第3話 Exhibition

その日は梅雨のジメジメした日だった。陰鬱で、ぼくでも軽く自殺したくなる日だった。その時、Death Chainを開くと様子がいつもと少し違っていた。


 Yes  | No

18,540  | 79,190


N/Y odds : 4.27


Yes側、つまり殺人事件が起こる方に賭けている人がいつもよりだいぶ多い。いつもは20倍なのに今日は4倍しかない。これは一体どういうことだ。しばらく調べていくうちに原因がわかった。予告があったのだ。掲示板には次のようなコメントがあった。


「ぼくはもう生きるのに疲れました。明日の6月14日殺人をやります。皆さんさようなら。」


掲示板はにわかに色めき立っていた。

「マジ??マジでやっちゃう感じですか」

「いや口だけやろ」

「これって期待していいんですか?」

「無理無理。大体、本気でやる奴は予告なんかせんやろ」


そして時間が経ち、翌日6月14日の23:59が過ぎた。ニュースはなかった。事件は起きなかったのだ。

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