プロローグ
5歳の時子役として芸能活動を始め、3年前、某アイドルグループのオーディションに合格。デビュー直後のシングルでいきなりセンターに抜擢され、「1億年に1人の美少女アイドル」として話題を博す。また、大のアニメ好きでも知られ、昨年春に放送されたテレビアニメで声優デビュー。また、今年4月からは月1回ながら、アニメの情報番組のMCも務める。現在は人気アイドルでありながら、声優としても活動している。
これが俺、
小学校に上がると登下校も一緒になり、学校が終わってからは頻繁にお互いの家まで遊びに行っていた。隣同士だから夕食も向こうで食べた時もあったし、寝る直前までひたすら2人で遊んでいた記憶がある。
しかし中学生になると、華凪はアイドルとして活動を始めたせいか、お互い遊ぶ機会は皆無になった。華凪がアイドルとして売れるようになってからは、お互いの距離がだんだん遠くなる気がした。華凪も仕事に没頭するあまり、帰りは日付が変わるか変わらないかの時刻になり、学校も頻繁に休むようになった。
その2人の距離は高校生になって、さらに遠くなった。なぜなら、俺と華凪は別々の高校に進学したからだ。俺が近場の高校に進学したのに対し、芸能活動を優先したい華凪は芸能科のある高校に進学。仕事で遠出する時もあって、華凪の顔を見る機会はかなり少なくなった。
数日前、俺はそんな華凪に告白された。お互い高校生になって2ヶ月。夜遅く、この日も仕事を終えたばかりの華凪が俺の部屋まで土足で押しかけてきて、「彰吾のことが大好き!愛してるの!」とこれから寝るところだった俺に言ってきたのだ。俺はフッた。実は華凪のことが好きだというにも関わらずだ。つまりは両想い。アイドルをやっている補正とか関係なしに、華凪は可愛い。綺麗に伸びた長い黒髪に、雪のように白く、綺麗な肌。いかにも日本的である端正な顔立ち。「1億年に1人の美少女アイドル」という愛称が贔屓目なしに理解できる。
しかし「アイドルと付き合うことができる」となると話は別だ。俺がアイドルと釣り合うとは思えなかったし、何よりもアイドルが付き合うというリスクは双方にとってかなりのものだ。華凪もそれは分かっているのだろうが、それでも俺に告白してきた。そして・・・
「私は絶対に諦めないよ。誰よりも彰吾のことを愛してるんだから」
華凪のこの一言が、俺の運命を左右することになるとは、この時は誰も知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます