高田は完全に理性がぶっ飛んじまったみたいだ。

『キャーッ!』

「ハーッ!」

『ぐふぇっ!』

 もう終わりか、と諦めかけていたとき、T高田が泥のように倒れた。

『クッ! 気持ち悪い……』

 そこには黒い髪の毛をふぁさーっとかきあげて、凛として立つ亀有さんがいた。

 2階に隠れていたみたいで、真希の悲鳴を聞いて飛び降りてT高田を気絶させたみたいだ。

『大丈夫か真希?』

 亀有さんは膝を付いて真希の顔を覗き込む。

『き、キモかったです……。怖かったよぉぅぅ』

 真希はシクシク泣いて、亀有さんのボインなお胸に顔を埋めた。

『もう大丈夫だ。私が付いている』

 亀有さんは真希を立ち上がらせ、その涙で濡れた顔を見下ろす。

『真希は本当に可愛いなぁ』

『そんなことないです! 私は身長も低いですし……その、蘭みたいにおっぱいもないです……』

『需要はあるさ!』

『ロリコンにですよね!? ぷぅ~』

 真希はほっぺたをプクーっとフグみたい膨らませた。可愛い。

『みなさん! お疲れ様です! 敵を殲滅しました!』

 七海ちゃんのその声と共に2階から涼太、ゲイーズ青戸、希望が降りてきて、障害物の向こうから椿先生もやって来た。

 すると突然、

『な、何! おっきなクマさんがそっちに向かってるの! 気をつけるの!』

 七海ちゃんのその声は鬼気迫る感じだった。

「クマ!?」

「何故学院内に!」

「これは俺らがどうにかできる問題じゃないぞ!」

 僕、亀有さん、涼太は焦りを隠しきれない。

『今ドアの所に……!』

「よし、隠れるぞ!」

 亀有さんがそう言い、僕達はそれぞれ別の場所に隠れる。

『…………』

 ――ガチャ

 ――ノシノシノシノシ

 巨大な足音が大ホール内に響き渡っている。

「(樹、もっとこっち)」

「(う、うん)」

 僕は希望ににじり寄る。

 こんなに近くで希望を見たことなかったけど、ほんとにすごく可愛い。薄暗いけどよく分かる。それだけじゃなくて、フルーティーな甘い匂いも漂ってる。

 って、今はそれどころじゃない!

 心臓が張り裂けるくらいドキドキ。心拍が強い。

 そして、クマがクンクンと匂いを嗅ぐ音が聞こえてきた。

 クマは犬の何倍もの嗅覚を持っていると聞く。それなら僕達は隠れても無駄だったのではないだろうか……。

 僕が心の中で「お母さん、お父さん、今までありがとう」と呟いていると、

「ダメだァぁぁぁあああああ!」

 突然1人の男がクマの前に立ちはだかった。

「ダメだ! こいつを食ってはならない!」

 地面で忘れ去られたように倒れていたT高田を見てそういったのは、ガチロリコンズの総統・ガチロリコン板橋であった。

「って、番人かよ! 驚かせるな!」

『え?』

 僕達の声は見事にハモった。

「クマが来たと聞いたからロリロリ波を撃つ準備をしていたが、お前だったのか」

「何!? オレはただ牛丼の匂いを嗅ぎつけて来ただけだよ」

 番人はこもった声でそう言った。

 って、その嗅覚もはや人間じゃないよ! ほんとにクマかよ!

『あれれ? 人間だったの……? 見間違えちゃったの~。ごめんなの~』

 七海ちゃんもようやくその巨大質量がクマではないことに気付き、緊張の解けたポワポワした声でそう言った。

「じゃ、オレは牛丼を探すから」

 僕達が隠れ場所から出てくるや、番人はそう言ってまた鼻を鳴らし始めた。

 番人は僕と希望の所にノソリノソリとやって来て、クンクン。

「ぼ、僕は牛丼じゃないよ」

「わ、わたしは美味しくない……」

 巨躯にビビって真希は僕の右腕をギュッと掴んだ。

「そこ、避けて」

 僕達は言われた通り避けてあげた。

 番人は大きなお腹を揺らして僕達がさっき隠れていた障害物を覗き込んだ。

 そんな所に牛丼が? そんな匂いしなかったけど。

 番人は巨体でうつ伏せになり、僕達が隠れていた障害物の隙間の中に入っていった。

 だが途中でお腹が引っかかって進めなくなってる。

「もうちょっと、あともうちょっとで」

「みキャーぁぁぁあああああん!」

 これは番人に捕食されそうになっている牛丼の恐怖の叫びではない。

「変なところ触らないで!」

「ぎふぃーッ!」

 クマがこちらに勢いよく戻って来た。いや、戻って来たのではない、ぶっ飛ばされたのだ。

 学食のクマさんはいくつもの障害物に激突して、ようやく止まった。

 そして、隙間からは……、

「だ、誰が牛丼ですか!」

「会長!」

 桃色髪の毛をコアラ耳みたいに結んだ会長・品川くるみが出てきた。

「い、嫌ですわね。このわたくしがこっそりみなさんを撃とうと思ったけど、クマが来たって聞いて気絶して、太もも触られて飛び起きて、それですっごく恥ずかしがってるわけありませんわ!」

 あのー、会長。可愛く顔を赤くしてそんなことを言われても、どう反応すればいいか分かりません!

「あれー? 牛丼だと思ったのに……」

 番人はそう言って頭を搔く。

「このわたくしが、お昼に牛丼なんて食べるわけありませんわ!」

 とか言って腕を組んでプンプンしてるけど、クマのバンさんのお鼻は欺けないよ。会長は昼に牛丼を食べていたんだね。

 会長のお父さんは医者、お母さんは弁護士、お祖父さんは警視庁長官、お祖母さんは国会議員という全員東大出身の超スーパーエリート家系。そんな超スーパーエリートお嬢様も牛丼を食べるんだね。ブルジョワメニューしか食べないと思っていた。

 あ、ブルジョワメニューってのは学食にあるメニューの中で1食8000円もする高級な料理のことね。ちなみにそれは全部で七種類あって、毎月メニューが変わるから飽きずに食べられるみたいだよ。

 庶民である涼太や番人はそれを食べたいがために、GHQ(学食半年四半額券)を巡って争ってたんだよ。まあそれでも1食2000円でバカ高いんだけどね。

 まあまあ、それはさて置き。

「ちょ! 痛いですわ! 誰ですか撃ったのは!」

死体ゾンビが喋るな」



 亀有さんが最後会長をキルしたことで僕達のキルレートは51パーセント、生徒会軍は49パーセントとなり、僕達が僅差で勝利した。

 オカ研6人と、ゲイーズ青戸、ガチロリコン板橋、HKT35の計9人でエレベーターを使って地下に移動する。普通に行けるのかい! ってつっこんだね。だけどこのエレベーターは非常用だから、普段僕達が使わないってだけだったみたい。

 それでどうやらあの空間は避難場所らしい。地下に通り道があって、進んでいくと地下駐輪場と繋がっているんだって。もちろんそこからの侵入を防ぐために厳重に管理されているそうだよ。

 さてさて、それで僕達は会長にお宝の在り処を教えて貰った。

「お宝ですわ……」

 そう言って会長は宝箱を差し出した。

 亀有さんが代表してその箱を開けると、空いた隙間から眩い光が溢れてきた。

 僕達は揃って息を飲んだ。

 きらびやかな光の中にあったそれは……、

「って! スッポン三点盛りかよ!」

 亀有さんは叫んだ。

 そこにはスッポンと鼈とすっぽんぽんがあった。スッポン、鼈、すっぽんぽんである。

 一つ目はトイレのスッポン。二つ目は亀の鼈。そして三つ目は……、

「おい貴様……! 何故この写真を持っている……!」

「じゃあゴートゥーザネクストパッセージ! ってことですわ!」

「勝手に終わらせるな! どうしてお前がこれを持っているのかを聞いていのだ!」

「理事長と~、わたくしのお祖父様は~、仲がいいんでしてよ~」

 会長はウザったらしく言った。

「父さんがお前にそれを渡したってのか!?」

「そうですわよ。うっふふ」

「あのハゲ親父め……。スッポンでくっつけてやる……! って見るなぁぁぁあああああ!」

 写真。亀有さんが小さいとき、つまりはロリのときのヌード写真。

 それを真っ先に目を輝かせて凝視しているのはモチのロンでガチロリコン板橋。

「み、見え……見え、見え……見え……見え見え……デュフ、デュフフフフ。がめありもがわいがっだんだな……」

 僕も亀有さんのその写真を見たのだが、ブファッ! こりゃヤベー。亀有さんせくしぃ~過ぎる!

 見えそうで見えない、これはマジでやばい!

「これ、本当にランチーか?」

「蘭もおっぱい小さかったんですね」

「安心した」

「可愛いの~」

「オンナは幾つであっても嫌いよぉお! でも、今よりは可愛いんじゃないかしらぁあん」

「亀ちゃん、このときみたいに髪の毛短くしてみたら?」

 口々に感想を吐露する。

「うううううるさい! 黙れ! てか返せ!」

「ばなざない! もってがいっでだべるがら!」

 亀有さんは板橋が握る自らのロリ写真を奪い返そうとする。

「ダニぃ! ず、ずごいぢがらだ!」

 なんと、亀有さんはロリパワーEX持ちの板橋から写真を奪い取ったのだ。

 しかし、

 ――ベチャ

「…………ギャァぁぁぁあああああ!」

 亀有さんはそんな悲鳴と写真を残して消えたのは言うまでもない。

 写真を取り上げた反動で後ろに倒れ、それで手が鼈の水槽に入ってしまったからだ。

 亀有さんの嫌いなもの、それは勤勉であることと、亀である。

 同じ亀属性じゃないかって? オカルト人生ゲームでギル亀ッシュを欲しがっていたではないかって? 実は全く関係ない。

 亀は亀有さんの中で最も嫌いなもの。

 首尾とか四肢がキモくて、遅いのがキモくて、顔がキモいのがキモくて、臭いのがキモいらしい。



 Go to the next chapter!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る